10月30日 四時半起床。リュックを背負って千葉県の津田沼へ。 十時三十分着。少し歩いて京成バスを待つ。大行列。ときどき百姓が車をひいて通ると、みんな「何だ?」といって首をさしのばす。飢えた眼である。 青い野菜畑のつづく地平線にレンズのような雲が浮かんでいる。一時間ばかり待って、汚いバスにすし詰めになって、習志野を通って終点に着く。ここから林の中の白い路を歩いて大和田にゆく。風が渡ると後塵万丈三々伍々リュックを背負った買出部隊がつづく。
現在も大和田の地名は残る。しかし、この地名いつまで残るのやら。将来はひとの記憶にのみとどまるのであろうか。また、船橋日大前駅近くでは大規模な宅地開発が進んでいる。このおかげもあり、砂塵の舞う地域である。著者は疲労困ぱいで自宅に戻る。翌日芋の天ぷらを作る。子供のころ、天ぷらといえば芋が混じっていたことを思い出す。