受験シーズになると思い出す、次男の高校受験のエピソード。
三大都市圏や有名私立高校を受験する場合を除き、
公立高校へ進学する事が良とされる地方において、次男は行きたい高校でやりたい競技がある、という事で私立高校専願一択を選びました。
滑り止めは受けないのか?
そもそも本人がX高校以外行く気が無いのだから受験する意味も無し。
三者面談でその意思表明をした私たち親子に対して、
定年間近の担任の先生から怒涛の進路指導が入りました。
公立高校を受験しない事自体が人生放棄するような言いっぷりです。
この先生には目の前の生徒が見えていないのか?
「お母さんがそんな事でどうするんですか」
呆れ顔でため息をつかれたところで、
「お言葉ですが…」
私は大きくひと呼吸おき、頭の中でゴングが鳴りました。
「先生のおっしゃる公立第一主義を生徒たちに押し付けた結果、公立高校入学が叶わなかった子供達が、どんな気持ちで私立高校の入学式に参加するかご存知ですか?」
そう。あれは長男受験の時。
私にとっても初めて経験する子供の高校受験でした。
当たり前の様に塾へ通い、
学校と塾の成績の判定で公立高校と家から比較的近い私立高校を選び、
ドキドキハラハラの公立高校合格発表の日、
長男の受験番号はそこには無くて、、
公立高校からの帰り道にあるATMで私立高校の入学金を振り込みました。
4月、入学式に参列すると、
スポクラと言われる強化部の特待・推薦の子達のハツラツとした英気あふれる明るい雰囲気とはうって変わり、
どことなく居心地の悪そうに、緊張の面持ちで参列する長男。
中学からの同級生を見かけても、声をかけていいものか躊躇する。。。
入学式後、子供達のホームルームが終わると、子供達は体育館へ移動し、保護者会の役員決めがそのまま教室で行われました。
まずは自己紹介からという事で、端の列の前から順に保護者が挨拶を始めました。
「山田です。うちの子はM高校を受けたんですがこにらに…。宜しくお願いします」
次の方も
「田中です。うちはK高校だったんですけど…こちらに…」
衝撃でした。
自己紹介にその情報いる?
決められた枕詞の様に皆さん受けられた公立高校を公表されていきます。
公立高校の合格発表から3週間ほどではまだ気持ちが切り替えられずにいるのか。。。
はたまたプライドでしょうか。
私は枕詞はスルーしたものの、子供達の気持ちを思うといたたまれなくなりました。
次男の三者面談に話を戻します。
そんな長男の経験から、思わず先生に問い詰め、
「どの高校に入学しようとも、希望に満ちた晴れ晴れしい気持ちで顔を上げて高校の門をくぐる、そんな風に入学できるように指導していただけませんか?」
先生は目を見開いて口を真一文字に結んでいます。
私は続けて、
「それではお尋ねしますけど、仮に公立高校の推薦をいただけるとして、それはどこの高校なのでしょうか?
その選定基準は何なのでしょうか?
公立高校の推薦が人気なのは知っています。
うちの子にあてがう事が可能であったその枠を、本当にその高校に行きたい子に当ててください。
この子がX高校で興味のある事をやりたいと言っている事のどこがいけないのでしょうか?
それ以外の志望理由が必要ですか?
いいじゃないですか!この子がX高校に行きたいと言っているんですから。」
いかんいかん。冷静に冷静に。
子供を守るという局面では親は必死です。
「もし不合格だったらどうするんですか?」
僕は知りませんよ、そう言いたげな先生の問いに、
「高校浪人もいとわずです!」
願書提出までの残りの日々、何卒よろしくお願いします。
ちゃんと?丁寧に頭を下げて三者面談終了。
いつも穏やかな、永世中立のような次男が、珍しく顔を強張らせていました。
「なんかこんなに悔しいと思ったの初めてかもしれん」
そう呟いた次男。
私も勢いよく面談室を後にしたところで、
早歩きになっている自分にハッとし、
歩調を緩めながら、気持ちを整え、家路につくまでの間、ゆっくり次男と話しながら帰りました。
「悔しいと思ったのは、自分の選択した道を否定された気がしたのかもしれないけど、
先生が言った事がおかしいと感じたならば、それを証明する必要があるのよ。
悔しいと思ったままではなく、覆さないと。
次男くんが小学校から野球やってて中学校から初心者の子が入部してきたらどう思う?
自分達は昨日今日の練習量じゃなくて、積み重ねてきた自信と自負があるでしょ。
でもその子がとても上手い選手だったら?
自分達のレギュラーの座を奪われまいともっと頑張るでしょ。
そんな役目になれれば、
チーム全体がさらにレベルアップできれば、
次男くんが入部した意義は十分。
すぐにレギュラーにはなれないと思うよ。
でも何かしらの爪跡は残しなさい。
まずは入学までの数ヶ月でどこまで上達できるかやね。
先生に誇れる結果を見せてやる!それがまずは目標やね。」
「うん」
次男くんの目には炎がメラメラと…
のように見えました
私はとりあえず二次募集のある高校を調べたりして。。。一応ね。
そして、いよいよ私立高校合格発表の日。
結果は…
つづく。
母は強しですね!続きが気になるよー!
娘の時もまたいつかご紹介したいと思います。