とある河川の河川敷です。
かなり低いですが、向こうに“○△富士”と名付けたいような山が見えます。
七合目あたりから上をすっぱりカットしたような形です。
河川敷の中に用事があるので、川を渡ってアクセスしました。

河川敷の植生の中に入り込むと、果てしなく広がっている感じがします。
そんな中こんな場所を見つけました。

ヨシ群落の縁に窪地があります。
近寄ってみると...

窪地の部分が湿っています。
雨水などによる水溜りがあり、それが好天によって干上がったものとは異なるようです。
という訳で、掘ってみました。

なんと、水が湧いてきて見る見るうちに湛まりました。
「これです!」
こんな場所を探していたのです。
出来るだけ現状の植生に手を入れずに、窪地を掘削して拡大し、本川と繋ぐと...
いわゆる“ワンド”の創出です。
災害や工事で単調化してしまった河川での自然再生の取り組みです。
無理矢理造るのではなく、自然の働きを可能な限り利用し、極力環境に与えるインパクトが少ない設計や施工が求められます。
他にも適地があるか歩き回りましたが、ここがベストのようです。
しかし、この物語には続きがありました。
1時間ほど河川敷を歩き回った後、元の場所に戻ってくると...

湧水でできた水たまりの中に!!
『ドジョウ』が出現していました。
まさに、忽然と...
『シマドジョウ』などは結構普通に見る事が出来ますが、この『ドジョウ』は、今や希少となっている種です。

おそらくこの『ドジョウ』は、地面の中で次の雨をじっと待っていたものと思われます。
『ドジョウ』には特殊な能力があります。
一般的な魚類が行う“鰓(えら)呼吸”とともに、直接口から空気を吸い込む“腸呼吸”を行う事が出来ます。
また、ヌルヌルの皮膚を持っていますが、これが水分を含んでいるため極度に乾燥に強いのです。
地面を掘って水を湧きださせたために、思わず地中から這い出してきたものと考えられます。
自然のパワーをまざまざと見せつけられ、しばし感動に浸っていました。
『ドジョウ』の声が聴こえたような気がします。
「“ワンド”掘ってくれるのならココにして!」
(あくまでも勝手な人間サイドの感じですが...
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