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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

火口のふたり

2021年02月06日 | ネタバレなし批評篇

残念ながら腐女子のみなさんが大喜びするような、柄本祐のち○ぽ丸出しシーンは登場しない。その代わりと言ってはなんだが、AVもどきの濡れ場を披露した瀧内公美の、ぼかし入りまくりのオールヌード姿が何度も何度も登場するので、どちらかというと野獣系男子にオススメの1本だ。

賢治(柄本祐)はできちゃった結婚をしたものの浮気がばれて離婚、子供に会うことも許されずうつを患い退職、そのままプー太郎に。その賢治と別れた後、故郷秋田に戻り自衛官と結婚することを決めた直子(瀧内公美)。新居への引っ越しを自分の式に呼んだ賢治に手伝ってもらい、そのまま…💗💗💗
 
この映画には、自衛官の彼氏が出張から戻ってくるまでの24時間ならぬ“5日間の情事”が描かれている。本作のキーワードとしてまずふれなくてはならないのが“震災”。いわば震災(死)と震災(死)の間にひたすら生(食う、話す、やる)を求め、負い目を感じながら燃え上がる二人なのだ。物語の舞台となった秋田県は、その昔奥羽列藩同盟から離脱した歴史があり、東北大震災でも東北で唯一被害を免れた県だという。

二人で仲良く食事をしながら、賢治が直子にこんなことを語るのだ。
「被災者に同情するふりはできるけど、被災者の身になることはできない」
当事者でもないのに当事者のふりはできない、本心を正直に明かした秋田県民ならではの台詞だろう。映画ラストで東京に甚大な被害を及ぼす別の震災が登場するのだが、ここでも二人はそれを対岸の火事として傍観するのである。

みんながこんなに困っているのにそんな不謹慎な気持ちいいこと💗をして、とお怒りになるのもわからないではないが、震災の都度自粛していたら、地震大国日本はとっくの昔に滅んでいたはず。スポーツを楽しむようにひたすら明るいSEXを繰り返す二人は、被災者いな世間一般に“負い目”を感じていたからこそ、逆に燃え上がることができたのではないだろうか。

いつ獣に襲われるかわからない状況で太古の昔からこそこそとSEXに耽ってきたホモ・サピエンスは、自然選択の結果いつの間にか(なぜか女性の出産は奨励されるのに)SEXを負い目と感じるようになっていったのかもしれない。“肉体の悪魔”の声に素直に従った賢治と直子は、いとこ同士という近親以上に、自分とどこか似ている(人生に負い目を感じている)人間としか交われない“ナルシスト”だったのであろう。

火口のふたり
監督 荒井晴彦(2019年)
[オススメ度 ]




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