光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

東京国立博物館  富嶽三十六景 2

2011年01月15日 | アート 浮世絵・版画

《相州七里濱》
富嶽三十六景の初期は藍摺りだったらしい。 本図では若干の緑色がのっている。 左端は江ノ島。 構図上、誇張があるのは仕方がないが、少しバランスが崩れている感じがします(中央の樹木の大きさ)。



《深川 万年橋下》
万年橋は、江戸深川を流れる小名木川が隅田川に合流する地点にかかる橋。  北斎は三十六景を書き終えた頃(80歳台半ば)、この付近に住んでいた。 力強い構図がいい。



《山下 白雨》
 白雨は明るい空から降る雨、にわか雨。  稲妻を下にして泰然たる富士の構図、デザインが素晴らしい。 



《甲州 三嶌越》
三島越は甲府から篭坂峠を越えて御殿場から三島へ抜ける道。 篭坂峠の風景とされる。 巨木の幹周りを測ろうとする旅人と富士。
ラーメン丼に描かれるような雲の表現が面白い。 右の荷物を背負っている女の子?はまたも裸足だ。



《東海道 程ヶ谷》
街道を行き交う人々の生活感が素晴らしい。 松並木がリズムを作っている。



《駿州 江尻》
静岡市近くの江尻宿。 強風で飛ばされる懐紙や菅笠が印象的に描かれていますが、何か風の力感がないと思ったら、葦原の葦や草の反り方が風向きと逆。  私が先日、琵琶湖岸で強風の写真を撮ったときの
光景を思うと、どうも合点がいかない。 ところで、ここでの左側の懐紙が飛んでいる女性は、裸足でなく足袋のようなものを履いている。ほっとしました。



《下目黒》
江戸時代、目黒は田園。  段々畑や鍬を担いだ農夫、赤子をおんぶした農婦も左手で子供の手を引き、右手では鍬を持っている。 右の侍二人はともに鷹狩り。  ここでも暮らしを描いた北斎の技量が光る。



《青山円座松》
青山の竜岩寺の庭にあった笠松が当時の江戸でも名所であった。 この絵では松と富士を眺めて酒盛りをする人、手ぬぐいで手をつないで坂を上る親子?松の下で掃除をする人(足だけ)、右端に松の剪定をする人など細かい描きこみ。  富士の急峻な描きと笠松の円の対比など苦心の構図。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする