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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

人間の境界

2024年12月31日 | ネタバレなし批評篇
2021年以降、プーチン支持を表明しているベラルーシ大統領ルカシェンコが、中東やアフガニスタンからの難民や移民数万人を集めて隣国ポーランドに送り込む一方、ポーランドは国境警備隊を組織してこれに対抗。いわゆる“ハイブリッド戦争”と呼ばれるもう一つの紛争が映画前半に描かれている。まるでおじゃまむしのようにバラ線で仕切った国境をいったりきたり、EUに行けばバラ色の未来が待っていると勘違いしている難民の皆 . . . 本文を読む

熊は、いない

2024年12月30日 | ネタバレなし批評篇
この度息子さんがめでたく監督デビューしたジャファル・パナヒ。血は濃しというべきか、ジャファルの直近作も息子さん同様“密出国”がテーマになっている。度重なる干ばつの影響ですっかり農業がダメになってしまった国境近くの廃れた村で、お隣トルコで撮影中の劇中劇(こちらも密出国ネタ)をその村から遠隔操作で指揮をとるパナヒ(本人)だったが、村のしきたりに触 . . . 本文を読む

コットンテール

2024年12月29日 | ネタバレなし批評篇
リリー・フランキー演じる作家大島兼三郎は、おそらくノーベル賞作家大江健三郎がモデルになっている。長男の大江光は脳瘤(脳ヘルニア)のある障害者で、その実体験をもとに『静かな生活』などの小説を書いている。本作の兼三郎も妻の明子(木村多江)が認知症を発症自宅介護を選択するものの、責任を最期まで全うすることができなかったことを悔いていた。その贖罪からだろうか、息子慧(錦戸亮)家族とも疎遠になっている兼三郎 . . . 本文を読む

No.10

2024年12月28日 | ネタバレ批評篇
そもそもこのヘンテコりんな映画、タイトルをなぜ「No.10」としたのでしょうか。確か映画後半に登場する“キャプテン”の話によると、地球上に11人の子供たちを解き放ったと言っていましたが、(ユダをのぞく)キリストの弟子と同じ人数11人中の10番目が、本作の主人公ギュンターだったのではないでしょうか。ちなみに、デビューから数えて10番目の作品が本作だそうなのです。無神論者ギ . . . 本文を読む

はじまりのうた

2024年12月26日 | なつかシネマ篇
最近の出演作を見ると、マストロヤンニレベルの“胡散臭さ”まで漂いはじめてきたハリウッドきっての演技派俳優マーク・ラファロが、男ができた奥さんに家を追ん出された元敏腕音楽プロデューサーを演じている。ミュージックビデオ出身のアイルランド人監督ジョン・カーニーも絶賛のその演技、自分が立ち上げたレーベル会社からもクビを言い渡され、一人娘にも相手にされずアルコールに溺れ、自殺しようとまで思い詰めていたどん底 . . . 本文を読む

君は行く先を知らない

2024年12月22日 | ネタバレなし批評篇
キリスト教文化とイスラム教文化が移民労働者を通じて融合するなんて夢物語を信じるほうがどうかしているのであって、ちょっと景気が悪くなると....まったく逆のベクトルが働いて社会の雰囲気は移民排斥へと一気に傾いていくのである。不正投票を行わなければにっちもさっちもいかなかったアメリカ民主党の腐敗ぶりを見ていればわかりそうなものだが、本作でおそらく経済制裁国イランから西側への亡命を企ているらしい長男は、 . . . 本文を読む

デッドプール&ウルヴァリン

2024年12月21日 | ネタバレなし批評篇
20世紀FOXをディズニーが買収したことから、本作から製作方針が大分変わったかのように思えるデッドプール・シリーズ。ライアン・レイノルズ扮するデップーが、カメラ目線で語りかける“第4の壁”演出は本作においても健在で、移籍ネタを中心にやりたい放題。最近はデップーの仮面を被っていない素の時も“おふざけ”が抜けないキャラを前面に押し出しているレイノルズ。ゆえにこの演出、観客の皆さんにとって . . . 本文を読む

PERFECT DAYS(2回目)

2024年12月20日 | ネタバレなし批評篇
アマプラ公開を機に2回目となる本作の視聴。映画冒頭シーンが、濵口竜介の『悪は存在しない』とまったく同じだったことに今回はじめて気がついたのです。『悪は存在しない』では、人知の及ばないこの世ならざる世界の象徴として、森の木々を下から見上げるシーンが冒頭延々と続いていたことを憶えているのですが、役所広司演じる🚻清掃員平山は、なぜ神社の境内にはえている木々の木漏れ日を写真に撮り続けていた . . . 本文を読む

SLEEP

2024年12月15日 | ネタバレなし批評篇
韓国の名優イ・ソンギュが永眠した、48才だった。麻薬使用を疑われての自殺だったという。よく通る声が印象的なこの俳優さん、ホン・サンスやポン・ジュノ作品で見かけることが多かったように記憶している。『エクソシスト』を彷彿とさせる本スリラーでは“夢遊病”におかされた夫を演じていて、発作的に自殺未遂をおこすシーンなどもあるので、ソンギュの死をある意味予言していたのかもしれない1本なのだ。市川実日子似の可愛 . . . 本文を読む

ヒッチコックの映画術

2024年12月15日 | ネタバレなし批評篇
ジョン・フォードにハワード・ホークス、そしてアルフレッド・ヒッチコック。フランスの映画批評誌カイエ・デュ・シネマによって再評価されることがなければ、彼らは永遠にB級映画監督のレッテルをはられたままだっただろう。いわゆる“作家主義”という基準を新たに設けて、映画における芸術と娯楽の壁をとっぱらったというべきか。この職人気質的な“作家主義”の基準を満たしてさえいれば、娯楽映画とはいえ芸術にもなりえるこ . . . 本文を読む

僕が跳びはねる理由

2024年12月14日 | ネタバレなし批評篇
彼らが“普通じゃない”と言うまでは僕が異常とは気がつかなかったたしかに僕は彼らとの会話が苦手口に出す言葉が思ってることと違ってたりするからやっかいなのさ全体をとらえてから部分を見るのが彼らなら僕の目には部分がまず飛び込んでくる雨が降っていることを理解するまでにとっても時間がかかったりするだから僕は突然叫んだり、跳びはねる見たものが頭の中で楽しい記憶の出来事と結びくと跳びはねたくなるしそれが悲しい出 . . . 本文を読む

幼な子われらに生まれ

2024年12月09日 | ネタバレなし批評篇
この映画には3人の監督がいる。原作者の重松清と脚本の荒井晴彦、そして、荒井の大ファンだという正?映画監督三島有紀子である。1996年に発表された原作小説を荒井が気に入り映画化の口約束をしていたもののお蔵入りになっていたシナリオが、今回三島の手によって映画化されたようだ。重松の原作(未読)は例によって壊れかけた家族の再生がテーマで、血の繋がっていない子供に父親としての接し方が分からない男田中信(浅野 . . . 本文を読む

ラブ・アクチュアリー

2024年12月07日 | 激辛こきおろし篇
何てキモイ恋愛群像劇なのだろう。ヒュー・グラント演じる若き英国首相をはじめとする英国セレブ男(一部例外あり)にこれまた白人美女たちが一目でメロメロになるご都合主義のオンパレード。LGBTQやフェミニストの皆さんが見ると、本当は下心で真っ黒なのに玉の輿に乗ろうとピュアな女性のふりをする女優陣や、その演技にいとも簡単に騙される男優陣の浅い演技にきっと吐き気をもよおすに違いな . . . 本文を読む

運動靴と赤い金魚

2024年12月06日 | 星5ツです篇
インド映画だとばっかり思っていたら、なんとイラン映画だった本作。どおりでタッチがイランの巨匠アッバス・キアロスタミの『友だちのうちはどこ?』とそっくりなわけだ。お兄ちゃんのアリが一足しかない妹サーラの赤いりぼんのついたビニール靴を、修理屋から持ち帰る途中で無くしてしまったからさあ大変。「明日学校に履いていく靴がないじゃない💢」とサーラはすっかりおかんむり。貧乏父さんや . . . 本文を読む

アワ・ボディ

2024年12月04日 | ネタバレなし批評篇
韓国の国家公務員試験に何度も落ち続けているチャヨン31歳は、いまだ独身の一人暮らし。セフレから一方的に別れを告げられ、ショックで大切な受験もすっぽかしてしまう。教頭先生をしているおっかないオンマは社会的に自立できていないチャヨンに厳しくあたり、そんな母親の目を逃れて時折姉の様子を見に来る歳のはなれた妹は大のお姉ちゃんっ子だ。コンビニのビニール袋から落っこちたビール缶を拾ってくれたヒジョンの美しい肉 . . . 本文を読む