『天・地・水・命』 ~自然の恵み~

 「 天を仰ぎつ 地に伏しつ 水に語りて 命覚ゆる 」 仙人

栄螺

2013-04-18 | 生物(etc)
 とある水産試験場の水槽の中を覗いてみました。
 茶色い物体は『コンブ』です。
 その『コンブ』の中に見える白い物体は...
 大きさが精々3cm程度の小さな稚貝です。

 その正体は「栄螺」と書いて『サザエ』です。



 この水槽は『コンブ』を育てるのではなく、『サザエ』を育てるためのもので、『コンブ』は『サザエ』のエサです。



 ちなみに、天然の『サザエ』の稚貝は白く無く、成貝と同じような色をしています。
 養殖のサザエが白いのは、エサの色素によるものです。
 天然では、海藻も多くの種類の物を食しますし、海藻以外のサンゴ藻などや、時には砂なども体内に入る場合があります。
 そのため色々な色素が殻に反映してあのような複雑な色になる訳です。

 養殖した個体を海域に放流して以降の『サザエ』については、既に成長した部分の殻の色は白いままですが、これから成長して形成される部分については、普通見られるサザエの色になって行きます。



 「栄螺(サザエ)」の“螺”の文字ですが、「螺旋(らせん)」や貝細工など示す「螺鈿(らでん)」でも使われています。

筋蝦

2012-12-05 | 生物(etc)
 河川や湖沼に生息する『スジエビ』です。

 その名の通り、透明な体に“筋(すじ)”が入っています。
 水草や河岸植生の水中の根、転石などに張り付いて、珪藻やデトリタスなどを主に食しています。
 淡水域の掃除屋でもあります。



 以前に描いたイラストです。

 単独でいる事はほとんどなく、かなりの数の群れで生活しています。
 調査中にタモ網でガサガサしていると、数十匹がまとまって獲れる事もよくあります。

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 動物食や雑食性の魚類の格好のエサとなっています。
 河川・湖沼の生態網の中での重要な役割を果たしているという訳です。

  播磨

平巻

2012-11-29 | 生物(etc)
 水槽の中なので、写りが今一ですが、思わず「アンモや~!」と思った貝です。

 淡水貝のヒラマキガイの仲間です。
 (アンモでもないのに“平巻き”の名が付くのに笑ってしまいます。)

 在来種のヒラマキガイは今やかなりその数を減らして、希少種の仲間入りをしていますが、画像は外来種と思われます。
 熱帯魚ショップが扱う水草などに混じって、拡がっているものと思われます。
 かなりの繁殖力のようなので、水換えの際などに、自然の水域に流れ出す事も十分に考えられます。
 次の『ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)』のような存在にならなければいいのですが...

石貝

2012-02-02 | 生物(etc)

 淡水性の貝といえば、『タニシ』、『カワニナ』などを思い浮かべますが、食用で行くとやはりこの『シジミ』でしょうか。

 子供の頃『タニシ』も食べた記憶がありますが、近年では食べないのでしょうねぇ...
 移入種の『スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)』などは、身も大きくて食べ応えがありそうですが、あの赤い卵塊を見ると食欲がわきません。

 『シジミ』と並んで『イシガイ』を売っていました。



 イシガイの仲間には、タナゴの仲間の産卵床となる『ドブガイ』や『カラスガイ』などがいますが、これまでに食用となるという話は聞いた事がありませんでした。
 せいぜい淡水真珠に利用したり、古琵琶湖層群から化石として算出したりするぐらいの認識しかありませんでした。



 『シジミ』の3倍程度の大きさがあるので、味噌汁の具としても食べごたえはあると思います。

 ちなみにこのイシガイの仲間は幼生期に『ヨシノボリ』や『カマツカ』『オイカワ』などのヒレに付着して生活します。
 これまた不思議な生態です。

  湖北

斜面

2011-12-04 | 生物(etc)

 『ハクセンシオマネキ』の♂です。

 彼らを観察していて気付いた事ですが、斜面を移動する時は、大きな“ハサミ”を高い方にして上ったり下りたりすることの方が多いようです。
 重い(大きい)方を低い位置にすると、誤って転倒する場合があるからでしょうか?

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 本当のところは、彼らに聞いてみないと分かりませんが、本能のなせる技なのでしょう。

  干潟

表紙

2011-12-03 | 生物(etc)

 左が『ハクセンシオマネキ』♂、右が『シオマネキ』の♂です。

 甲幅でいうと、ほぼ同じサイズです。
 ただ、前者が成体なのに対し、後者はまだ生まれて一年程度の若者です。

 たまたま両者が仲良く?並んでいました。

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 自分で言うのもなんですが、かなり気に入っている光景です。
 「月刊 甲殻類」とか「月刊 カニ」というような本を出すとしたら、表紙にしたい状況です。

  干潟

ハグ

2011-12-02 | 生物(etc)

 『シオマネキ』♀の斜め後方から巨大な“ハサミ”を誇らしげにかざした♂が忍び寄ります。



 ピッタリ背中(後方)に張り付いたかと思うと...



 ♀が片方の眼柄(マッチ棒のような、眼とそれを支える柄の部分)を倒して格納しました。



 ♂が♀の甲羅を後ろ向きによじ登ってきます。
 ♀は両方とも眼柄を格納しています。



 そして向かい合わせの“ハグ”の姿勢になりました。
 前方から近づくと逃げられると思って後方から忍び寄るのでしょうか?

  干潟

当歳

2011-11-30 | 生物(etc)

 “今年生まれ”の『シオマネキ』の♂です。
 甲幅10数mmの小さな小さな個体です。

 どれぐらい小さいかというと...
 左の方から何かやってきています。



 『シオマネキ』の成体です。
 大きいヤツだと、50mm近くにまでなります。

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 つまり甲幅だと、成体の1/4程度しかありません。
 若干♂の自己アピールである振り上げた“ハサミ”が下がって来たような...

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 並ぶとこんな感じです。
 “ハサミ”は完全に下ろしてしまいました。

 『シオマネキ』よりも大分小型の『ハクセンシオマネキ』の成体と比べても...

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 半分程度の大きさです。

 『シオマネキ』や『ハクセンシオマネキ』は干潟の中でも、主に底質の違いによるそれぞれの好適環境の場所に集団で“コロニー”を形成して生息しています。
 さらに、成体、幼体の区別なく、一緒に生息しています。
 どんな生き物でもそうですが、そういった環境で晴れて成体となるには、色んな危険が待っていますし、それを生き抜いた個体は力強いです。

  干潟

呼吸

2011-11-29 | 生物(etc)

 干潟に生息するカニは、干潟が出現する干潮時の数時間、陸上に出てエサを捕食します。

 “エラ呼吸”なのに、どうして長時間陸上でも大丈夫なのでしょうか?

 その理由については依然書きましたが、いずれは体内の水も循環させているうちに減って来てしまいます。
 そんな時のために...
 上画像の『シオマネキ』の脚を見て頂くと、脚の間や眼窩(眼柄を収める窪み)に水がたまっています。



 この画像でさらにお分かりいただけるかと思います。



 『シオマネキ』の脚には短い毛が生えており、その毛が水を流さないように脚に保持する役目を果たしています。

 絶えず予備の水を抱えながら生活している訳です。



 小さな個体についても同様です。
 すごい適応です。

  干潟

巣穴

2011-11-28 | 生物(etc)

 生まれて一年経たない“当歳”の『シオマネキ』の♂です。

 泥を抱え込んで巣穴から這い出してきました。



 よく見ると、口から泥を吐きだしています。
 『シオマネキ』や多くの干潟のカニ類は、泥ごと口に中に入れて、口の中でエサとなる珪藻等を濾して食べ、泥だけ吐きだします。



 おそらく、巣穴の中を補修したり深くしたりする際に泥を外に捨てると同時にエサを摂りながら外に出てきているのでしょう。





 泥は外に捨てるだけではなく、巣穴の周りの補修材として利用しているようです。
 中には、この噴火口のような巣穴の口をさらにうず高く積み上げるヤツもいます。

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  干潟

アンバランス

2011-11-27 | 生物(etc)

 左右の“ハサミ”の大きさが極端に異なる『シオマネキ』の♂です。
 ♀は両方とも同じ大きさで、♂の小さい方の“ハサミ”と同サイズです。

 ♂の大きい方の“ハサミ”は、実生活ではほとんど機能を発揮せずに(♂同士の争いでは若干使用するようですが)、主に自己をアピールするための“潮招き”の時にのみ使用しているようです。

 実際、体のバランスを考えた場合、非常に歩き辛いと思います。

 かつて日本の“侍”が、腰にさした刀が重いため、左肩上がりになって歩いていた事を思い浮かべます。

 マッチ棒のような瞳(眼柄+眼)からは、毛が生えています。



 アップにするとものすごい迫力です。
 泥の中の重戦車のようです。

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 生まれて一年程度の♂でしょうか、“ハサミ”はまだまだ迫力がありません。



 瞳にはしっかり毛が生えています。



  干潟

好奇心

2011-09-20 | 生物(etc)

 川には『スジエビ』『テナガエビ』『ヌマエビ』などの淡水性のエビが棲んでいますが、その中でもこの『スジエビ』は“好奇心”が旺盛なのか、潜ってカメラを向けると、じわじわ近寄ってきます。



 半透明な体に“筋(すじ)”が入った、美しい姿をしています。

 特に夜中に潜ってライトを当てると、目玉が小さな宝石のように輝いて、群れでいると無数に小さな宝石がキラキラして実に美しい光景です。

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 小さな小さなハサミを持っています。

  千種川

酒飲み

2011-02-25 | 生物(etc)

 『シオマネキ』♀です。

 彼女たちのハサミはエサを食べるために特化した小ささです。

 そういえば、巣穴から掘り出した泥を脚とで抱え込む時に使っていますね。

 ほぼ体の色と同じで、ハサミにも色々な色(パターン)があります。
 上画像は、全体的に黒っっぽい煉瓦色です。



 こちらは、ハサミの先の方の細い部分だけが赤いです。



 こちらは、もうちょっと赤の部分は大きくなりました。



 最後は全部真っ赤です。
 その分全身も真っ赤です。

 “酒飲み”の経時変化みたいです。

  干潟

比較

2011-02-18 | 生物(etc)
 『ハクセンシオマネキ』の大小です。

 小さい方は動いていないと石ころと区別がつかないほどです。
 甲幅4,5mmといったところです。

 しかし大きくても小さくてもやることは同じです。

 潮が引くと巣穴の中から這い出し、食べてはハサミを振ってまた食べる...

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  干潟

つばぜり合い

2011-02-17 | 生物(etc)

 『ハクセンシオマネキ』♂の接近遭遇です。

 彼らには当然巣穴がありその周りは縄張りです。
 侵入者を排除しようとするのは当たり前の“性”なのですが...
 決して大きなハサミを振り回して攻撃したり、相手を挟んだりはしません。





 押し合ったり...



 上に乗っけてみたり...

 非常に平和的な戦いです。

 いつもただ単なる“つばぜり合い”で終わってしまいます。

 繁殖の時期の♀の争奪戦ではこうはいかないかも知れませんが...

  干潟