tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

主に映画鑑賞の記録を書いています。

『ニックス・ムービー -水上の稲妻』

2013-06-21 10:38:24 | 映画-な行
 予告で、ニコラス・レイ監督の特集がありますというのを見て、観に行くことに。

 『理由なき反抗』以外にニコラス・レイのことはまったく知らないけど、予告に出てきたおじさん(おじいさん?)がやたらと面白い。

 何だろう、この悲壮感というか大げさ感というか。
 予告は、長編遺作の『We Can't Go Home Again』と、妻のスーザン・レイによるドキュメンタリー、『あまり期待するな』だった。

 あまり期待するな、とは、NY大学の教授をしていたニコラス・レイが学生に言った、「教師にあまり期待するな」という言葉から取ったらしい。こうゆう身もふたもないというか、卑屈というか、妙に醒めたというか、そんな言葉にがつんときた。しかもなぜか堂々としてる。
 なので、タイトルを聞いただけで、感嘆と共に笑ってしまう。他には、ブコウスキーの「勝手に生きろ!」とか、「塵に訊け!」ジョン・ファンテ、とかね。どうして!がつくんだろうか。期待するな、にはついてませんけども。

 とにかく、このおじさんは面白い。(と思う。)

 『ニックス・ムービー -水上の稲妻』(1980年)は、どうだったかと言うと、こちらはニコラス・レイと、若き友人ヴィム・ヴェンダースの共同監督で、ニコラス・レイを撮ったドキュメンタリーだ。癌の闘病中で、死の間際のニコラス・レイ。そのニコラス・レイを主人公にして、フィクションとノン・フィクションが入り混じる。

 撮影がしばらく進んだ頃、ニコラス・レイが、突然、ヴィム・ヴェンダースにキャラクター設定を提案する。

 「音楽家で、第一線からは遠のいていて、…うんぬんかんぬん」

 ヴィム・ヴェンダース、「どうして音楽家なんだ?それは君とは違うよね?君に、君自身として、出てもらいたいんだ。そうだよね?」

 「分かった。」

 
 当時34歳のヴィム・ヴェンダースに一刀両断される、ニコラス・レイ67歳。

 こうゆうシーンが印象的で面白いと言うのも、ちょっとどうなのかなとも思うけれど。
 ニコラス・レイに、ねじれたユーモアを感じて、惹きつけられるのかも。

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