土地神様

テニアンへ移り住むまでの６年間。順風満帆だったって思われてないでしょうか？
母親にも言われました。「あんたは思ったとおり生きていくんだねぇ」
そんなことは、ありません。
だいたい順風満帆なら、６年もかからないでしょう？（笑）
初めてテニアンに来た頃、私は「接触恐怖症」でした。
そんな病名あるのかわからないけど、とにかく他人の肌に触れるのが嫌でした。
それも、男性・女性関係なく。
小さい頃、面倒をみてくれたばあちゃんは大正時代の生まれの人で、
ハグとか、抱きしめる育て方をしなかった。それも原因の一つだとも思います。
だから満員電車はもう最悪でした。
高校の夏休みにゼミに通ってた時、一週間立て続けに痴漢に合い、それがきっかけかどうかは分かりませんが、
男性恐怖症になりました。
３人姉妹の末っ子で、男の子に生まれることができなかったプレッシャーからか、自分は小さい頃、大きくなったら男の子になれるもんだと思っていたので、自分の心と身体とがバランスの取れない状態で、そんなことも関係してたのかもしれません。
初めてテニアンへ来て、そんなこと、すぐにふっとびました。
おそらくテニアンに来なかったら、一生あのままだったかもしれない。
ほんとうに、感謝しました。
肩に力を入れず、たぶん普通の環境で育つことができたならこういう風に生きられたんだろうな～って思える、そんな幸福感を味わうことができました。
でも、それもあっけなく崩れました。
私の中で残ったのは「人間不信」
それでも、テニアンは、私を裏切りませんでした。
テニアンのそこここにいる土地神様はいつも味方をしてくれました。
絶妙のタイミングで私を守ってくれる。。。
そう、存在を感じることのできる神様たち。
海の神、樹の神、道の神、そして土地の神。
何度助けてもらったか。

４２NDストリートに、千年樹と呼ばれるガジュマルの大木があります。
日本統治時代からあった樹です。
私は、遊びにくる度、その木に話しかけました。
「また来ました」「また来ますね」「それでは、また」
今回の引越しで挨拶をした時、風で葉っぱがこすれあって、パタパタパタパタ・・・・・。
まるで、拍手をいただけてるようでした。
テニアンは、私を望んでないんじゃないか？
そう思ったときも何度もありました。
それでもいきなり話が決まって２ヶ月後、私はここにいます。
上司から、テニアン行きの話をもらったその朝も、私は遠くに見えるテニアンを見ながら出勤し、
「なんでわたしはあそこにいないんだろう」と思いながら運転してました。
・・・人生は、いつなにが起こるか分かりません。
私も両親になにかあったら、テニアンを捨ててすぐ帰ります。
もう高齢ですから、それが明日かも知れない。
とにかくその日が遠いことを、祈っています。