明日は、娘の幼稚園の運動会だ。
また、去年と同じく、バタバタと落ち着かない一日になるんだろうなァ。
カメラやビデオ、親御さんたちの必死の姿を見られるだろう。
僕は一歩下がって、その状況を客観的に観察しておこう。
落ち着いて、ゆっくりと、楽しもうと思う。
さて、僕が小学校の頃、運動会では必ず、始めと終わりに、
運動会の歌を全校合唱したものだ。
この歌、全国的なものかと思っていたら、
最近になっ . . . 本文を読む
電話の着信音が鳴った。
浅い眠りに慣らされていた僕達は、すぐに飛び起きた。
枕元の時計で、時間を確認すると、深夜の2時半を過ぎていた。
電話の子機を手にとるまで、数秒間のためらいがあった。
「とうとう、来たか…」という想いが、頭の中で駆けめぐった。
子機を耳にあて、「はい」と僕は言った。
電話をかけてきたのは、予想どおり、父だった。
「あの…、もう、時間の問題らしいから、会うなら早く来い」
搾り . . . 本文を読む
「回遊の連鎖」から続く、
「おい~、まさか?お前、僕の名前を出してないやろな~」
僕は、Tに確認した。
「…大丈夫やと、思うよ…お前の名前は出さなかったよ」
どうやら、僕が危惧したことは、杞憂だったようだ。
「そうか?それなら、安心やけど…。ところで、何冊ぐらい足らんのかな?」
「う~ん、そうやな~、ツレがいうのに、2冊ほど回収不能で、
返ってきてないということや。すまんなぁ~…」
「2冊 . . . 本文を読む
「虹彩の煌めき」から続く、
Hが僕に無理やり預けていった、20数冊の「エ○本」群、
その固まりが入ったバッグを、Tは喜んで持って帰ってくれた。
(…よっ!しゃあ~っ!~…~…!)
僕が預かった時間は、わずか数時間だった。
「…あぁ!助かった~!…」
重苦しかった気持ちは、軽くなった。
僕の、この行い…、もし…、
「ワイセツ物貸与罪」というものがあれば、それに該当するかもしれない。
…と、なると . . . 本文を読む
「従順な救世主」から続く、
「なあ、コレ!ちょっと、貸してくれへんかなぁ~~」
Tの口から出てきた言葉に、
僕は「やった!」と心の中で“バンザイ”をした。
「…なんという、絶妙のタイミングで、ここに来てくれたんや!…」
僕はTの存在をありがたく感じた。
「ええで~、持っていってよ!」
「ほんまか~、ええんかぁ~~?じゃあ、好きなの、借りていっていい?」
「おい!選ばんかてええ!カバンごと、全 . . . 本文を読む
「迷走する想い」から続く…、
「こんにちは~~」
階段を上って、部屋に入ってきたのは、同級生のT君(以下Tと言う)であった。
TもHと同じく、高校の同級生。Tのプロフィールを紹介すると、
学業の点では、数学など理数系は得意だが、英語は“すっとこ”できない。
3年生になったとき、長男である家業の工務店を継ぐため、
専門学校への進学を早々に決めた。
性格はいたって穏やかの、のんびり屋タイプ、
Hの . . . 本文を読む
「夏の委託品」から続く…、
部屋の隅に置かれたバック、中には、20数冊の「エ○本」が入ってる。
「難儀な、預かりモノや~…」僕は、心の中でつぶやいた。
そして、引き続いて、瞑想が頭のなかにうずまく。
「その辺に、簡単に置いとけるモノでなし…」
「捨ててしまえるわけでなし…」
「いっそのこと、ウチの家族の前で、暴露してやろうか…?」
「そうすると、学業優秀Hのことは、逆センセーショナルに~…!」 . . . 本文を読む
「青春の心理戦」から続く…、
「まあ、何はどうであれ、お前しか頼める者は、いてないんや~」
「預かってくれるよな~…」とHは、幾分、低姿勢で懇願したが、
彼の性格上、強引に置いていくだろう。
頼まれると、断りきれない僕も、
「困ったな~、(ふすま隔てた)隣には、弟(当時中学2年生)がおるし~」
と抵抗するが、ほぼ受託させられた気分である。
しばし、困惑気味に口を閉ざしていると、
「もう!コレの . . . 本文を読む
「夏休みは…天王山?」から続く…、
前回表題のとおり、受験生にとっての「夏休み」は重大局面。
その過ごし方が、受験本番の結果を左右する。
しっかりと集中して、勉学にいそしまなければならない大切な期間。
あぁ~、それなのに、それなのに…。
「夏休み」の序盤戦、その昼間に、突然やってきた、同級生のH。
彼の担いできた、大型ショルダーバックから、やにわに取り出された代物。
それは…、
「預かって欲 . . . 本文を読む
「夏が来れば、思い出す~」こと…いと多し。
だから、…ということで、ひとつ…ばかり、お話を。
「中~途半端!やなあ~!」で、移り気の私、しばし、お付き合いを…
大学受験生にとって、「夏休み」は「天王山」だという。
それは、僕が、高校三年生、
「夏休み」が始まって間もない、7月の下旬だった。
昼食をとって、2階にある自分の部屋で休んでいたところ、
階段を誰かが上がってくる。
「せっかく、昼寝し . . . 本文を読む