Anteeksi.

すみません、ちょっといいですか。フィンランド留学の見聞録。

アイノラ

2009-09-10 | フィンランドぶらり旅
ヘルシンキから電車で30分。都市の喧噪を離れ、ヤルヴェンパーという村に、シベリウスが晩年を過ごした家がある。自宅の愛称アイノラは、奥さんの名前アイノから。

晩年、と言っても、シベリウスは91歳まで長生きしており、ここに家族とともに50年以上も暮らしたが、最後の30年間は全く作品を発表しなかった(ヤルヴェンパーの沈黙)。この動機については謎めいたところもあり、もうそれまでの内容に満足して作曲活動をやめてしまったという説から、逆に自己批判精神の高まりから手がけるもの全てをボツにしてしまったという説まであるそうだ。

四百ヘクタールもあるという敷地のほとんどは白樺やモミの木からなる林で、彼はこうした自然の中に佇み、そこからのインスピレーション、つまり木々のざわめき、湖のゆらめきといったようなものを、芸術作品としての音に変えていった。いま同じ場所に立ち、静寂の中で、偉大な作曲家の瞑想に少しでも思いを重ねてみようとする。

 

この土地を大変に気に入っていたシベリウスの遺言により、ここにお墓が作られた。


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