次男くんの高校受験の時のお話です。
公立高校を受けず、私立専願一択で受験すると宣言し、
担任の先生の定年間際の最後の集大成に汚点を残すことになりかねない、
そんなピリついた三者面談を終え、迎えた受験当日。
よりによっての雪が降り、歩いて駅へ行かねばならず、いつもより早めに家を出る次男くん。
雪道をそろりそろり歩く後ろ姿に、思わず受験シーズンの禁句ワードを口にしそうになるも、飲み込んで、、、
「いってらっしゃい!気を付けてね」
あとは天命を待つのみ。
ー数日後ー
会社で仕事をしていると、スマホがブルブル鳴っています。
表示は”公衆電話”
またか。。。
公衆電話の場合はおおよそ中学校の公衆電話からで、かけてくる相手は当時中1の娘、あーちゃんと相場は決まっています。
そして好ましくない内容の事が多い。
さしずめ本日締め切り期限の提出物忘れた・・・
又は、体操服忘れた…
そんなところでしょうか。
一体今日は何忘れたのよ?そう思いながら急いでオフィスのロッカー室に入り、
「なあに?」半ば怒りモードで語気強めに電話に出ると、
「あ、お母さん? 受かった」
あれ?声の主はあーちゃんじゃなくて、次男くん?
「何?受かったって何が?」
「何がって、高校! X高校受かった」
「何言ってるの!合格発表は明日でしょ!」
「いや、今日やって!」
「そんなはずないやん。お母さん確認したもん。
ってかお母さん今仕事中なのよ?忙しいんだからそんなドッキリやめて」
「違うってば。ほんとに受かったって。」
一瞬考える。
あれっ?私見間違えてた?…んっ?
「今 周りに誰かいる?」
「ゆうじとか・・ケンとか皆おるけど」
「ちょっとゆうじに代わって」
「もしもし・・・あ、ハイ、今日ですよ。次男くん合格です。学校で皆結果聞いて・・・
あ、ハイ、次男くんに代わります」
なんと。
てっきり明日だと思っていた合格発表、
次男のドッキリではないのだとすれば、
高校側がフライングミスするはずもなくて、
「えーーーー!
お母さん合格発表の日にち間違えとったみたい。ごめんごめん。おめでとう!良かったね!
ところで合格通知ってあるの?」
「あるよ」
「あとで写メして」(この期に及んでまだ信用していないという)
通常子供の合格発表の日は、朝から落ち着かず、
出社の日ともなれば、スマホの通知が気になって仕方ない、そんなソワソワな半日を過ごすはずが・・・
自分のおっちょこちょいのおかげで、そのハラハラ感を味わうことなく、
思いがけず合格の事実を知ることができ、
そう言う意味では、かえって心理的負担もなくて、おっちょこちょいが奏功した素敵なサプライズでした。
かくして、次男くんが自分の人生を自ら選択し、覚悟を決めて受験した高校は、実は長男くんと同じ高校でして、、、
3つ違いの兄弟なので、そのまま制服をスライドできるというメリットもついてきました。
さて。
お気づきでしょうか。
そうです。
長男と次男は3つ違い。
と言う事は…我が家、W受験で長男もまさに怒涛の受験シーズンに突入していたのです。
次男くんが専願受験したため、一般入試の日程よりも早く試験日が訪れ、受験日程、合否発表等長男と丸被りという状況に陥っていたのです。
それゆえ、、合格発表の日も自分の記憶に自信がなく、あっさり主張も取り下げて…
どうしても大学受験の方にウエイトを置きがちで、次男くんの合格発表の日を間違えると言う失態。
ほんと、ごめんね。。。
W受験生をお持ちのご家族の皆さま。心中お察し申し上げます。
この難局を乗り越えた先にはWでの大型拠出も待っているという、トホホな状況。
異次元の子育て支援、こういうところにも着目して欲しいですね。。。
さて、そんな次男くんの入学後のお話ですが…
学校の勉強はさておき、念願の?部活にいの一番に入部届を提出し、
入部1ヶ月ほどで早速鼻っ柱をへし折られておりました。
これはある意味私の想定内。
次男くん、スポーツに関して、運動センスは良い方で、
小学生から始めた野球では、常にレギュラー。
センター、ショート、セカンド、ピッチャーとあらゆる守備をそつなくこなし、オールラウンダーとして実力を積んできました。
キャプテンシーも高めです。
そのプライド、初っ端に見事にガタ落ち。
人生そう甘くないのよ、、と。
現実を思い知ったか!と。
俺はできる!俺は強い!自分を信じて!
勝負の世界ではメンタルトレーニングも大事です。
でもまだ15歳。
どこかで一旦 謙虚さや、レギュラー以外のメンバーの気持ちを知らなければならないと思っていました。
その機会が訪れたのですから、私としてはしてやったりです。
強豪校とあって、特待・推薦の子がほとんどの中、県大会では馴染みの顔ぶれのようで、
入学時から既にオーラが違っていました。
自分が行きたい言ったんだもんねー。
続けるしかないよねー。
しばし高みの見物です。
そして、このほぼ未経験のスポーツ、
なんならマイナスからのスタートで、
どこまで這い上がる事ができるのか、
それを見る事ができる絶好のチャンスだと私はワクワクして仕方ありませんでした。
どれだけの振り幅を見せてくれるのか。
そんな次男くんの奮闘ぶりを横目に、末っ子あーちゃんの絶賛反抗期、この振り幅こそハンパなく、
そしてまたやってくる高校受験。
これはこれでまたひと騒動あり。
それはまた別の機会にご紹介するとして、
あーちゃんに、振り回されてる間に
あっという間に次男くん高校卒業の時を迎えておりました。
汗を流した分だけ、悔しい思いをした分だけ、そして、情熱をつぎ込んだ分だけの涙が溢れる卒部式。
これまで子供達のたくさんの卒部式に出席してきましたが、
年を追う事に回想VTRの動画編集の技術もレベルアップし、感動の仕上がりに更に感動。
充分に堪能させてもらい、卒部式でのラストを飾るのは顧問の先生のご挨拶。
強豪校とあって、インターハイ、国体、選抜と全国大会と呼ばれる各大会において、
個人戦も団体戦も様々なドラマがありました。
その思い出を語りながら、顧問の先生が一人一人に語りかけていきます。
そして、、、いよいよ次男くんの番です。
ドキドキ…
「そして最後に次男。キャプテンとしてチームを支え、3年生を支え、誰よりも声を出し、自分も全力で練習する姿…レギュラー、レギュラーじゃないに関係なく、手を抜いた瞬間それに気づいて指摘する…
…次男も言ってくれたけど、自分の監督としての最後のキャプテンが次男で本当に良かった。
お疲れ様、そしてありがとう」
という事で、ど素人で強豪校に入部したら、、
いつのまにかキャプテンになっていました。。。
そして、次男くんの代を最後に長年指導いただいた顧問の先生はご勇退される事になり、
これも何かの巡り合わせだったのでしょう。
遡る事次男くん高校2年の5月。
2年生になって初めての部活動保護者会がありました。
いわゆる1軍の保護者の方々は試合会場でも馴染みの面々とあって、和気あいあいと談話されています。
新参者はなるべく目立たないところで…
すると、同じく高校から入部したお母さんに声をかけられました。
「こんにちは!聞きましたよ〜!次男くんキャプテン候補なんだって??」
えっ!えーーーーーー‼️
(この私だけ知らなくて驚くパターン多いです…)
いやいや、この前の試合も一回戦負けでしたよ?
いつも2軍で練習してるって言ってましたよ?
えっ?もしかして人違いしてませんか?
すると、私も息子からそう聞いたわよ、と周りのお母さん方が次々に。。。
いやいや恐れ多いっす。
試合があれば応援には駆けつけていましたが、そんな片鱗全く感じず。。。
すると1軍のお母さんが、
「次男くんの活躍知らないの?普段の練習から試合会場での彼の働きぶり。
あ、あれが必要!って思った先にはもう次男くんがいるのよ。そんなの一度や二度じゃないんだから!」
家では学校の事など何も語らず。
何度言っても弁当箱出さないわ、ペットボトルは部屋に散乱してるわで、だらしない部分ばかりでして。
子供達3人ともスポーツをしていて、誰か1人くらい全国大会とか行ってくれないかなぁ〜と漠然と思ったりしましたが、
まさか選手ではなく、キャプテンとして全国大会へ行くことになるとは思ってもみませんでした。
しかしながらこれは次男くんの努力の賜物。
これもそれも、中学3年の三者面談で、
そんなにやりたかったら公立高校の部活に入ればいいじゃないか、そう言われた事がバネとなり、想像をはるかに超える振り幅を見せてくれたのだと思うと、
あの時の担任の先生にも感謝です。
何かしらの爪痕を残しなさい、と言ったものの、ここまで大きな爪痕になるとは思っていませんでした。
高校受験は人生初の試練なのか?
勝ち組負け組とは何なのか?
その人にとっての試練が訪れるタイミングは人によって違いますし、
その試練の大きさも、様々です。
そして、ある時期流行った"人生の勝ち組負け組"もまた、どのタイミングでの判定なのか誰も決められません。
公立高校を志望しながらも私立高校へ入学することになったとしても、
そこから切り替えて、卒業式では最高のクラスでしたと笑顔で宣言できる。
その心の成長もまた、与えられた環境の中で培われたもの。
某CMで岸谷五朗さんが言うセリフがあります。
"選んだ道を正解にしていくしかないよ"
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