
呼び名の「…フウロ」は科名と属名のフウロソウ(風露草)から取っているようですが、「風露草」はゼラニウムなども含まれる数種の植物の総称だそうです(広辞苑)。学名“Geranium carolinianum”のゲラニウムは鳥のツルから来た言葉で、実の形がツルの嘴に似ているから。カロリニアヌムは米国カロライナ州のこと(「夏の野草」同前)。蛇足になりますが、「ゼラニウム」は上の“Geranium”の読みが訛ったもののようです。(3月下旬、近くの河川敷で)


花のあとには、これもマメ科特有の鞘に覆われた10個ほどの実が生ります。マメは同属の「スズメノエンドウ」のものよりも大きくて黒く、これが名前の頭の「カラス…」の由来です。
後半の「…ノエンドウ」は、野原で育つ食べられる豆なので「野豌豆」。〆てこの植物の呼び名は「カラスノエンドウ(烏野豌豆)」というわけです。
群馬県では別名を「シビビ」。これは、中のマメを取り出して作る鞘笛の響きを真似たものとのこと(「季節の野草・山草」日本文芸社)。

ホトケノザの草丈は15~30センチほどで、3~4段の扇状の葉が茎をフリルのように囲み、

花は雛鳥が親に餌をねだって大きく口を開いたような凝った形をしていますが、それに輪をかけて、上部のツボミのように見える部分は「閉鎖花」という、花を開かずに受粉してしまう仕掛けにもなっていています(「春の野草」山と渓谷社)。
この植物は葉が段々に付くので、別名で「サンガイグサ(三階草)」とも呼ばれています。


シソ科オドリコ草属の「ヒメオドリコソウ」はヨーロッパ原産の帰化植物で、明治の中期に渡来しました。現在では各地の野原や畑の畦道などに生えています。草丈は15センチほど。四角い断面の茎に対生(脚注)する葉はハート形で周りにギザギザがあり、上に行くほど赤ジソのような紫色を帯びています。4~5月には、上部の葉の間から赤紫の小さな花を咲かせますが、花の形は在来種の「オドリコソウ」にそっくりのミニチュア版で、呼び名の接頭辞の「ヒメ…」もそこから出たとのことです。この植物は、アリが種子を巣に運び入れると発芽するという、珍しい方法で繁殖します(「季節の野草・山草図鑑」日本文芸社)。
在来種の「オドリコソウ」も、各地の野原や亜高山地帯などに広く分布しています。笠を被った踊り子のような姿の白い花は、抜き取って中の蜜を吸うとほのかに甘く、子供の頃にそれで遊んだ記憶があります。
3月下旬、写真左は近くの河川敷、同右は二宮吾妻山公園にて。
【注】対生:葉が茎から出るとき、茎の同じ高さから、向き合うように2枚の葉が出ること。