気儘にブログ

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カワラケツメイ(河原決明)

2007-09-28 | 平成草木図説
マメ科カワラケツメイ属の「カワラケツメイ」は日本・朝鮮半島・中国に分布する一年草で、国内では北海道を除く各地の「河原」や道端などに生えています。草丈は20~30センチ、葉はネムノキに良く似ていて、夜には閉じるところも同じです。8月から10月にかけて黄色い花を咲かせ、花の後にはミニサイズのサヤエンドウに似た実をつけます。昔から葉や実を煎じて「ネムチャ」や「マメチャ」などの名で飲用され、利尿効果があるといわれています。
同じマメ科カワラケツメイ属の仲間に夷草(エビスグサ)という植物があり、広辞苑には「北アメリカ原産で江戸中期に中国から渡来。高さ約1メートル(中略)。夏、葉腋に黄花を開き、約15センチの莢(さや)を生ずる。種子は生薬として下剤などに用い、ハブ茶の代用としても飲用、漢名は決明…」とあります。話を「カワラケツメイ」に戻しますと、その呼び名の由来は、「河原」に生えている「決明」(エビスグサ)、ということから出ていますす。
エビスグサには疲れ目を治す薬効がありますが、漢名の「決明」には「目を明らかにする」という意味があり(四季の山野草)、そこから ”エビスグサ=決明” のツナガリができたようです。
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「巾着田」の曼珠沙華

2007-09-27 | 彷徨録
彼岸中日の23日、日高の「巾着田」へ曼珠沙華を見に出かけた。埼玉県西部を流れる荒川水系の高麗川は、日高市の西郊で逆Ω字型に蛇行し、北に向けて口を開けた巾着の形に似た地形を作っている。直径500メートルほどの平地は巾着田(きんちゃくだ)と呼ばれ、秋には河畔の疎林に咲く曼珠沙華の群生が、訪れる人たちの目を楽しませている。

予報に違わず、電車が着くとすぐ雨になった。恰も地元では曼珠沙華祭りが開かれていて、土産店や案内所の屋台が立ち並ぶ駅前広場は観光客の傘で埋まり、案内放送の大音声が耳をつんざく。早々に雑踏と喧騒を逃れ、雨傘の列が続く15分ほどの道程を巾着田に向う。

雨には曼珠沙華がよく似合う。雨に煙る白い傘の列に花々の赤いシルットが映え、花糸に宿った小さな雨粒がかすかに光る。
「長崎物語」の一節を口ずさむ
赤い花なら曼珠沙華
阿蘭陀屋敷に雨が降る…
僅かに混じる白花の曼珠沙華は、真赤なドレスに留めた真珠の胸飾りを想わせる。
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イタドリ(虎杖)

2007-09-24 | 平成草木図説
「イタドリ」は日当りのよい山野のいたる所に生え、特に河原などの裸地化した場所に多いとのこと。ここ(多摩川下流の河川敷)では、護岸の目的でか、生態系維持のためか、あるいは単に刈るのが難しいからか、川岸から数メートルぐらいの間のヤブは、草を刈らずにそのまま残してありますが、そこでもイタドリは、前記ように裸地化したヤブの中で花を開いています。雌雄異株で左上の写真は雄株、右下が雌株。雄花は白っぽく、雄しべが花びらから長く突き出ていますが、雌花は少し緑色がかった白で、雌しべは花びらの中に隠れています。どちらも花は茎の先端だけでなく、葉の付け根からも咲きます。
春先に地中から伸びてくるアスパラガスのような若芽は、山菜のひとつにも数えられ、皮をむいて生で食べると甘酸っぱい味がします。根や茎は、古くは痛みを取る鎮痛剤として用いられ、「イタドリ」の名はそれから出たとのこと(「季節の野草・山草図鑑」日本文芸社)。タデ科タデ属の多年草で、原産地は日本・中国・朝鮮半島。国内では九州から北海道の各地に分布しています。花期は7~10月。
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アメリカタカサブロウ(アメリカ高三郎)

2007-09-22 | 平成草木図説
マジで「アメリカタカサブロウ」という、人の名前のような植物があります。キク科タカサブロウ属の仲間で熱帯アメリカ原産の一年草。1981年に最初に発見されたという新しい帰化植物ですが、関東以西の各地に広く分布し、主に田圃や造成地などに生えています。当地で見られるものは草丈は30~40センチほど。葉は先が尖って細長く、周囲にはノコギリ状の浅いギザギザがあります。メヒシバなどに埋没して目立ちにくいですが、7月から11月にかけて、直径が数ミリで超ミニサイズのヒマワリのような白い花が咲きます。
花の後の実(写真中央左上)は、菱形の種子が花よりは少し大き目の円形に寄り集まった形をしていて、熟すと黒褐色になります。日本在来種の「タカサブロウ」は本種とは同種同属で、国内では先輩格の仲間です。こちらも本州以南で見られる一年生草ですが、「アメリカ…」に比べて花がひと回り大きく葉も太めです。水田の畦などで、両種が混生している例もあるとのこと(「植物雑学辞典」岡山理大)。
この在来種は眼のただれを治す薬草でしたが、江戸時代に「ただれ眼」をもじって「高三郎」と呼ばれたのが、呼び名の由来になったという説があります。「アメリカ…」はその南米渡来種というわけですが、別種として区別するため、在来種のほうを「モトタカサブロウ」と呼ぼうではないか、という意見もあるとのことです(西さがみの山野草)。
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ツルマメ(蔓豆)

2007-09-20 | 平成草木図説
マメ科ダイズ属の「ツルマメ」は日本、朝鮮半島、中国、シベリアに分布する蔓性の一年草で、大豆の原種と考えられています。
日当りのよい草原や土手などに生え、蔓で背の高い植物などに絡みつきながら成長しますが、周囲に絡みつくものがないときは、ところどころで自分自身を複雑に絡め合って、鎌首を持ち上げるようにして蔓先を伸ばしています(四季の山野草)。
8月~9月に開花する大きさが5ミリほどの薄紫色の花は、マメ科の花の特徴である蝶形花【脚注】です。
豆腐、味噌、醤油などの原料である大豆は、本種から改良された栽培種で、学名(Glycine soja)のglycineは(大豆の味が)「甘い」という言葉に由来し、sojaには「醤油の…」という意味があるとのことです(「夏の野草」山と渓谷社)。
蝶形花(ちょうけいか)】:左右相称の蝶に似た形の花で、花びらは5弁。マメ科植物に多い。
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