すきゃったどろわーず

「ひきだしバラバラ」~mici_konによる、美術展レビューとか音楽や身辺雑記です。

よく似た時代がありました

2012-04-09 10:44:26 | 本・絵本
バブルがはじけてデフレが続き、
首相はコロコロ交代し、世界じゃ恐慌起こっちゃうし、地震と津波にまで襲われた。

現代の日本じゃないです。
太平洋戦争前のお話。「是清の時代」です。
226事件の凶弾に倒れた高橋是清翁。開国した日本とともに波乱の人生を生きた人。
この方が大蔵大臣を8回も務めたってご存知でしたか?

『コレキヨの恋文』~新米女性首相が高橋是清に国民経済を学んだら~
                           三橋貴明著、執筆協力 さかき漣 (小学館刊 \1600+税)

もともとは中小企業診断士であり、ここ数年経済評論家として活躍している三橋氏。
各省庁が公開しているデータをもとに大変わかりやすいグラフを作って、
理解しやすく経済を説明してくれる方です。地上波TVにも最近よく出るようになられました。
数字をもとに、聴衆や読者の「目のウロコ」をたちどころに落としてくれるところは、
統計学者のハンス・ロスリング氏を彷彿とさせます。
そんな三橋氏の小説初チャレンジがこの作品です。

タイトルから判るように、大ヒットした『もしドラ』にヒントを得た企画らしいです。

ざっとあらすじを言うと、
「自分では思いがけけなく日本初の女性首相になってしまった霧島さくら子が、
比類なき財政家・高橋是清に学んで日本経済を立て直していく。」
というものです。

小説なのでこれにいろいろと楽しい脚色がなされていますが、要所要所には三橋氏のお家芸
わかりやすいグラフや図表が示してあり、お話を追うことで自然と経済について、
今日本で何がどう問題なのかが判るように出来ています。

表紙を見ると判りますが、満開の桜の季節がキーポイント。(主人公の名前もそうです)
著者様に寄ると、作中の高橋是清のセリフは、随想録でそのままの表現で記述されている部分も多いとか。
休みの間に一気に読み終えました。

1920年から1936年にかけての日本と世界の経済・政治の状況と現在は、
寒気がするほどに似ている事がよくわかります。
歴史的事実として、当時のデフレを脱却した高橋是清翁の業績には、
現代を生きる日本国民、政治家たちも大いに学ぶべきだと強く思いました。

どこからどう見ても「あの方」がモデルになっている財務大臣(元首相です)も出てくるのです。



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