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日本のお城と西洋のお城の違い、日本の城の歴史や構造と構築戦略、城に関連する人物と伝説などを概説。そのあと、代表的な城を写真、縄張り図、概略、歴史などを紹介する。さらに、東日本と西日本に分類してその他の城についても紹介、最後に、全国天守、大名と城一覧が付録している。
代表的な城としては、松本、姫路、江戸、大坂、熊本、宇和島、彦根、金沢、会津若松、松江、岡山、高知。さすがにこれらは有名なお城、四国のはずれにある宇和島城はバスツアーの窓から見上げただけ、それ以外は見に行ったことがある。東日本は五稜郭から弘前、盛岡、仙台、久保田、高崎、宇都宮、川越、佐倉、小田原、小諸、上田、新発田、甲府、駿府、岡崎、犬山。西日本は二条、福知山、明石、和歌山、津山、萩、松山、高松、徳島、福岡、小倉、佐賀、平戸、臼杵、鹿児島、首里。まだまだ見ていないお城も多い。
城に関連した人々の中で石組み職人の穴太衆(あのうしゅう)の物語は興味深い。滋賀の坂本に穴太という地域があって、そこには朝鮮半島から製鉄技術とともに、石組み技術をもった人々が移住して住み着いていた。比叡山近辺に点在する横穴式古墳群は6世紀頃にこれらの技術者によって作られたと言われている。比叡山延暦寺の構築の時に活躍した石組み職人たちは住んでいた地域名称から穴太衆と呼ばれた。安土城を建設する際に活躍したことで戦国大名たちにも知れ渡り、その後全国の築城の際には、職人たちが高給で招聘され各地方に住み着いた。日本の城の石組みには様々な技術、積み方があるが、基本は穴太衆の野面積み。ある程度までの地震であればコンクリートやブロックで作られた現代の塀などよりも強固であると言われる。
穴太衆が伝えてきた石組みの基本は次の通り。1)堅固な石垣にする。 2)石を無理に据え付けない。 3)根石(基礎石)は天を見せる。 4)石の合端(合わせ目)は「2番」より奥で付ける。 5)石面を「通り面」にする。 6)間石はなるべく2個を使用する。 7)石尻のとも介石は真下に水平に打ち込む。 8)勾配は真の勾配よりやや寝かせる。
穴太衆の石組み技術は今では世界でも認められ、現在でも粟田建設がその技術を継承している。地震で崩落した石組みの再建を託されているのはこの粟田建設である。