武田じゅうめい 旅人は風に向かって進む

色即是空とは、すべての存在は虚無であると知る。
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西伊豆、電気柵殺人事件の真相。

2015年07月25日 | 事件

★西伊豆町の電気柵殺人事件。
単純な感電死事件であるにも関わらず、何かもう一つ分からないというか、すっきりしない事件だなあ、と思っていたら、ようやく霧が晴れて真相が見えてきた。
これは未必の故意という殺人事件なんだな。


まず、簡単な電気の話、
人間が誤って家庭用の100Vに触れても軽い電気ショックを感じるだけで、死亡するとか怪我をすることはない。
電気工事屋さんに聞くと、職業柄、100Vに触れることは普通にあって、軽いショックはあっても、生命に関わる問題にはならないという。身体が水に濡れていれば別だが、それは素人の話。
またIH調理器用の200Vに触れれば、電気ショックは大きいが、それでも即死するとか、大怪我をすることはないという。

それでは、なぜ、電気柵に440Vという高電圧をかけていたのか。
440Vが本当ならば、普通の民家にあるような電源ではない。
たかだか鹿や猪の動物に電気ショックを与え撃退するのに440Vという高電圧が、なぜ必要であったのか。家庭用電源の100Vを使って電気柵を手作りするならまだしも、日本の工場でさえも電源は200Vであるというのに、わざわざ昇圧器を使って440Vという高電圧をかけていた理由とは何ぞや。
市販の電気柵の電源は乾電池を使用して、9~12Vなのだ。


この疑問を調べて行くと、驚くべき事実が見えてきた。
西伊豆町の役場では、鹿と猪を有害獣と定め、捕獲すると鹿一頭につき5千円、猪一頭につき3千円の報償金が出る仕組みになっているという。

そして伊豆地方では鹿の肉が名産品となっており、ステーキを始めとして色々な食品(シグレ煮とかジャーキーなど)に加工されて販売されており、鹿一頭の肉につき2万5千円が支払われるのが相場だという。

つまり440Vの高電圧を使用した理由とは、電気ショックによる動物撃退ではなく、鹿や猪を一触即発で仕留める狩りであったのだ。
アジサイは鹿の大好物で、おびき寄せる為のエサとなり、山間に広がる畑に高電圧をかけた裸電線の電気柵を作っていたのだ。

そして死亡した父親は、この電気柵を仕掛けた人の親戚であったという。
それまでに殺された鹿と猪の「この恨み晴らさでおくものか」という怨念の為せる業だったのか、いずれにせよ、手痛いしっぺ返しを受けたものだ。

この電気柵を仕掛けた者は、電気工事法違反、重過失致死傷罪に問われ、民事では死亡につき1億円を超える賠償金が予想され、負傷した5人の治療費にも相当な金額がかかる。
せめて漏電ブレーカーをつけていればと後悔されるのだが。
一般的には漏電ブレーカーなど数千円で買える代物だが、440Vの高電圧になると、特注仕様となって高額になるかも知れない。


 

余談。
報道では100Vから昇圧器を使って440Vまで上げたとなっているが、実際問題、100Vを一次電源として440Vまで上げられる昇圧器というのは作れるのだろうか。
200Vを一次電源として400Vまで上げるということは、技術的に可能であるし、そういう特殊な使い方はある。なぜなら欧州の機械は380Vとか415Vを入力電源とするから、日本に持ち込んだ場合、工場電源の200Vから400Vへ上げる昇圧器を作るケースがある。
家庭のIH調理器を使用する場合、100V仕様もあるが、普通は専門の電気工事屋さんが200Vに改造してくれる訳で、家庭にも200V電源があって不思議ではないが、今回のケースでは、本当に100Vから440Vへ上げていたのか。
余談ながら興味が湧く。というのはそういう昇圧器を作るには、相当なコストがかかり、太い銅線コイルを大量に巻く為に、大きさといい、重量といい、半端なものではないのだ。


さて、話を戻す。
報道を見ている限り、奥歯に物がはさまったような記事が目に付く。
恐らく、西伊豆の地区では、多くの農家では高電圧の電気柵を使っているのが普通であり、その目的は動物捕獲の報償金目当て、そして観光土産用の鹿肉、猪肉の確保であったのではないのか。
しかも、役場と警察はそれらを知ってて見ぬ振り、地区でも公然の秘密となっていたのではないのか。
だとすれば役場と警察の罪は重い。

だから警察庁は、事件直後に秘かに緊急会議を開き、全国の警察署に電気柵に高電圧を使っているかどうか調べるように緊急通達を出したと聞こえてくる。そして使っていれば、「直ちに止めよ」と。

大ケガをした子供さんの手は、熱線で焼かれたように赤くただれていたという。


(じゅうめい)


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