“オステオパシー”とは、自然治癒力を活かして、身体が本来持っている機能性を取り戻し健康に導く医学である。オステオパシーは、アメリカでは年間5千万人もの人々がその恩恵を受けている立派な医学であるが、日本では情報不足であまり知られていない。
ところで私は11年前、脳出血で倒れて救急車で帯広救急病院に運ばれ、8時間におよぶ手術を受けて生き返ることができた。医師からは、頭蓋骨を切る危険な手術なので、息子たちを遠方から集められたようである。
倒れた直後の1~2秒後に目の前が真っ暗になり見えなくなったが、特に痛みは感じなかった。自宅の二階から担架で降ろされ、5~6分で着く病院の玄関までは何とか覚えていたが、その後のことは全く覚えていない。ただし、その時に人間が死ぬ時はこんなものかと思ったのは事実である。だから私は、他人があまり経験していない“三途の川”を経験したことになる。
1週間後、理学療法士などによるリハビリを開始し、6カ月後にH病院を退院した。それからの3年間は、杖や歩行器を使わないと歩けない毎日であった。H病院の担当医師からは、「小脳出血なので、普通は命を落とすのだが・・・」と言われたが、4年目になって奇跡的に機能回復し、1日に1~2キロも歩けることができるようになった。
退院してから1ケ月後、妻の叔母に勧められて、4年間にわたって東洋医療のT病院にかよった。今思い返すと、その4年間は遠い昔のことのようである。その病院では、自律神経を活性化させるために頭のてっぺんに鍼を打ち首にブロック注射をする。それが、「オステオパシー」という治療である。
オステオパシーとは、① 身体全体をひとつのユニットとして考える、② 身体の機能と構造は一体のものであると考える、③ 自然治癒力を鼓舞することを主眼として独特の医学体系を持っている。
ところで、私は体験入所も含めて10箇所の介護施設に通ったが、自分に合った介護施設を選ぶことが大切である。そして、病気を治すためには、医師と患者の信頼関係が最も大切である。現在、週に1回の機能回復型リハビリ施設に通っているが、リハビリはけして裏切らないので諦めないことだと思う。
先日、頻尿を治すためにS泌尿科病院に行った。帰りのバス停で、「ヘルプカード」を持った50歳代とみられる女性に、「こんにちは!」と挨拶された。奇特な女性もいるもんだと思ったが、私が歩く姿を見て身体障害者だと分かったからであろう。“類は友を呼ぶ”ではないが、彼女は、1日置きに透析を受けているそうで痩せており、声をかけて頂いたのも同じ境遇に置かれていたからであろう。
私はいつも思うのであるが、人間は同じ境遇に置かれなければ相手の気持ちが本当に分らないことが多い。だから、視力を失った人のことを疑似体験するために、目にブラインドを掛けるのもそのためだろう。
「十勝の活性化を考える会」会員