「平和百人一首」とこのシリーズについての解説は、初回記事と2回目の記事をご参照ください。前回記事はこちらで見られます。
なお、かなづかいや句読点は原文のままとするので、読みづらい点はご了承ください。
平和百人一首
ふるさとにかへり来りて光降る 大空の下青き麦踏む
秋田県中泉 木澤 長太郎
終戦と同時に帰還したものの、心に落着きも見出せず、日日もんもんの情であつた。
然し、安息の冬を過し、春うつり、夏去り一年の間に、ようやく平和の兆が私の心にも宿り始めた。
麦踏の頃になつて、平和を謳う私の心は、ふるさとの青空の下、詩をつくるような自然への愛着が思わずこの一首となつて浮んだのであつた。
(長太郎)