二人が迎える人生の「ゴールデンタイム」はいつなのか。笙は24歳になっても定職にはつかず、劇団で知り合ったミックの生き方に惹かれ、そして松子の知り合いのプロダクションの女社長から、俳優になったらどうかと勧められその気になる。明日香は医学生として勉学するあいだに知り合った病院の跡取り息子の輝樹に結婚を申し込まれ、一時はその気になるが、俳優を目指すという笙に再会して、米国への医学生としての留学を実現するため輝樹のプロポーズを断る。
松子が辿ったような波乱万丈の人生を二人も送るのか、意味のない人生などないのだ、と笙は松子の死を知って思うようになる。さらなる続編と、長編小説の予感を存分に残しながら物語は閉じていく。「嫌われ松子の一生」とは秀逸のタイトルであった。その続編を期待して読む読者には肩透かしを食らわせるが、新たな二人の一生に全く異なる一生を提供することになるのか、この先に期待したい。
