チーム医療維新 日本のNP、PA制度を考える

日本におけるNP(ナースプラクティショナー)、PA(医師助手)などの非医師診療師の導入について考察するサイトです。

PAの役割

2009年01月18日 14時04分57秒 | 米国PAについて
日経メディカル12月号にとってもわかりやすい、楽しい、周術期PAに関しての記事が出た。
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上の記事を書いた外科医の方のブログにも、
PAに関してのコメントがある。こちらは登録不要。

また、米国PA協会のサイトで、PAの説明が詳しく載っている(英語)。

PAの提供する医療の質については、
こちらの文献リスト
をご覧いただきたい。

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看護師、NP、CNSのビザと永住権

2009年01月18日 12時41分34秒 | ビザと永住権
イェール看護大学院でCNSとNPを3年間で両方取得するコースで学んでいる、 Kさんが、下のように、日本の看護師がアメリカでのビザと永住権取得への道のりを示してくれました。Kさんは日本で看護師として12年間働いた経験があり、渡米前は某ガンセンターの臨床現場で活躍してらっしゃいました。

一番下は、私が10月ごろ書いたビザに関する記事。

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(以下、Kさん)

看護師不足が深刻なアメリカで、以前は看護師として労働ビザあるいは永住権を取得することは、他の職種に比べ比較的簡単だったようです。しかし、3年ほど前から急激に困難になっています。このような状況下でも、アメリカでナースとして働くことを希望する日本人ナースは多く、NCLEXの受験対策予備校に通うために渡米され、アメリカの看護師ライセンスを取得しても、ビザが取れず夢半ばで帰国せざるを得ないナースが後を絶ちません。また、とりあえず大学院などに進学し、状況の変化を待つナースもいるようですが、移民法が改定される保障がないのが現状です。アメリカでは日本以上に交渉すれば、物事が解決することが多いですが、ビザ取得に関しては通常例外は認められません。

NPやCNSを目指す方を応援したい一方で、卒業後の進路を十分に考慮していただきたく、アメリカで看護師として働く(留学する)までの過程、また移民 ⋅ 非移民ビザ申請状況について記載していきます。

私のように日本で看護教育を受けた看護師が、就労あるいは看護大学院留学目的でアメリカに滞在するには、まずアメリカの正看護師免許(Registered Nurse: RN)を取得する必要があります。NPやCNSプログラムなどの臨床系の看護大学院の多くが、出願要件にRNライセンスを要求しています。

RNになるまでの手順は、こちらに別途記載しましたので、ご覧ください。
また、内田さんの投稿されたこの記事(NP留学のプロセス)も参考にしてください。

さて、学生ビザ⋅永住権⋅労働ビザ取得までの道のりをご紹介します。

学生ビザ(F-1ビザ)取得までの道のり

1. 行きたい大学院を徹底的に調べ出願。2008年9月の内田さんの投稿をご参照下さい。
2. 合格すると、大学からI-20(留学生資格証明書)という、入学許可証のような証明書が送られてくる。
3. 必要書類を揃え、アメリカ大使館で面接を受ける。必要書類についてはhttp://www.fulbright.jp/study/res/visa01.html#1を参照。
4. F-1ビザが発行される。
5. 渡米。留学中は基本的に就労できません。許可が下りた場合でも、キャンパス内で週20時間に限定されています。
6. 卒業後はOptional Practical Training(OPT)という、卒業生特別労働ビザが下ります。1年間のみ有効で、就業内容は専攻した分野に直結した仕事のみと規定されています。OPTの規定は頻繁に変更になっていますので、申請時には学内の留学生センターなどでご確認下さい。働きたくても、最悪日本への帰国を余儀なくされます。

アメリカで看護師として就労するには、永住権(グリーンカード)あるいは労働ビザを取得する必要があります。また、看護師を対象にした移民専門弁護士を雇う必要があります。私は法律の専門家ではありませんので、間違った情報が含まれている可能性もあります。その際はご指摘いただければ幸いです。尚、移民法は頻繁に変更されています。記載した情報は2009年1月現在のものであることをご承知下さい。最新情報は、http://travel.state.gov/visa/visa_1750.htmlなどでご確認下さい。

雇用主を通しての永住権取得までの道のり
(詳しいFormナンバーや手続きは、弁護士にご確認ください)

1. スポンサーになってくれる病院(雇い主)を探す。
病院側が弁護士代などを出してくれることも、採用時の交渉次第ではあり得る。しかし、高い費用をかけ、それでも1年後にせっかく雇った人材がアメリカを出国となるリスクをおかすよりは、永住権保持者やアメリカ国民を長期に雇いたいという病院が多い。世界的な経済低迷の影響で、スポンサーになってくれる病院を探すのは、さらに困難となっている。
2. 決まったら、雇用主がETA Form 9089という雇用内容や条件に関する雇用証明の申請書をDepartment of Labor (労働省)に提出する。
3. 雇用主がUSCitizenship and Immigration Service (USCIS:移民局サービスセンター)に、請願書を提出する。特殊技能職なのか、その職務に的確な者なのかCISで審査される。アメリカ人ナースではなく、なぜ外国人ナースを雇う必要があるのかなど、雇用主が提示する必要がある。
4. 審査が通ったら、Form I-129あるいはI-140をUSCISに提出。
5. Form I-485を提出。
6. 永住権を取得。

注1:雇用あるいは技能関連スポンサーで永住権を申請するには、優先順位が1~3に分けられています。2005年までは永住権に看護師特別枠があり、申請後1年ほどで取得ができたようで、後述する労働ビザよりも取得しやすかったそうです。しかし2006年10月から特別枠が廃止され、さらにI-485の提出すら受け付けなくなっています。RN対象の第3優先のEB3の発給が一時中止となっており、看護学校、短大、大学卒業のRNとしては、現在外国人ナースは永住権の取得はできません。
注2:大学院卒業以上のナースは、第2優先のEB2に申請できる可能性あり。弁護士に確認を!ただし、2008年12月現在、2006年の申請者にやっと発給されているようで、取得までに時間がかかっています。

労働ビザ(H1-Bビザ)取得までの道のり(RNとしては通常申請できません) 

スポンサーをしてくれる雇い主が見つかっても、ビザの申請には、弁護士を雇う必要があります。知り合いの韓国人のナースは、弁護士費用に約100万円かかったと言っていました。(緒方注:私の知り合いは、70万円ぐらいだったそうです。)

1. CGFNSでビザスクリーニングを受け、合格する。英語テストの必要スコアは、CP試験と同様ですが、Speakingテストが必須となっている。
2. ビザのスポンサーになってくれる病院を探す。 
病院側が弁護士代などを出してくれることも、採用時の交渉次第ではあり得る。しかし、高い費用をかけ、それでも1年後にせっかく雇った人材がアメリカを出国となるリスクをおかすよりは、永住権保持者やアメリカ国民を長期に雇いたいという病院が多い。世界的な経済低迷の影響で、スポンサーになってくれる病院を探すのは、さらに困難となっている。
3. ETA Form 9142, 1-129をUSCISに提出。
4. その他、高度専門職・技術者であることを証明する指定された書類を提出。
5. H1-Bビザは、ナースに限らず大学院卒業以上の専門職(IT関係者など、NPやCNSも含まれる)対象のビザで、全体で年間65000件発給されています。その中で、大学院卒業者特別枠が20000件用意されています。ただし、応募者が多いため抽選となっており、昨年の当選率は約60%でした。つまり、たとえNPやCNSなど大学院を卒業した高度専門職となって、運よくビザサポートをしてくれる雇い主が見つかったとしても、労働ビザを必ずしも取得できるとは限りません。

アメリカのNPやCNSプログラムは、日本のプログラムよりも実習時間がはるかに多く、実践を学ぶ機会に恵まれていることや、プログラムに長年の歴史があり、学ぶ環境が整っています。私は留学目的で渡米し、日本では学べないフィジカルアセスメントなどを履修することができており、こちらで得た知識は日本に帰国後役立つと思っています。しかし、卒業後こちらで就職を希望している方は、まずは最新の移民法の情報収集をされ、卒業後の進路をあらかじめ考えておかれることをお勧めします。労働ビザを取得するために大学院に進学するという考えもわかりますが、授業料は高いですし、こちらに来たら何とかなるという状況でもないことを十分ご理解いただきたいと思います。

ーK


RN取得への道のりはこちら

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(以下、緒方、2008年10月ごろ書かれた記事)


私の知っている限り、ビザは特にここ3年ほど取得するのが更に難しくなっている。

グリーンカードを持っていないとあるNP(ヨーロッパの人で、日本人ではない)は、YALEのコース卒業後、ビザをHOSTしてくれる病院で働き口が見つからず、結局出国を避けるためにPhDコースに入らなければいけなくなった。今でもPhDをやっており、看護研究を楽しんではいるが、NPとして働いた経験はないし、これからも無理かもしれない。

5月に卒業として、卒業後一年間は「OPT」で、この一年以内にビザをスポンサーしてくれる就職口を見つける。つまり、移民弁護士を雇って、「OOOOさんはこの企業になくてはならない人物なので、特別にビザを出してもらいたい」という申し込みをしてくれる企業のことだ。それには、お金も時間もかかるため、アメリカ国民の方を優先して採用することもあるらしい。また、大企業(大病院)でないとまずやってくれない。

移民弁護士を通して、書類を調えて提出したら、(知り合いは、70万円かかると言っていた)それから先はくじ引きである。修士号を持っていると多少有利ではあるが、ここ数年申し込みは増えているので、大体当たるのは30-40%だとYALEの国際学生オフィスは言っている。

これが当たらないと、OPTの切れる翌年7月に出国となる。

アメリカの看護士不足のため、昔は看護士は有利であったが(別のビザカテゴリーだった)それはすでに廃止されたらしい。

グリーンカードをすでに持っていれば、これらの問題は回避できる。

アメリカでNPを目指す方を応援したいが、とても高い授業料を払う前に、卒業後本当にアメリカで働けるのかどうかを弁護士などと相談し、実際ビザでアメリカでNPとして働いている人を見つけて、相談してから留学した方がいいかもしれない。

もちろん、NP学生として得た知識は例え日本に帰国となっても役に立つだろうし、そういう人にぜひ日本の看護の将来にも関わって欲しいと願っているが、NP学校の授業料は莫大である。一年間YALEなら約250万円、それを2年間、それとLAB FEE,高い教科書、生活費など。

多大なローンを背負うのは、労働ビザが出ず、帰国となったときに辛いかもしれないので、よく考慮してほしい。

緒方


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RN取得までの道のり

2009年01月18日 05時01分46秒 | ビザと永住権
イェール看護大学院でCNSとNPを3年間で両方取得するコースで学んでいる、 Kさんが、下のように、日本の看護師がアメリカでRNになるための道のりを示してくれました。Kさんは日本で看護師として12年間働いた経験があり、渡米前は某ガンセンターの臨床現場で活躍してらっしゃいました。

多くのアメリカ看護留学サイトでは、予備校に行って勉強すればRNは取れる、というようなことが書いてありますが、実際はそのほかにも難関が色々とあるようですね。

また、同じくイェール看護大学院のNPコースで学んでいる内田茉友子さんの書かれた記事、NP留学のプロセスも参考にしてください。

さて、RNが取れても、アメリカで看護師として働くためには労働ビザの取得という難関があります。
ビザ取得の可能性については、Kさんのこちらの記事をご覧ください。

緒方

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(以下、Kさん)
看護師不足が深刻なアメリカで、以前は看護師として労働ビザあるいは永住権を取得することは、他の職種に比べ比較的簡単だったようです。しかし、3年ほど前から急激に困難になっています。このような状況下でも、アメリカでナースとして働くことを希望する日本人ナースは多く、NCLEXの受験対策予備校に通うために渡米され、アメリカの看護師ライセンスを取得しても、ビザが取れず夢半ばで帰国せざるを得ないナースが後を絶ちません。また、とりあえず大学院などに進学し、状況の変化を待つナースもいるようですが、移民法が改定される保障がないのが現状です。アメリカでは日本以上に交渉すれば、物事が解決することが多いですが、ビザ取得に関しては通常例外は認められません。

NPやCNSを目指す方を応援したい一方で、卒業後の進路を十分に考慮していただきたく、アメリカで看護師として働く(留学する)までの過程、また移民 ⋅ 非移民ビザ申請状況について記載していきます。

私のように日本で看護教育を受けた看護師が、就労あるいは看護大学院留学目的でアメリカに滞在するには、まずアメリカの正看護師免許(Registered Nurse: RN)を取得する必要があります。NPやCNSプログラムなどの臨床系の看護大学院の多くが、出願要件にRNライセンスを要求しています。

RNまでの道のり

1. The Commission on Graduates of Foreign Nurse Schools(CGFNS:外国看護学校卒業生審査会)のCertification Program(CP)に申し込む。http://www.cgfns.org/ CPはQualifying Exam (看護知識テスト)とEnglish Exam(英語試験)の2部構成になっており、どちらも合格して初めてCPに合格することになります。

CGFNSは、アメリカ看護師協会や全米看護連盟がスポンサーとなって設立された非営利機関で、外国の看護学校卒業生が、アメリカの病院等で不当な待遇を受けることの防止と、アメリカ国民に安全な看護を保証するために設立されています。

アメリカ以外の国で看護教育を受けた看護師が、アメリカの看護教育と同等の教育を受けたかをまず審査されます。日本の准看護師は申請できません。申請用紙や履修した授業時間数などの証明書、厚生労働省からの英文免許証など数種類の書類を提出します。書類審査が終わるのに1年以上かかることもあるようです。

注:授業数が不足していると審査されると、受験許可が下りない。

2. CP Qualifying Exam受験。年2~3回世界約50カ国で受験可能。日本では東京で受験できますが、受験者数が一定の数(正確な数は公表されていませんが、約10人は必要なようです)に達しないと開催されず、実質東京で受けられるのは年に1回ほどです。

3. TOEFL、TOEIC, あるいはIELTSを受験し、必要なスコアをクリアする。ちなみに、TOEFL iBTで83点以上、TOEICで725点以上要求されています。

注:CP Qualifying Examと英語の試験のどちらを先に受験しても可能。ただし、CP Qualifying Exam合格後、2年以内に英語の必要スコアをパスしないと、CP Qualifying Examの合格も無効になる。

4. 働きたい(留学したい)州のState Board of Nursing(看護評議員会)にthe National Council Licensure Examination for Registered Nurse (NCLEX)の受験申し込みをする。https://www.ncsbn.org/index.htmで各州の問い合わせ先がわかります。提出書類や提出方法は、州によって異なるので要注意。

注1: CGFNSを要求しない州が増えてきているので、CP受験は州により不要。
注2: NYなどのように、CP受験は不要でも、CVSという州独自の審査をCGFNSでするよう要求している州もある。
注3:働く(留学する)州を変え、RN免許登録を他州に移す場合、CP試験に合格していることを要求する州もあります。(例:CP不要のカリフォルニア州からCPが必要なペンシルベニア州には移せません。)CP Qualifying Examの合格率は約40%ですが、初回受験で合格した受験者は、NCLEXに90%の確率で初回受験で合格すると証明されています。ちなみにアメリカ人看護学生の合格率は約80%です。CP受験申請は煩雑ですが、個人的には力試しのためにも、受けておいて損はないと思います。

5. 書類審査が終わると、State Board of Nursingから受験許可が下りる。
6. National Council of State Board of Nursing (NCSBN:全米看護連盟)からAuthorization to Test (ATT: 受験番号)がメールで送られてくる。
7. Pearson Vueというテスト実施団体に連絡し、受験日を決める。365日受験可。東京の麹町で受験可能ですが、他のテストも実施されており、NCLEX受験は毎日は開催されていないようです。
8. NCLEX受験後、州によっては受験48時間後に合否をオンラインで確認できる。
9. State Board of Nursingに免許登録される=アメリカのRNになる!!

注1: Social Security Number(SSN: 社会保障番号)がないと、免許登録できない州があります。(例:カリフォルニア州)NCLEX合格後、1年あるいは2年以内にSSNを取らないと、NCLEX合格自体が無効になります。
注2:日本人がSSNを取得する方法は、アメリカ人と結婚する以外には、労働ビザを取るか留学先の学内でアルバイトする(他にもあるかもしれませんが)ことのみです。日本に在住しながらSSNを取得することは困難ですので、州選びは慎重に。
ーK

RN取得後のビザ獲得の道のりについてはこちら