
『スキャナーに生きがいはない』では誕生してまもなくすでに退廃している様子が書かれていた人類補完機構。本短編集ではその終末を予感させるどこか暗めのエピソードが集められている。その中でも『スキャナー…』で発揮されている作者の茶目っ気を十分に堪能できる下記2作品が個人的にはオススメだ。
『老いた大地の底で』
スミスの遺作。最長老長官が人生の意味を探るためローマ兵士ロボットを引き連れて、地下へ地下へと潜っていく。次第に聞こえてくる突き上げるようなビートミュージックの正体は…「太古にはそいつが糧だった。しあわせを装いながら、生きるはりは嘆きであり、怒りであり、憎しみ、恨み、希望だったのだ!」これは真理です。スミスも死に際に叫んだのだろうか。ミィィィィィ!。
『ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち』
人類補完機構最強の防衛兵器は宇宙盗賊からノーストリリアの宝物=長寿薬を守れるのだろうか。キットン=ニャンコだと思ったあなたの予想は見事に裏切られ、来るべきハルマゲドンに備えてキットンたちは、再び安らかな眠りにつくのだった。
アルファ・ラルファ大通り
著者 コードウェイナー・スミス(ハヤカワ文庫)
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