事業仕分け初日の結果詳報 2010年10月27日
事業仕分け初日の結果詳報
行政刷新会議の事業仕分け第3弾前半初日の結果詳報は次の通り。
▽グループA
【貿易再保険特別会計】
経済産業省が所管し、独立行政法人の日本貿易保険が商社やメーカーなどと結んだ保険契約を、国が再保険として引き受け原則90%のリスクをカバーしている。2011年度予算の概算要求額は1712億円。仕分け人からは、貿易保険という同一事業に国と独法が二重にかかわっている構造に「独法が国にリスクを投げている」との批判が相次いだ。仕分け人の判定は「廃止」。保証などで国の関与を残しながら、独法に事業を一本化すべきだとした。
【職業情報総合データベース運営事業(労働保険特別会計)】
学生などに各種職業の概要をインターネットで紹介するデータベース事業は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が運営し、今年4月の事業仕分けで廃止と判定された職業紹介などの事業の一部。だが厚生労働省は本体の事業に移管した上で、11年度予算で2900万円を要求した。仕分け人は「予算要求は合理性がない」「雇用につながるのか疑問」と指摘し、全員一致で「廃止」とした。
【ジョブカード制度普及促進事業など7事業(同)】
求職者の職業訓練歴などを記した「ジョブカード」制度の普及促進事業と、カードを活用した企業に訓練費を助成する事業は廃止し、求職者支援の別の枠組みを設けるべきだとした。
厚労省は「カードを利用し職業訓練を経た後の就職率は86・9%」として、制度が雇用に結び付いていると強調したが、仕分け人からは「履歴書を厚くしただけでは」「求職者のためではなく、企業のための支援制度になっている」と批判が続出した。
高齢者や障害者など就職困難者の雇用機会増大を図る「特定求職者雇用開発助成金」などほかの5事業は予算の執行率が低調などとして「見直し」と判定した。
【産業雇用安定センター運営費補助事業、介護労働安定センター交付金事業(同)】
公益法人に補助金を支給する両事業について、ともに「廃止」と判定した。厚労省は戦後最悪水準の雇用情勢を踏まえて継続を求めたが、仕分け人は「ハローワークでもできる」「地方はブロックごとに集約すべきだ」と指摘。官庁OBの天下りが多いことにも批判が相次いだ。枝野幸男前行政刷新担当相は取りまとめで「仕事は有意義だが、公費なしで事業を充実させてください」と述べた。
【労働保険特別会計まとめ】
同特会は労災保険を給付する「労災勘定」と失業給付などを給付する「雇用勘定」、労使から保険料を集める「徴収勘定」に分かれる。雇用勘定で実施している雇用安定と能力開発に関する事業は、ジョブカードなど個別事業の「廃止」判定を踏まえ、休業手当などの費用の一部を企業に支給する雇用調整助成金を除いて廃止すべきだと結論付けた。「執行率の低い事業や重複する事業がある」「一般会計で行う雇用事業と違いがあるのか」との仕分け人の指摘に対し、厚労省は「失業給付を抑制するための付帯事業。受益と負担の関係を明確にすべきだ」と存続を求めたが、「抜本的に見直し、必要な雇用政策は一般財源でやるべきだ」と判定した。
▽グループB
【漁船再保険および漁業共済保険特別会計】
災害などによる漁船への損害を補てんする漁船普通保険勘定と、漁船が拿捕されたときの損失などを補う漁船特殊保険勘定など3勘定を統合した上で、特会全体を農業共済再保険特会などと統合すべきだと判定した。漁業共済保険勘定の約289億円の累積赤字は、償還計画を早急に作成し公表するなどの「抜本的見直し」が必要とした。
【農業共済再保険特別会計】
効率的な運用を図るため、漁船再保険・漁業共済保険特別会計と統合し、勘定もできるだけ統合すべきだとした。食料安定供給特別会計との将来的な統合も検討するよう求めた。損害が発生しなかった場合に保険金の一部が返金される現行の仕組みの廃止や、事務費の一段の削減など見直しも要求。資金をやりくりするためにプールしている再保険支払基金勘定は、勘定間で資金の融通を行えるようにして廃止すべきだと結論付けた。
【農地保有合理化促進事業、農地利用集積事業(食料安定供給特別会計)】
仕分け人は「費用対効果がよく分からない」などと指摘し、両事業とも予算要求額を10~20%削減すべきだと判定した。両事業は農業経営の基盤強化のため、農地の集約や貸し付けを進め、農業者の支援を行うのが狙いだが、利用実績が少なく、仕分け人から批判の声が相次いだ。
【米、麦管理勘定(同)】
コメ備蓄の管理費用は1万トン当たり年間1億円かかっている。仕分け人は「消費量が減る中、コメの備蓄量は現在の100万トンのままで適切なのか」などとして備蓄量を数%でも引き下げるよう要求した。これに対し、農水省は食料危機が懸念されているとして備蓄の重要性を訴え譲らなかった。判定結果は、コメや小麦の備蓄量や輸入方式を見直すことなどにより全体として国の負担を10~20%減らすことで決着した。
【食料安定供給特別会計まとめ】
同特会にある農業経営基盤強化勘定は「廃止した上で一般会計に繰り入れる」と判定した。同勘定には国が農業経営を推進するために強制買収した土地が約4300ヘクタール残っているが、地価も精査されておらず、新たな“埋蔵金”となる可能性もある。仕分け人は「土地の境界なども確認されていないケースが半分以上ある」などと批判。農水省は今後10年ですべて売却すると表明した。中長期的には同特会と、農業共済再保険、漁船再保険・漁業共済保険の3特会を統合し、食料に関する新たな特会として再編することも求めた。
2010年10月27日水曜日
グループA 録画
グループB 録画
行政刷新会議
国家戦略室
事業仕分け初日の結果詳報
行政刷新会議の事業仕分け第3弾前半初日の結果詳報は次の通り。
▽グループA
【貿易再保険特別会計】
経済産業省が所管し、独立行政法人の日本貿易保険が商社やメーカーなどと結んだ保険契約を、国が再保険として引き受け原則90%のリスクをカバーしている。2011年度予算の概算要求額は1712億円。仕分け人からは、貿易保険という同一事業に国と独法が二重にかかわっている構造に「独法が国にリスクを投げている」との批判が相次いだ。仕分け人の判定は「廃止」。保証などで国の関与を残しながら、独法に事業を一本化すべきだとした。
【職業情報総合データベース運営事業(労働保険特別会計)】
学生などに各種職業の概要をインターネットで紹介するデータベース事業は、独立行政法人労働政策研究・研修機構が運営し、今年4月の事業仕分けで廃止と判定された職業紹介などの事業の一部。だが厚生労働省は本体の事業に移管した上で、11年度予算で2900万円を要求した。仕分け人は「予算要求は合理性がない」「雇用につながるのか疑問」と指摘し、全員一致で「廃止」とした。
【ジョブカード制度普及促進事業など7事業(同)】
求職者の職業訓練歴などを記した「ジョブカード」制度の普及促進事業と、カードを活用した企業に訓練費を助成する事業は廃止し、求職者支援の別の枠組みを設けるべきだとした。
厚労省は「カードを利用し職業訓練を経た後の就職率は86・9%」として、制度が雇用に結び付いていると強調したが、仕分け人からは「履歴書を厚くしただけでは」「求職者のためではなく、企業のための支援制度になっている」と批判が続出した。
高齢者や障害者など就職困難者の雇用機会増大を図る「特定求職者雇用開発助成金」などほかの5事業は予算の執行率が低調などとして「見直し」と判定した。
【産業雇用安定センター運営費補助事業、介護労働安定センター交付金事業(同)】
公益法人に補助金を支給する両事業について、ともに「廃止」と判定した。厚労省は戦後最悪水準の雇用情勢を踏まえて継続を求めたが、仕分け人は「ハローワークでもできる」「地方はブロックごとに集約すべきだ」と指摘。官庁OBの天下りが多いことにも批判が相次いだ。枝野幸男前行政刷新担当相は取りまとめで「仕事は有意義だが、公費なしで事業を充実させてください」と述べた。
【労働保険特別会計まとめ】
同特会は労災保険を給付する「労災勘定」と失業給付などを給付する「雇用勘定」、労使から保険料を集める「徴収勘定」に分かれる。雇用勘定で実施している雇用安定と能力開発に関する事業は、ジョブカードなど個別事業の「廃止」判定を踏まえ、休業手当などの費用の一部を企業に支給する雇用調整助成金を除いて廃止すべきだと結論付けた。「執行率の低い事業や重複する事業がある」「一般会計で行う雇用事業と違いがあるのか」との仕分け人の指摘に対し、厚労省は「失業給付を抑制するための付帯事業。受益と負担の関係を明確にすべきだ」と存続を求めたが、「抜本的に見直し、必要な雇用政策は一般財源でやるべきだ」と判定した。
▽グループB
【漁船再保険および漁業共済保険特別会計】
災害などによる漁船への損害を補てんする漁船普通保険勘定と、漁船が拿捕されたときの損失などを補う漁船特殊保険勘定など3勘定を統合した上で、特会全体を農業共済再保険特会などと統合すべきだと判定した。漁業共済保険勘定の約289億円の累積赤字は、償還計画を早急に作成し公表するなどの「抜本的見直し」が必要とした。
【農業共済再保険特別会計】
効率的な運用を図るため、漁船再保険・漁業共済保険特別会計と統合し、勘定もできるだけ統合すべきだとした。食料安定供給特別会計との将来的な統合も検討するよう求めた。損害が発生しなかった場合に保険金の一部が返金される現行の仕組みの廃止や、事務費の一段の削減など見直しも要求。資金をやりくりするためにプールしている再保険支払基金勘定は、勘定間で資金の融通を行えるようにして廃止すべきだと結論付けた。
【農地保有合理化促進事業、農地利用集積事業(食料安定供給特別会計)】
仕分け人は「費用対効果がよく分からない」などと指摘し、両事業とも予算要求額を10~20%削減すべきだと判定した。両事業は農業経営の基盤強化のため、農地の集約や貸し付けを進め、農業者の支援を行うのが狙いだが、利用実績が少なく、仕分け人から批判の声が相次いだ。
【米、麦管理勘定(同)】
コメ備蓄の管理費用は1万トン当たり年間1億円かかっている。仕分け人は「消費量が減る中、コメの備蓄量は現在の100万トンのままで適切なのか」などとして備蓄量を数%でも引き下げるよう要求した。これに対し、農水省は食料危機が懸念されているとして備蓄の重要性を訴え譲らなかった。判定結果は、コメや小麦の備蓄量や輸入方式を見直すことなどにより全体として国の負担を10~20%減らすことで決着した。
【食料安定供給特別会計まとめ】
同特会にある農業経営基盤強化勘定は「廃止した上で一般会計に繰り入れる」と判定した。同勘定には国が農業経営を推進するために強制買収した土地が約4300ヘクタール残っているが、地価も精査されておらず、新たな“埋蔵金”となる可能性もある。仕分け人は「土地の境界なども確認されていないケースが半分以上ある」などと批判。農水省は今後10年ですべて売却すると表明した。中長期的には同特会と、農業共済再保険、漁船再保険・漁業共済保険の3特会を統合し、食料に関する新たな特会として再編することも求めた。
2010年10月27日水曜日
グループA 録画
グループB 録画
行政刷新会議
国家戦略室