tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『リヴ&イングマール ある愛の風景』

2013-12-16 21:56:51 | 映画-ら行
 ノルウェー出身の女優、リヴ・ウルマンと、スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン監督の、出会いから、40年以上にわたる交流と絆を描き出したドキュメンタリー。


 二人は結婚はせず、5年間一緒に暮らして、一人女の子をもうけた。二人が暮らしていたのは、スウェーデンの小さな島、フォーロー島だ。本土から東に90㎞、バルト海南部にあるゴットランド島の、北にある。

 ゴットランド島はスウェーデンで一番大きな島で、観光と農業の島、フォーロー島はその北端からフェリーに乗って行けるらしい。ベルイマン監督の『仮面(ペルソナ)』の撮影地で、1964年、その撮影のために二人は出会い、そのままここで5年間を過ごした。

 撮影スタッフと遊んだことを「皆が子供のようだった」と楽しそうに話し、また塀の作られた二人の家は牢獄のようだったと、リヴ・ウルマンは微笑みながら語る。
 小さな島は、聖地でもあり、牢獄でもあり、撮影地でもあり、ただの島でもあった。
 イングマールはそこに住み続け、リヴはニューヨークへ行った。

 ここで語られないことは沢山あるんだろうけれど(その後二人とも別の人と結婚しているのだし)、映し出される小さな島の佇まいと、静けさは、ここが二人にとっての特別な王国なのだという感じがする。

 
 始終微笑みながら、きめ細やかに感情や関係を語っていたリヴ・ウルマンが、ベルイマンが亡くなった時のことを語り、その後涙をこぼしたシーンが、印象的だった。しばらくして、「こんなにイングマールが恋しかったなんて」と、やっぱり微笑みながらカメラに言った。語り終わってしまったのだから、またベルイマンがふいっとどこかへ行ってしまったような気がしたんだろうか。

 ベルイマンの作品の中では、亡くなった息子はいつでもそばにいるとリヴが語るシーンがある。(このシーンも映画の中で使われていた。)


 イングマール・ベルイマンは、2007年に89歳で亡くなっている。25歳年下のリヴ・ウルマンのインタヴューと、撮影風景などの映像や作品中の場面などで進んで行った。
 ディーラージ・アコルカール監督、2012年、ノルウェー・スウェーデン・イギリス・チェコ・インド合作。