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ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

レネットとミラベル/四つの冒険

2021年11月08日 | なつかシネマ篇


田舎娘のレネットとパリジェンヌのミラベル。喜劇と格言シリーズ『友だちの恋人』撮影の合間に撮られたという作品の割にはキチンとした落ちもあり、性善説と性悪説という倫理観念の対立をテーマにしているため、日本人にとっても馴染み安い内容になっている(気がする)。

個人的に注目したいのが、生粋のパリジェンヌを演じた英国人女優ジェシカ・フォルムの美貌である。小室圭のお母さんにどこか似ているレネットと比べると、服装のセンスからして段違い平行棒。エミリー・ブラントにどこか似ている気品溢れた顔立ち、まさに自分好みなのである❤️。

いわゆる都会と田舎の対比を(意地悪く)2人の女優に体現させて見せているロメールであるが、4つのオムニバスで語ろうとしていることは他にあるような気がするのだ。喜劇と格言シリーズをはじめとするロメール作品ではお馴染みの、空白を埋め尽くす“おしゃべり”。映画の味といってもいいその“騒々しさ”に対する自己反省を本作の行間にそこはかとなく感じるのである。

夜から朝に変わる時のほんの一瞬、カエルやフクロウがなきやみ、小鳥がさえずり始めるまでのほんのわずかな空白の時を「青の時間」と称し、それを愛でるレネットとミラベル。パリで共同生活をはじめた2人だが、堅物すぎる性格と余計なおしゃべりが災いし、カフェや駅構内で金銭トラブルに巻き込まれる小室かよさん、もといレネットなのだ。

(自慢話じゃないけれど)若かりし時2度ほどパリを訪れたことがあるのだか、その時感じたのはパリ人たちの徹底した個人主義。余計なことには自分から首を突っ込もうとしない彼ら彼女たちの姿勢を強く感じたのである。田舎ではありがたがられる小さな親切がパリでは大きなお世話となることを、ミラベルは本能的に察知していたのだろう。

そして、その原因が自分のおしゃべりにあることに気づいたレネット。レネットが独学で描いた絵に興味があると電話をかけてきた画商(ファブリス・ルキーニ)との交渉時にも、なんと沈黙を貫き通すのである。一時は交渉決裂かに思えた商談だが、見事ダンマリが功を奏し、レネットもそして画商もラルジャンを入手することに成功するのである。

まさに“沈黙は金なり”なのだ。


レネットとミラベル/四つの冒険
監督 エリック・ロメール(1986年)
オススメ度[]


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