意思による楽観のための読書日記

ブラック・ローズ 新堂冬樹 ***

こんな女性がいるのだろうか、梨田唯。 若手のテレビ局プロデューサー、父も同じ職業だったが、仕事に悩んで自殺したという。その原因を作ったのが唯の上司である仁科、犬が狼をやっつけるにはまずは狼の子になれ、とばかりに仁科に弟子入り、プロデューサーのイロハを学ぶ。交際していた圭介とは同じ職場になった時に、ライバルになるのは嫌と別れた。

そんな唯が仁科に復讐できるチャンスが来た。500万部を売り上げた小説シリーズのドラマ化であるが、作者の河田は頑固者、作者の世界観をテレビでは再現出来っこない、とドラマ化を断り続けてきたいという。そこで、唯はウソも方便とあることないことを織り交ぜて河田を説得、そして、今売れっこ若手俳優の桂木直人を強烈に売り込んだ。小説の中の主人公イメージと全く違うと強い拒否感を示す河田だが、徐々に唯の強烈な売り込みにその気になってくる。

一方、桂木直人も超売れっ子タレントだけあって次の放送クールに間に合わせるための撮影に日程をさくなどとは考えられないと最初は突っ張っていたが、それも唯はあれやこれやと説得、ついに桂木直人の事務所も説得してしまった。そして、桂木直人の相手役には、昔交際していたと噂のあった女優で、東大生の菊池真弓をアサインしたいと考え、これも説得に成功、話題作りには事欠かないドラマ化になった。

いよいよドラマ化記者発表の当日、間際になってやはりドラマ化は嫌だと言い出す河田を丸め込んだ唯、一息つくまもなく、クランクイン直前になって桂木直人が暴漢に襲われ大怪我をしたという。恨みを持った仁科の仕業かと疑う唯だったが確証はない。そこでまたまたのウルトラCで、桂木直人の代役にお笑いタレントで売り出し中の和田翔太に目をつける。こちらも話題作りでは事欠かない配役、これでいきなり視聴率35%以上を叩きだし、唯はいよいよ勢いにのる。

仁科を徹底的に叩き落としたいと執念を燃やす唯は、元恋人の圭介を情報源に、仁科の仕事を妨害するような情報戦に打って出る。その上、でっち上げかもしれないが仁科が桂木直人を襲撃させたのだと雑誌に暴露してしまう。テレビ局は大騒ぎになり、仁科は会社に出てこれなくなる。唯の周りの人間達は、唯のあまりに非人間的な振る舞いに呆れるが、圭介だけは唯のことをかばい、思い続ける。

最後は、唯のつっぱりも破綻、仁科もプロデューサー生命を絶たれてしまうのだが、唯を最後まで見捨てなかった圭介ともう一度やり直そうと唯は決意する。

テレビ局の裏側、タレントとヤクザのつながりを示唆する逸話、タレントと事務所、プロデューサーとテレビ局の関係などが描かれるが、ちょっとデフォルメしていて、こんな話はいくらなんでもあるはずがないと考えながらも、あまりに次々と事件や突発事故が起きるので、物語の展開が読めなくて、次はどうなるのかと気になる。ちょっと軽めの業界筋物語、これは一気に読める。


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