Anteeksi.

すみません、ちょっといいですか。フィンランド留学の見聞録。

まとめーいろいろ

2010-01-12 | 後記
帰国から数日経ち、やっと日本人と日本語に慣れてきた。ニュースでは「寒い」と言っているけど、どこが?て感じ。

色々と思うところはあるんだけど、感傷は自分の胸にしまっておこうと思う。けど、いくつかここに書いてみようと思う。

留学と言っても、たったの九ヶ月だし、何か、例えば人格とか思想とか、が劇的に変わったということがあるわけでもない。しかし、ほんの一年前の自分が全く想像すらしなかった色々なことを、今では当たり前のように知っていたりする、これはよくよく考えればまぁすごいことかなと思う。この留学中に何かが変わったというより、この経験をもとに、きっとこれからの人生が、多かれ少なかれ、変わってくるのだと思う。今まで進んできた道筋の角度を、ほんのちょっと動かしたのが、この九ヶ月の出来事たち。だけど、それは、十年後、二十年後に辿り着く先を、もしかしたら劇的に変えるものだったかもしれない。また、それらを無駄にすることのないよう、これからも過ごして行ければと思う。

人格、ということに関して言えば、まぁいい年でもあるし、自分探しもいい加減終わり、というほとんど確信のような手応えを得たのが一番重要な気がする。漱石が、「私の個人主義」という、ロンドン留学中の体験をベースに到達した哲学に基づく有名な講演を残しているが、これとほぼ同じような感覚だ。で、これには、実年齢というより、やはりこれまで生まれ育った社会=日本を、一旦、徹底的に外部化してみるという時間が効いているに違いない。

あと、もう一つ個人的に重要なこと。それは、自分がこれまで仮にも趣味としてきた音楽について、なんだか色んなことが分かった、というか、感じた。シベリウスは、フィンランドにいたからこそ、シベリウスなんだな、とか。フィンランドほどはクリアーではないけど、他のヨーロッパを色々と見ることができたのも、自分の中にイメージを植え付けるのにとても有益だった。そうしたイメージを与えるものは、一言で言えばその場所の風土であり、つまるところ、例えば、歴史、言語、建築、人々の行動様式、食事、気候、などなど。で、帰国して、もちろん日本には日本の良さが山のようにあるのだけれど、実は落胆したことの一つに、こうした西洋音楽への感性を刺激するものが、日本にはほとんど無いのに等しいことに気付いてしまった。願わくば、この感覚が、今後も鈍ることのないよう。

とか何とか言いつつも、日本という国の素晴らしさ、良い意味での独自性を、かつてないほどに意識した。I'm from Japanと何度言ったか分からないが、その度に、誇りのようなものを感じるのだった。自分は、日本を愛しているのだと思った。

最後に、結局、別に留学する人が偉いとかそういうことを言うつもりはないけど、留学とは、ほとんど無条件に良いものだと言いたい。それが、どういう意味で良いのか、どういうところでそれを実感できるかは、人それぞれであろうが、必ずそう思える何かを得られるものだと思う。周りの留学生(日本人に限らず)を見ていても、そう思った。

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