「盟を結ぶ」
李通(りつう)からも「一時の思いつきではない。家財を投げ打ってでも劉家と決起したい。どんな危険も辞さぬ覚悟だ」と言われ、劉秀(りゅうしゅう)は「この件は戻って兄と相談しても?」と言う。「今日、返答をもらうまでは帰れぬと思え」と言う李軼(りいつ)。その時、部屋の外にいる麗華(れいか)の気配を李通が感じ「何者だ」と言う。
麗華が部屋の戸を開き、李軼と剣を交える。隙をつき、劉秀の手を取って逃げる麗華。2人は李宅から脱出することができる。
部屋に残った李通は「先ほどは軽率だったぞ」と李軼に言う。「奴が煮え切らないからだ。恨みは忘れて手を組もうというのに」と返す李軼。李通は「私が見るに劉秀はただ者ではない。決起とならば慎重にもなろう」と話す。
李軼は直接、劉縯に持ちかければ必ず話に乗ると考えていた。しかし李通は劉縯とは因縁があるため、簡単には我々信じまいと言う。鄧家のように姻戚関係になれば劉家の信頼を得られると思った李軼は、まだ独り身の劉秀に李珺(りくん)を嫁がせては?と提案する。
無茶をした麗華に、負傷させたら兄君に申し訳ない、と話す劉秀。劉秀がお礼を言うと「私こそ3年前、賊から救われたわ」と麗華が言う。
麗華が自分のことを「秀兄さん」と呼び「昔は“文淑兄さん”と呼んでいただろ」と言う劉秀。麗華は「思い出せないことが多いの。だから教えてほしくてね。なぜ父上はあなたに私を託したの?」と聞く。
「自分は重病ゆえ、君を家まで送れと」と劉秀は答える。麗華がどんな病気か尋ねると「私も聞いていない」と言う劉秀。「たとえ病が事実だとして、母上まで亡くなった理由は?」と麗華が言う。劉秀は「過ぎたことはもう蒸し返すな」と話す。「兄上と同じね、何を隠しているの?」と言う麗華。そこに鄧晨(とうしん)が来る。
劉秀と鄧晨は宿に戻ることにするが、劉秀に怒った麗華は鄧嬋(とうせん)の所へ帰ってしまう。
公孫宅。「会えたのに浮かない顔をしているわね」と鄧嬋が言うと、麗華は「会うには会えたけど、何だか昔の彼とは違う気がする」と話す。性格まで変わってしまうもの?昔はいつも笑みを浮べて素直な人だったけど、今はどっちつかずで馬鹿にされても甘んじてる、やっと会えて昔のことを聞いても、あいまいにはぐらかすばかりだと。
麗華は「何年もずっと私の心には大きな穴が開いている。必死で思い出そうとしても、霧に包まれたように何も見えないのよ。とても耐えられないわ」と言う。「では考えないで。過去を忘れることが悪いとは限らない。私なんて上巳節で助けられたことばかり思い出す。あの時、彼の腕の中で死ねたらどれだけ幸せだったかと」と言う鄧嬋。悲観しないよう麗華が言うと「でも今世で彼に会うこともないわ」と鄧嬋は言う。「願いつづければ、必ず会える日が来る」と慰める麗華。その時、麗華は子供の頃、劉秀から“今日で君ともお別れだ。これより花の都・長安を去る。私の心は君と共に新野へ”と言われたことが頭をよぎる。
宿で合流した劉縯が「私が広く食客を募る理由がまだ分からぬか?願ってもない機会をどうして断わる?」と劉秀に言う。「李通の父は新朝の宗卿師だ。李通が気概で決起するのはいいが、家族はどうなるのだ?」と言う劉秀。鄧晨も「決起すれば朝廷より叛徒と見なされる。失敗すれば一族郎党根絶やしにされるぞ」と言う。それでも「だが我らは高祖の末裔。苦しむ民を顧みないなど申し訳が立たぬ。3年前とは違うのだ。あの時のように好機を逃したくはない。必ず李家と手を組むぞ」と言う劉縯。
「義兄上は?」と劉縯が聞くと「どうせ仲間と見なされる。とことん付き合うまでだ」と鄧晨は答える。劉秀も2人が行くなら私も当然お供すると話す。しかし用心に越したことはない、簡単には承諾しないでくれ、と。
劉秀は城東駅館で劉縯と麗華が話しているのを見かけ、そばへ行く。男装した麗華が男だと思っている劉縯は「劉秀より馬が合う」と言い、2人は酒を飲む。それを見た劉秀はあきれる。
麗華も一緒に李家へ行くことになったと劉縯から聞き「駄目だ」と言う劉秀。まだ若いと。しかし麗華は諦めようとせず、劉秀は話があるとその場から麗華を連れて行く。
何も言わない劉秀に「なぜ黙っているの?家に帰れと言えば?」と言う麗華。劉秀は「麗華は聡明だ。言わずとも分かるはず」と返す。「確かに私は女だけど、決して…」と麗華が言いかけ「家にこもって一族に頼るだけのか弱い女とは違う」と劉秀が続ける。自分が言いたかったことを劉秀に言われ「じゃあ、話すことはないわね」と麗華は行きそうに。そんな麗華の前まで来ると、作ったばかりの草冠をかぶせる劉秀。
劉秀は「久しぶりでうまく編めない。だが君は美しいままだ」と言う。「子供扱いして、おだてるの?」と動揺しながら言う麗華。劉秀は「そうじゃない。君には幸せに生きてほしいのだ。争いに身を置くな」と話す。君は志もあり腕も立つがしょせんは女子、新野に戻ったほうがいい、ご家族が心配する、と。しかし「戻らない。昔のことは忘れても伯父上と母上の言葉は心に刻まれてる。“人々の天下ならば、天下の害は人々の力で除け”と。宛の状況は3年前より悲惨よ。世は乱れ、民が苦しむ現状から目をそらせと?」と麗華は言い返す。
「我らは凡人だ。力の及ばぬこともある」と劉秀が話し、麗華は「だから諦めるの?太学の時、あなたは志を抱え、運命は己の手で握れと言ったわ。努力すれば世を正せると。いつの間に臆病になったの?」と言う。「君も私を臆病だと?」と言う劉秀。麗華が何も言えずにいると、劉秀は「決起して敗れようものなら、君はともかくご家族はどうなる?無力な老人や幼子たちは?」と言う。
昔、父と東群を訪れた時のことを劉秀は話し始める。太守・翟義(てきぎ)が厳郷侯・劉信(りゅうしん)を天子に担ぎ、打倒“新”を掲げ挙兵していた、だが3カ月後、決起は失敗に終り翟義は磔刑に、王莽は磔家の墓を暴くよう命じ、三族皆殺しでも飽き足らず数百人もの屍を毒草と共に穴に埋めさせたのだ、そして数千人の義士は濮陽などの街道で屍をさらされた、血で染められた道を歩きながら父は言ったよ、力もなく決起すれば無辜の者を犠牲にすると、そして春陵に戻ると父は重い病で世を去った、と。そして、あれから数十年、戦は絶え間なく続いている、劉家の末裔として私と兄上は国を正す責任がある、守るべきは己の栄誉だけでなく一族やすべての人々の命だ、と言う劉秀。
「だが君は違う。そんな重責は担えない」と劉秀に言われ、麗華は「私を案じているのよね。でも、私もあなたたちが心配なの。劉家と鄧家が手を結べば陰家も無関係とは言えない。兄上も早々に手を回しているはず。だから私を陰戟(いんげき)だと思って。この乱世で肩を並べて戦いたいの」と告げる。子供の頃の麗華が「正義を掲げ天下を支える。男の人がやれるなら、私にもやれるわ」と言っていた事を劉秀は思い出す。麗華がもう覚悟ができていると劉秀は分かる。
李宅。「漢を復興させようぞ」と言った劉縯と、劉秀、麗華、鄧晨、李通、李軼たちは乾杯をする。李通は妹の李珺を紹介し、李軼が妻帯していない劉秀に「両家が姻戚関係を結んでは?」とすすめる。劉縯は願ってもない話だと喜ぶが、劉秀は時期尚早だと断わる。大業を成すまでは妻帯できないと。気に入らない李軼。
翌日、城東駅館。鄧晨は麗華に「お前のために文淑は独り身を貫いている。情があるなら手放すな」と話す。そして今夜はこの宿に泊まっていけと言う鄧晨。
李通は集まった劉秀たちに、まずは李家が挙兵し宛を制圧する、劉縯殿は春陵、鄧晨殿は新野で決起すれば天下の豪傑も呼応しよう、その勢いで南陽を奪取し長安を狙う、と話す。「我ら兄弟が春陵で決起することは問題ないが、宛を制圧できる勝算は?」と聞く劉縯。それに李軼が「ご心配は無用。すでに南陽の掾史らを引き入れている。前隊大夫・甄阜と属正・梁丘賜を捕らえれば宛などすぐに落ちる」と答える。
浮かない顔の文淑に「何か心配事でも?」と聞く李通。劉秀は「飢えから命を守るため叛旗するのが流民だ。だが我らは大事を成すために戦う以上、必ず勝てる一番の好機を選ぶべきかと」と言う。李通が「では、その一番の好機とは?」と言い、劉秀は「立秋の日、宛では官吏は皆、郊外で狩りの儀式を行なう。その隙に甄阜らを捕らえれば統率者を失った宛と南陽は頂いたも同然かと」と話す。
立秋は3カ月も先だった。李軼は遅いと感じるが、決起には募兵や兵糧集めなど時間を要し、3カ月でも足りないほどだと話す鄧晨。それでも反対したい李軼だったが、麗華も秋の挙兵に賛成し、李通は立秋に決起することを決める。
麗華は兵を募る劉縯と劉秀と一緒に春陵へ行くことに。
劉縯は麗華と李軼を自分の家へ連れて行く。
男たちと雑魚寝することを覚悟していた麗華だったが、劉秀が敷地の奥にある自分の書房へ連れていってくれる。
麗華は冠帽を貸してほしいと劉秀に頼む。「私は農民だから布で髪を縛っている」と言う劉秀。普段、髪結いを侍女に頼んでいる麗華は「自分では無理かも」と話す。それを聞いた劉秀は「結い方は簡単だ。私が教える」と言う。
劉秀は髪をほどき、ほぐして手で梳くと、ねじってから頭の上で巻く。鏡のかわりに短剣で結ってもらった髪を見る麗華。その短剣に劉秀の顔が映り動揺する。そんな中「兄上」と言いながら劉稷(りゅうしょく)が入ってくる。劉秀が男の髪に触れていると思い「もしかして秀兄上、男色?」と言ってからかう。陰家の令嬢を娶れないものだから、若造に入れあげたな、と。
麗華が1人、竹を削っていると、劉秀が来る。劉秀は「ここの暮らしに慣れないなら、一度、家に戻ってはどうだ」と話す。「戻れば兄上から監禁されるわ。その時、助けてくれる?」と麗華が聞く。「おとなしく戻れば必ず私が助けに行く」と言う劉秀。兄上が大業を成せば、君の家へ行くと。「それは、どういう意味?」と麗華が聞く。劉秀は「“工をよくしたくば器を利せ”。今は弓矢が足りないから竹を削って作るのはいい方法だ。さすが陰兄弟は聡明で頭が切れる」と言う。そして、刃こぼれしてしまった麗華の短剣を、明日には元通りになっている、と言う劉秀。
夜。劉秀が書房へ行くと麗華が「軍讖」を読んでいた。「兄上も捜していたのよ」と麗華が言うと、劉秀は「これは蔡少公殿の所蔵で、長安を離れる時、置き忘れていたのだ。いつ会えるか分からないし、記念にと手元に残しておいたのだ」と話す。「じゃあ…ようやく親族の手元に戻ったわけね」と麗華は言う。
麗華はぼやけて読めない注釈を劉秀に説明してもらう。「ずっと思ってた。気概のあった太学生の劉文淑と秀兄さんは違うって。でも分かったの。実は“柔よく剛を制す”なのだと。きっと軍讖を完全に理解し、自分に応用したのね」と言う麗華。劉秀は「軍讖は計謀を用いるが、君には心を尽くす。我らは何年も会っておらず、君も私の記憶を失った。だが、これだけ知っておいてくれ。劉秀は永遠に陰麗華を傷つけない、君をだましたりしないと」と話す。
ーつづくー
今回はエピが多かったような気がする。
やっぱり麗華強い(*≧ω≦*)
うまく逃げられたけど、結局、李通たちと手を組む事になって。
李通は話の分かる人だ思うけど、李軼が気に入らない顔ばかりしてる。
何か問題を起こさないといいけど…。
麗華は劉秀に怒ったりもするけど、お互いに意識してていい感じ。
でも李珺のこともあるし…どうなるんだろうヾ(・ω・`;)ノ
毎回と言っていいほど新しい人が出て来る( ̄▼ ̄|||)
劉稷は劉縯と劉秀の弟だよね。
そういえば劉軼が伯姫のことを好きになったかも?
劉秀が李珺と結婚しなくても、この2人が結婚すれば…とも思うけど、伯姫は鄧禹が好きだし。
なかなか上手くいかない(;д;)
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志が明確なので、いいですよねー
劉縯はいい弟分ができて喜んでいますが、
劉秀は困惑していますよね。
でも、麗華の好きなようにさせているところが
本当に優しいと思いながら見ていました。
花冠もよかったですし、
ラストの、「永遠に君を傷つけない、君をだましたりしない」なんて、最たるものですよねw
それにしても麗華はやっぱり危なっかしいです(笑)
鄧嬋の、「願いつづければ、必ず会える日が来る」も
いい言葉でした。
願い続けて、早く気付いてほしいですね!