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天星人語

世間と空、そして(時々)海をぼんやり眺める毎日です。

人間と民主主義の試練:倫理・理性・そして錯誤の時代

2024年11月20日 | 米国大統領選挙
 1. 近代が人間に課したもの:倫理と法の義務

近代社会は、人間に「倫理と法を守ること」を義務づけました。

カントは「最善の体制とは、人間ではなく法則が支配する体制である」と述べ、理性による統治と個人の自由・道徳の両立を理想としました。

これは現代の立憲主義や法治国家の理念にもつながっています。

*1797年、カント「人倫の形而上学」、347頁

しかし、ニーチェは人間を「悲しげで狂った動物」と呼びました。

人間は理性を持つとされながらも、衝動と感情に左右され、戦争をする唯一の動物です。

技術を発展させる能力はあるものの、それを倫理的に使いこなす力はありません。

*1887年、ニーチェ「道徳の系譜学」、174頁
 

2. 選挙制民主主義の構造的な限界

選挙制民主主義は、理性的な市民を前提に設計された制度です。

しかし、現実には以下のような問題が存在します:

  • ポピュリズムの台頭:感情に訴える扇動者が支持を集め、長期的な政策が損なわれる。

  • 選挙制度の不備:不公平な制度設計が民主主義の原則を揺るがす。

  • 政治的無関心:投票率の低下により、特定の集団が過剰な影響力を持つ。

  • 情報の偏りと誤情報:SNSによる誤情報の拡散で、有権者の判断力が低下。

  • 経済的不平等:富裕層が政治に過大な影響力を持ち、一般市民の声が届かない。

  • 政策の実行力不足:合意形成に時間がかかり、危機対応が遅れる。

この制度は、理性よりも感情に流されやすい人間にとって、極めて不安定なものです。

 

3. トランプ現象:民主主義の逆流

トランプは、自己の資源を駆使して有権者を扇動し、社会の常識を覆しました。

彼は「世界の解釈は自分にしかできない」と信じ、架空の敵を作り出し、人々の不安や怒りを巧みに操ります。

  • 富裕層を守りながら、貧困層の味方を装う。

  • 民主主義の理念を否定し、王朝化を画策。

  • 有権者は彼の不倫や刑事訴追を気にせず、運命を託した。

これは単なる人気取りではなく、民主主義の制度そのものを利用して破壊する行為です。

 

4. 民主党の限界と敗北

民主党は、現実の生活課題に応えることができませんでした。

  • 経済格差の是正や平和の実現に失敗。

  • 有権者の優先課題(経済・雇用・移民)に対応できず。

  • バイデンに代わる候補者を準備できなかった。

  • 「中絶・民主主義」では票を集められなかった。

結果として、女性・非白人・若者の票がトランプに流れました。

 

5. 今後の予測:民主主義の崩壊と封建化

  • 2025年:報復政治、ウクライナ支援停止、不法移民の強制送還

  • 2026年:中間選挙で共和党が議会を掌握、トランプ王朝化

  • 2028年:政・官・軍の支配権を確立、批判者の投獄、内乱の可能性

憲法上の制限を超えて、トランプが「アメリカ合衆国憲法そのもの」となる未来も想定されます。

 

6. 人間という存在:進化の途中にいる「狂った動物」

人間は、古代ローマの競技場で「殺せ、殺せ」と叫んだ観客と本質的に変わっていません。

ニーチェが「狂った動物」「家畜の集まり」と呼んだように、人間は扇動されやすく、群れとして行動します。

生物進化の系統樹で見れば、人間はまだ進化の途中にいる存在です。

倫理と理性を完全に備えた種ではなく、錯誤を繰り返す未完成な動物なのです。

 

7.未来への希望:ロボットが歴史を書く未来?

人間が自らの尊厳を守り、倫理的に生きる社会を築くことは、奇跡ではなく、意志と構想によって可能です。

そして、もし人間がその責務を果たせないなら、こころを持つロボットがその役割を担う日が来るかもしれません。

人間が書き続けてきた歴史は、やがて終わるかもしれません。

最後、どうすれば良いのかをひとこと書いて終わります。

🌍新しい社会システムの構想:人間の尊厳と理性を基盤にした未来

1. 基本理念:倫理・理性・尊厳の三本柱

新しい社会システムは、以下の三つの理念を中心に構築されます:

  • 倫理:技術や権力の行使には、常に倫理的な判断が伴うべきである。

  • 理性:感情や衝動ではなく、熟慮と対話による意思決定を重視する。

  • 尊厳:すべての人間が尊厳を持って生きられる社会を目指す。

この先は、今後書いていきたいと思います。(書けるかな~?)

 
【補説】
この記事を書いている時点でのトランプの目指す社会を書いておきます。
 
1.トランプの政治思想:絶対君主制への傾斜

トランプの政治スタイルは、絶対君主制に近いものを目指しているように見えます。

絶対君主とは、立法・行政・司法のすべての権限を一人の君主が掌握し、法や議会の制約を受けずに国家を統治する体制です。

この体制では、君主が国家のルールを定め、解釈し、罰を与える権限を独占します。

トランプは民主的な選挙によって選ばれ、軍や官僚機構を自らの命令に従わせる力を持ち、制度の枠を超えた影響力を行使しようとしています。

その姿は、現代の民主主義国家において異質でありながら、確かに「絶対君主的」な統治への志向を感じさせます。

2.経済政策:重商主義の復活

トランプの経済政策は、16〜18世紀に広く採用された重商主義の思想に通じています。

重商主義とは、国家の富を増やすために貿易黒字を重視し、国内産業を保護・育成する政策です。 金や銀などの貴金属(現代では仮想通貨も含む)を富の源泉とみなし、輸出を促進し、輸入を制限することで国家の経済力を強化しようとします。

トランプは関税の引き上げや貿易協定の見直しを通じて、アメリカの産業を守り、外国との経済的依存を減らすことを目指しました。

これは、植民地支配によって資源を本国に供給するという重商主義的構造にも似ています。

3.外交思想:一国主義とナショナリズム

トランプの外交姿勢は、一国主義(ナショナリズム)に基づいています。

これは、国家の利益や自主性を最優先とする思想であり、国民意識や愛国心を強調し、他国の干渉を拒む立場です。

国際協定からの離脱、国際機関への懐疑、同盟国への負担軽減要求など、トランプは「アメリカ・ファースト」を掲げて、国際協調よりも国家主権を重視しました。

この姿勢は、グローバル化への反発として現れた現代のナショナリズムの典型です。

4.絶対君主制の社会構造と人間の尊厳

絶対君主制の下では、君主とその家臣団(政権閣僚や支援する富豪)が支配層となり、その他の人々は従属的な立場に置かれます。

これは、封建制度における主従関係と似ており、現代においても「奴隷的構造」として再現される危険があります。

人間は、時に狂気を帯び、最も信頼できない生物であるとも言われます。

しかし、家畜のような群れではなく、一人ひとりが強い意志を持ち、自らの尊厳を守る生き方を選ぶことはできないのでしょうか。

そうした社会の実現は、奇跡に頼るしかないのでしょうか。

それとも、制度と意志によって築くことができるのでしょうか。

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