チーム医療維新 日本のNP、PA制度を考える

日本におけるNP(ナースプラクティショナー)、PA(医師助手)などの非医師診療師の導入について考察するサイトです。

チーム医療検討会、調査などのオリジナルを読みたい方

2010年11月11日 01時22分06秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
ニュースなどで聞く、厚労省の検討会の資料や議事録を直接読みたい方!こちらをどうぞ。


厚労省の検討会などの資料は、すべて、こちらのリストから


特定看護師/看護役割拡大の調査に関しては、研究班が行ったのが
こちら
(資料4をダウンロード)

対抗して日医が出したのが
こちら

さて、あと6時間で空港に向かいます。


新!チーム医療維新トップページ

臨床を離れないでもっと学びたい看護師さんたちへ

2010年10月06日 23時58分58秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
今日、あるメーリングリストに書いた自分のコメントを転載します。これまでのブログや、日経メディカルの連載(http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/blog/ogata/)で書いてきたことですが、最近のブログだけを読んでいる人用に。


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私は、親の転勤のせいで、子供の頃と中学卒業後からずっとアメリカだったため、日本の医療現場や日本の現状を知らず、最近いろいろな方かたたくさん学ばせてもらってます。私は、プライマリケアのNPで、外来専門です。私が生物学部の学部に在籍中、医学校かNP学校か、迷った末、NP学校(1年で看護師になり、2年でNPになる、計3年のコース)に進学したのは、かかりつけがNPだったことや、看護哲学に惹かれたことによります。

日本は、アメリカのNPを決してそのまま真似るのでなく、日本に合った形が、工夫があると思うので、それを考える、そのお手伝いができたらと考えています。

日本に関しては、現在うまくいっている医師&優秀な看護師との信頼関係の上に、積み重ねる形で、自然にできていたら良いのですが。現場で独立した判断を任されている訪問看護師や、介護施設の看護師は実は多いと聞きます(傷のデブリーメントまで、医師にこっそり任されている看護師も知っています)。そんな優秀な看護師さんが、経験のみを頼りにして押し付けられているのではなく、それ専用の知識(デブリーメントの仕方を、最初から系統だてて、医師と一緒に学べたら?)を身につけられたら、より患者のケアの向上にもつながるし、看護師もやりがいがあるのではないかと思っています。

一方、まったくそのようなことに興味のない、責任をとりたくないよという看護師さんもいるので、(アンケートをとると、NPや特定看護師をやってみようという看護師は実は少数派です)厚労省通知のように「全員できる」ではなく、特定看護師のように「一部の希望者で、一定以上の学力ないし能力の人が、教育と訓練を受ければできる。免許制度もある」の方が、安全なのかな?と思います。

また、個人的な意見ですが、NPなどの形で看護で「もっと学べる」「臨床を離れないでキャリアアップができる」というのは、日本でもアメリカでも、看護師の方にとって大変魅力があるようですね。アメリカにも毎年たくさんの看護師さんが看護留学されていますが、「こればかりの毎日はいやだ」「もっと学びたい」「自分を試してみたい」と思った時、看護を辞めたり、留学を考えたりするようです。(もちろん、日本で専門看護師を目指す方もいらっしゃいます)

その時、専門看護師もいいけれど、もう一つ、ちょっとCNSとは違った、高度で臨床に徹する看護系の職業(NP?)が日本に存在していたら。。。と思いました。

ちなみに、アメリカでは、子供もできたし、といって、NPになり、外来で9時-5時で週2日働いている人も知っています。NPの方が、(少なくともアメリカでは)看護師より融通のきくスケジュールだったりするんですね。女性にとっては便利というか。

私は、女性の働き方、女性の社会での立場、女性のライフワークバランスといったことにもとても興味があるので、女性が多い看護師と言う職業内で、できるだけ上に行く道が開けていてほしいとも思っています。

長くなってしまいました。

賛否両論、あるとは思います、仕事が忙しくて返信が遅れることも多々ありますが、皆さんと意見を交換できることを楽しみにしています。


厚労省:看護業務検討ワーキンググループ開催

2010年05月29日 06時32分59秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
ご無沙汰していました。。。
ニューヘイブンの仕事を終え、ニューヨークのダンナの家に引越しし、そのシカゴの全国NPカンファレンスに出ていました。ふー。カンファレンスは、なかなかよかったです。すばらしい人たちに出会えました。あ、もう一人日本人NPの方にも出会えました!
昨日から妹と甥(11ヶ月)が日本から来ています。これから2週間で結婚式までの間、家を片付け、家族と時間を過ごし、原稿を書きつつ、スペイン語の勉強。新職場は6月21日からです。

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5月26日(水)に、厚生労働省で
「第1回 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループの開催について」
が開催されたようです。
案内はこちら:
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/s0526-5.html
資料はこちらからダウンロードできます
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/s0526-9.html

第2回の傍聴を希望の方は、医政局のサイト(http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#isei)を頻繁にチェックしてみてください。

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もうちょっとがんばって更新しなきゃね。と思っているので、日常のざわざわとした忙しさに負けないで、がんばります!

NP:医療者と患者の意見を比べると?

2010年01月23日 08時36分00秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
日経メディカル(医療従事者)と日経ビジネス(患者)のアンケート結果を比べるというとても面白い企画が起っています!
木村 憲洋さんによる「患者の9割は、看護師の業務範囲の拡大に賛成」の記事。
その前回の、「看護師ができる医療行為を拡大すべき?」
にも注目。

特にコメント欄の、患者の意見がとても興味深いです。

講演:臨床工学士の可能性

2009年12月12日 07時49分33秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
メディカル・コメディカルのスキルミックスに関する特集(セッション)が、3月の第74回日本循環器学会総会・学術集会にて行われるそうです!

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メディカル・コメディカルのスキルミックス:現状と展望
座長: 永井 良三(東京大学大学院医学系研究科循環器内科)
井上 智子(東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科)

医療崩壊が連日報道され、医師やコメディカルスタッフの過重労働が社会問題化している。医師増員策がその対策の一環として実施されているが、単に医師数を増やすだけで解決できる問題ではなく、より基本的な医療提供体制の見直しが必要である。なかでもメディカルとコメディカルのスキルミックスの推進や医療行為を担う職種の新設は、閉塞感のあるわが国の医療問題の新たな方策として注目されている。しかしながら医療行為の規制緩和はわが国の医療体制に大きな変革をもたらす可能性があり、充分な議論が必要である。米国におけるPhysician AssistantやNurse Practitionerなどの医療関連職種を今後、どのような形でわが国に導入すべきか、医療現場のみならず社会全体で考えるべき重要な課題である。本セッションでは、諸外国の現状と、日本国内での新たな取り組みを紹介いただく予定である。本特別企画が、わが国のこれからの医療のあり方を示す場となれば幸いである。
(第74回日本循環器学会総会・学術集会ウェブサイトより)

******
その中で、臨床工学士の伊藤朋晃さんが、日本におけるPA(医師助手)の可能性も含めて、話されます。

演  題  名:臨床工学技士の可能性~診療補助の在り方
セッション名:会長特別企画
メディカル・コメディカルジョイントシンポジウム
「メディカル・コメディカルのスキルミックス:現状と展望」
セッション日時:2010年3月5日(金) 13:50~16:20
発 表 時 間:発表10分 質疑1分 総合討論50分
会 場:第16会場 (国立京都国際会館1F アネックスホール)


私は残念ながら行けませんが、興味のある方は第74回日本循環器学会総会・学術集会ウェブサイトで申し込みをしてください!

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看護診断、謎の言語

2009年10月27日 20時18分06秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
私は、大学は生物学で鳥の研究などをしていた。その後、インターンシップは公衆衛生の分野で、それから3年間でNPになれるコースにイェールで入学した。

1年目は、1年で正看護師になってしまおうというすごいメニューで、いやはやその勉強の激しいことといったら、なんと自殺未遂が一人出たくらいだった。

その時に習った看護診断は、本当に不思議な感じがした。

クラスメートたちと看護診断についてのディスカッショんをした時、人種などに話題が及んだ。(なにしろ、社会学をベンン今日した人も、プロのバレリーナの人も、コンサルタントもいる。同級生はいろいろ面白い過去を持っていた)

マイノリティーは、自分たちのアイデンティティーの確立と、unionを狙うため、自然と自分たちの言語を形成する。だからblack englishはあのように独自の文法と言葉を発展させたとである。看護診断も同じことで、「自分たちは医師の手伝いではない。看護は看護だ」と主張する際に、自分たちの診断システムと言語があった方が都合よかった。
とは、同級生の説。面白いなと思った。

医療が高度化していなかった昔は、確かに看護の幅は狭く、看護診断で間に合った。そしてもちろん、医療の中における医学と看護というのは、重なり合う部分もあるが、別個の部分も多かった。

現在では、看護は医学化し、また、(大変よろしいことに)医学の一部も、「看護化」というか、ケアの部分に重点が置かれ始めている。

だからこそ、看護診断だと間に合わなくなってきた、感もある。

自分はNPなので、もちろん医学診断を使っている。学生のころ、間違えて、看護診断をSOAP NOTEのAのところで使用したら、「それは、診断ではない。ICD-9に載ってないものは、診療報酬がつかない」と怒られた。

医学診断はお金がつくから強力なのか。That makes sense too.

看護診断は、10年後、使用されているのだろうか。




NPが看護師である必要はない?

2009年09月22日 23時06分08秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
とある病院を見学させていただいた後は、東京で、のんびりしています。
前回は家族とほとんど時間が過ごせなかったので、今回は数日、家族と会えるということで、そのほかに予定を入れないようにしたので、連絡来なかったよ!という方、本当にごめんなさい。おじいちゃんの本棚から本を拾い読みしたり、近くのスーパーに買い物にいったりもしました。

明日から一気に忙しくなります。

アメリカでも日本でもあまりテレビを見ないたちなのですが、日本のニュースやドラマをちょこっと見て、医療や介護が「売れる」テーマである(だからそれに関する番組が多く作られる」ことに気がつきました。

さて、下のようなコメントをいただきました。

****
認定看護師のほうが役割が見えやすい。。。確かに領域によってはそうかもしれません。しかしみえやすい役割はほんの一部であってみえにくい部分にこそ認定看護師の存在の意義があるのだと思います。例えば、薬剤の調整は極端なはなし、看護師でなくても、薬剤師でもできると思います。認定看護師の本当の存在意義は現場の看護師の力を引き出し、組織の力を高めていくところにあると思います。このことは専門看護師でも同じです。おそらくNPの仕事にはこういった要素が入っていないのだと思います。NPの仕事と認定看護師の仕事は似ているようですが、全く性質が異なっていると私は思います。NPの仕事は医師が肩代わりをすることができるように感じます。しかし認定看護師や専門看護師の仕事の多くは医師が肩代わりすることが出来ません。それは看護独自の機能を発揮しているからです。NPの方のお話を聞いていると、たしかに先進的ですが、NPが看護師である必要性が見えてきません。
****

以上のコメントを、認定看護師さんのビデオのページから、ma-maさんにいただきました。(ありがとうございます!)

「認定看護師の本当の存在意義は現場の看護師の力を引き出し、組織の力を高めていくところにあると思います。」素晴らしいと思います!認定看護師についてはまだ勉強中ですが、専門看護師は、日本でもアメリカでもまさにそれが役目の大きなひとつです。大変重要な役割ですし、NPにはありません。NPはその代わり診療、診断が役割で、教育もそちらに重きが置かれています。

CNSとNP、果たす機能が違うだけでなく、勤務現場も違っています。簡略化して言えば、CNSは主に病院内(精神科CNSは外来もあり得る)、NPは主に外来(NPのごく一部である、急性期専門NPと新生児NPを除く)です。

NP歴史の本、ビデオを見る、インタビューをするとよく聞くのですが、「NPなんか看護じゃない、看護師の必要がない。ただの医師ヘルパーじゃないか」という言葉は、アメリカでも1960-1970年代でよく聞かれたそうです。医師会は彼らなりの理由でNPに反対し、看護協会も一部の人をのぞき反対していたそうです。

現に、1960年代前半、フォードがNP講座を既成事実で作ってしまった前、NPのような構想があり、アメリカ看護連盟につぶされたといいます。

システム全体を良くすることに関心が高い看護師さんは、管理職になるか、CNSの勉強をするでしょう。(それはそれで、素晴らしいことですね。)しかし、たまたまシステムのことよりは、直接の臨床の方に興味があり、実際知識や技術が豊富な看護師さんもいます。今は、どんなに優秀で、実際、皆に信頼され、研修医師に指導するぐらい知識が豊富でも、看護師、つまり「医師のヘルパー」としてしか、現場でしか参加できません。しかし、もっと勉強して、より患者さんのためになりたいと思っている方も多いでしょう。

そういう方が、夢を追いたいと思った場合、認定看護師に注目することもあるようです。ある程度自立して患者さんと関われるからです。「日本では無理だ」と判断し、アメリカのNP留学プログラムを夢みる方も、大変数多いようです。そのような方が、日本に残って日本での経験を活かせるチャンスは、将来できるのでしょうか?

また、NPが始まった1960年代のコロラド州では、医師があまりに不足していたため、看護師が予防接種の判断、健康相談など、ほとんど診断、診察行為に近いことを強いられていました。しかし、看護の勉強をしてはいるが診断の勉強はしていない看護師たちにそれを求めるのは、酷なことです。経験に基づいて判断しているとはいえ、彼女たちは、もっと知識を求めていたのです。NP制度は、このような看護師たちに正しい知識と訓練を与え、また、一定の基準をもうけ、このような行為を合法化しました。また、さらに重要なことに、これらの行為で診療報酬が受けられるようにしたのです。このため、NPとなった看護師たちの診療行為は「サービス」や「あったらラッキー」ではなく、正当な、プロフェッショナルな形で、医療の一端を担うことになったのです。

日本の老人施設などや、訪問看護でも、患者さんに必要とされるため、診察に近い重い責任を看護師は受け持っていることもあると聞いています。(実際、何を聞いても「医師に聞きますね」と答える看護師は、決して有能なナースではありませんよね。高度な看護的な、そして医学的な判断力は、患者を助け、命を救います。)

一部の優秀な看護師さんはそつなくこなしているでしょうが、もっと知識を得たいと願っている人の方が多いのではないのでしょうか。そして、万が一のことが起こったら、「診療行為は違法なのに、事実上診療していた」と、監督していた医師だけでなく、患者さんの必要に応じて提供していた、このかわいそうな看護師も責任を取らされるのでしょうか?

それよりは、一部の、システムじゃなく臨床の高度な知識、技術に興味のある看護師さんたちに、NPを学ぶ、NP資格を取るというオプションが開かれていた方がいいのではないでしょうか。

さらに、最後になりますが、医師たちは診察のエキスパートかもしれませんが、患者さんや家族の必要なことをすっと探知できる能力は、多くの看護師がより優れている、と思いませんか。医師よりも、患者さんに分かりやすい言い方で、説明できたり、治療以外に心のケアなどにも気を配れる看護師ですが、自分や自分の家族が病気だったら、その担当医にも治療以外にも気を配れる医師であってほしいと、願いませんか。

看護師で、学校に入り直して医師になった人も知っています。その看護師としての経験故、ユニークな能力を備えた医師となっています。NPも全く同じです。診察の知識以外に、看護師としての視点を診療できる立場になっても忘れないため、「すごくいい」診療師になることができるのです。

私は大学時代、かかりつけがNPでした。医学校に行く予定が、NP学校に行くように変更したのは、色々な理由がありましたが、その人がとっても素敵なかかりつけだったからというのも大きな理由です。

今でも、患者さんや友達で、「かかりつけはやっぱりNPがいい」という人も、少なからずいます。「話をちゃんと聞いてくれるから」というのが一番よく聞く理由です。もちろん、これはアメリカの話ですし、日本では違うかもしれません。

長くなりましたが、お返事、ほかの皆様のコメントお待ちしています。

緒方さやか







回復期リハビリテーション病棟で看護師の活躍

2009年08月26日 20時50分10秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
鶴巻温泉病院/回復期リハビリテーション病院で画期的なチーム医療を実現していると評判の澤田石順先生(「日本の論点」への寄稿などもしている医師の方です)から、下のようなメールをいただきました。ぜひ!!読んでみてください。
病院に行ってみたい。。。
澤田石先生のブログはこちら


*****

メールありがとうございました。澤田石です。

■当院での状況について
▼認知症認定ナース活躍
 認知症で対応に苦慮する患者さんがいると、病棟のナースが
医師の指示も許可も必要なくコンサルトできる体制になりました。
 もちろん担当医には一言かけることが推奨されてますが、医師は
否定的なことがあるので、どこも医師には相談無しのこともかなり
あるようです。私は医師に相談することを原則とする必要すらないと
思います。
 Mさんはコンサルト依頼があると、本人とじっくりと話をし
さらに家族に長時間かけてインタビューして、生活歴や個人的嗜好
など把握します。で、「こうしましょう」と具体的な提案をして
くれます。Alzheimer病かいなかの判定には、さすがに医師の「同意」
が必要。アリセプトを処方するにあたり診断がないといけないから
です。
 認知症認定看護師のMさんは大活躍しておりまして、現実に成果が積み重ね
られてきており、最近は医師が積極的にコンサルトするようになって
きました。Mさんは看護部長室専従でフリーの立場、つまり病棟業務を
してないので能力を発揮できる時間が十分にあるからできるのだと
思います。

▼感染症認定看護師
 リスクマネージメント部門専従でAさんが大活躍してます。感染対策
委員会の長は今でも医師ですが、実務のほとんどはAさんがしており
医師はAさんを支援するだけ。
 昨年度、患者さんのインフルエンザ罹患がゼロとなりました。感染症認定看護師が専従になったからの成果だと思います。

▼褥瘡(pressure ulcer)対策委員会
 この委員会も長は医師ですが、国内で研修・講習を受けたナースが
専従ではありませんが実務を主導しており、院内発生のPU発生が
ほとんどゼロとなり、持ち込みのPUは短期間で治癒にいたるように
なりました。

▼リスクマネージメント
 この部門が独立し、長はナースです。転倒、転落、薬剤の誤投与
などの報告システムがしっかりとし、システムエラーをなくする
ための具体的取組が飛躍的に増加しました。

▼私がいる病棟での実践
1)排尿と排便の問題
 ブログに書いたように、過活動膀胱に代表される排尿の問題、
便秘や下痢の問題について、ナースと勉強を重ねてきてまして
今ではナースが検査や治療をどしどし提案するようになり、
特に夜間頻尿という深刻な問題が解決(改善)することが多くなり
ました。昔は医者が気づかないとそのまんま。夜間頻尿のために
自宅に戻れないことが少なくなかったのですが。

2)栄養管理と嚥下障害について
 5年前、自分がいる病棟で開始しました。栄養カンファレンス
(ナースと医師)、嚥下カンファレンス(ナース、ST、医師、歯科衛生士)
を週一回。勉強会もしつつ。低栄養が見過ごされることがほとんど
なくなり、経管栄養から経口への以降が早まり、肺炎の発生が
50床の病棟で年に5例未満に激減しました。栄養管理や嚥下障害
へのアプローチには保険点数がつくようになり、栄養カンファは
全病棟で実施されるようになりましたが、嚥下カンファは残念な
がら私の病棟のみ(自分の病棟の経口摂取移行率が最高なのですが)。



>そして誇りを持って受け持っているという感じなのでしょうか?
>理学療法士や栄養士の方がと比べると、その責任に対する態度とは
>どのように違いがある/ないでしょうか?そのへんをも少しぜひ伺
>えればと思います。

 最初の頃は「そんなのは医者の仕事だ」という姿勢でした。「便秘
です。どうしましょうか。なんとかしてください」と単純に指示待ち
ということです。「私は医者なので30人担当してて、細かいことは
わかりません。ナースは8人担当してます。だから細かいところを
みてます。便秘や頻尿の患者さんがいたら何をチェックして、チェック
の結果で必要な検査、検査の結果により必要な治療手段は何かという
ことは書物に書いてます。一緒に勉強しましょう。医者にどうしたら
いいかと尋ねると楽でしょうが、医者ってのは便秘や頻尿のことなど
実はあまり勉強してません。ナースが検査と治療を提案するように
なれば必ず患者さんにとって利益になります。医者任せではダメです。
自分は便秘や排尿問題について相当勉強してきましたので、どうしたら
いいのと言われたら、いろいろと質問して検査や治療を主導できますが
それじゃだめなんです。医者なんてのはしょっちゅう変わるし、
やる気がある医師とそうでない医師の差が激しい。だから、ナースが
主役にならないといけません」
 こんなふうに語り、勉強会をしたりして、とうとうナースが
検査や治療を提案するようになってきました。院内で研究発表
したり、学会・研究会で過活動膀胱への取り組みを発表する
などナースは誇りをもって問題に取り組むようになったとの印象
です。

>理学療法士や栄養士
のことですが。昔の療法士は独自の世界にとじこもってましたが
リハビリ医療はチーム医療という理念が浸透してきて、ナースと
療法士や栄養士との話し合いが日常的に実施されるようになり
隔世の感があります。口から食べるためには一に離床、二に離床
三に口腔ケア、四番目が嚥下リハということが全職種に理解され
るようになりました。昔は経口摂取はSTの仕事という姿勢が
強かったです。

>処方できればしてみたいという看護師さんの率はすごく低いという調査

でしょうね。NPが制度化されるまでは、処方そのものは医師がする
しかないのですね。重要なことはナースが目標志向(例えば夜間頻尿
の解決)で仕事をするようになること。救急病院から私がいる
病院に来たナースは医学的知識はそこそこありますが、医師の指示待ち
症候群で「何をしたらいいかわからない」という方が多いです。
そのようなナースに対して発想の転換をしてもらうためにいろいろと
工夫してます。医者をセンセイと呼ぶなというところから初めて
「指示を求めるのではなく、何をしたいか、何をするべきか提案
してください。医者は患者の問題のごく一部しかわからない。
医者は道具であり頭脳ではない、リーダーはナースだ」と日々
言葉と態度でさとしていきます。

 私がいる療養病院に来る医師は急性期医療に疲弊して「撤退」
してきた人がほとんどですので、プライドばかりでやる気がない
医師が多く、一年以内に大多数が辞めていきます。チーム医療の
楽しさと効果を実感するまでにいたらないから、辞めてしまう。
常に医師不足です。で、医師を基本的に私は信頼できません。
チーム医療の素晴らしさに目覚めた少数の医師のみが継続して
勤務します。チーム医療を実践する医師は常にごく小数
ですから、ナースの役割は極めて重要なのです。
 療養病院に関しては、医者は50人に一人でもいい、NPが
50人に対して二人いたらいいと私は思います。
 療養病棟という慢性期医療の現場においてNPの必要性は極めて
高いと思います。エクランドさんのような救急医療においても、
慢性期医療においてもNPがいて欲しいってホント思います。
 私はナイチンゲールを統計学者、疫学者、かつナースとみて
おり尊敬しております。ナイチンゲールは医師らの間に
EBMの理念すらない時代に、EBMを実践した偉大な先覚者だと
みております。医師は疾患そのものについてのややこしい
理屈については詳しい。人としての患者さん、そして
患者さんの環境(衛生・清潔という純粋な環境[横]、そして家族、
生活歴[縦])をトータルに捉えることができるのはナースですね。

 長々と思いつくままに書いてきました。日本国は衆議院選挙の
結果により、医療政策が変わるかも知れません。今のところ
諸政党はNP/PAに関しての政策をほとんど明らかにしてません。

 日本のプロ野球選手が躊躇することなく米国の大リーグに
挑戦するようになっています。残念ながら大リーグで活躍した
日本人が日本のプロ野球に戻ることは少ないです。
 米国で活躍している日本人(国籍)NP/PAが日本に戻っても
今の法制度では活躍することは困難だと思います。日本国に
NP/PA制度ができれば、日本国内でNP/PA資格を取得するナースが
医療を変えていくことでしょう。米国でNPの資格を取得して
活躍したナースが日本に戻ってきて、日本の医療水準を
高めることもできることでしょう。

 緒方さん、今後ともよろしく御願い申し上げます。

P.S.
細田満和子先生の「チーム医療の理念と現実」、おそらく既に
お読みかと推察しますが、もしもまだでしたら是非とも。
リハビリテーションの学会・研究会や専門誌ではチーム医療
という用語がますます頻繁に用いられるようになっています。
在宅医療においてもそうです。
 私が勤務している病院の法人は訪問看護ステーションと
高齢者住宅の複合体を有しております。あじさいの里と
いう名称ですが、先月「あじさい祭り」というのがあり
参加しました。チームの構成員が、医療人と患者・家族
だけではなく地域のボランティア、地元商店街、町内会、市会議員、地元
出身の演歌歌手などに広がっているのです。
あじさい祭りにはホントに衝撃を受けました。日本国はまだまだ
すてたもんじゃない!!  「人と人とが結びつくことは善であり美、
人と人とが離反することは悪であり醜」というトルストイ翁の言葉は
真だと確認できました。

澤田石 順

NP学生へのエール

2009年07月23日 03時26分36秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
今日は、下のようなメールを出してみました。
もし、NP講座教員で出し忘れた人がいたら、本当にごめんなさい。しかも、現在NP学生の人にぜひぜひ読んでほしい!というわけでここに載せます。
記事は、もちろんブログ上には添付できないのですが、欲しい方は
Nurs Outlook. 1974 Nov;22(11):686-8. Twelve paradoxes: a message for nurse practitioners. Bates
で検索してみるか、見つからなければ、メールしてください。
緒方さやか

*****
日本でNP講座を教えている、または計画中の先生方, 及び
在米日本人高度実践看護師/PAの会(じゃぱんぱ)の皆様

ご無沙汰しております。

突然ですが、良い記事を見つけたのでお送りします。

下に添付してある記事は、1974年に家庭科NPの卒業生たちにむけて書かれたメッセージです。
NPという「ワケのわからない専門家」として旅立っていく彼らに、病院側や、医師側、看護師側からの混乱などを予想しつつも、患者さんのためになれ、と応援するエールは、とても的確で、現在の日本のNP学生さんたちにぴったり当てはまるところがあります。

できるなら全部訳したいところですが、時間がないので英語で失礼します。添付をご覧ください。ぜひ学生さんたちにも転送してください。

また、NPの授業は医師と同程度なのか、どのくらい「看護向け」にした方がいいのか、ともよく聞かれますが、最近見つけたこのウェブサイトで、NP用に行われた授業(それぞれ1-3時間程度)がビデオとして見られるので、ぜひ参考にしてみてください。これらの授業はCME (Continuing medical education - 免許の更新のために取得する単位)用のものですが、学校の授業も似たようなものです。

また、チーム医療維新のブログにも随時、情報をアップしていますので、参考にしていただければと思います。

次回は札幌で行われる老年看護学会のため、9月20-26日頃の帰国を予定しています。

これからもどうぞよろしくお願いします。

緒方さやか

都内でNP講演夕方5時半

2009年07月15日 11時14分06秒 | 日本でのNPやPA制度を考える
エクランドさんの講演が大好評だったので、ぜひ東京でもう一度!ということで急遽今夜、下のように講演の予定になったようです。2時間取ってあるのに、講演自体は合計1時間というのは、質問の時間が長いということかしら?
空いている方!!!!ぜひぜひお越しください!
エクランドさんの講演はパッションに満ちていてすごいそうですよ。

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東京女子医科大学母子総合医療センター講演会

日時:平成21年7月15日(水) 午後5時30分~7時30分

場所:東京女子医科大学外来棟5階 大会議室



講演:

1.  Development and prevention of lung injury in preterm infants  40分
Jesse D. Roberts Jr, MD



Professor, Department of anesthesia and Critical Care and Pediatrics

Cardiovascular Research Center, Harvard Medical School at Massachusetts

Genenral Hospital. USA



2. 米国における新生児NPの現状  20分

Wakako M. Ekland, MSN, APN, NNP-BC



Neonatal Nurse Practitioner

Mid-Tennessee Neonatology Associates, PC