CNN画像より 死刑判決の時
この写真は映画<ベニスに死す>のスチール写真ではない。
かつてのイラク絶対権力者の死刑判決の瞬間である。
私はこの写真を見世物にするために切り抜きをしたのだろうか、と自問する。
三人の子供を殺され、妻を失い、大理石の白亜の宮殿から鼠が走り回る孤独の独居房に閉じ込められた一人の人間、権威の皺ではなく失意の皺なのか、写真の表情から軽々に窺い表現するのはよそう。、
事実としては、大量殺人兵器(核爆弾、毒ガス)の発見、廃棄を目的にした米軍のイラク侵攻は、その理由が虚偽であったこと、そしてミサイル攻撃、絨毯爆撃によりアラビアンナイトの世界であったバグダッドが瓦礫の廃墟と化し、50~100万人ともいわれる無垢の民間人が犠牲になったこと、英米の友軍として日本が軍隊を派兵したこと、現在も日本は現地において英米軍の為に自衛隊による飛行機輸送を行っていること、そして現在のイラクは収拾がつかない内戦状態になっていること、米兵と英兵が既に3000名死亡したこと。
これは文学ストーリーではなくて、まさしく国際政治のむき出しの現実なのである。
あと10年もたてば、アメリカ映画界はイラク戦争をラブストーリーに仕立て封切りをすることだろう。それがアメリカのあるべき西部劇なのである。映画において事実は真実を伝えるのだろうか。
それまでにイスラムとアメリカ(ユダヤ)の間で始まったばかりの
新100年戦争はどのようなシナリオを用意しているのだろうか。
最後に、かつての独裁者は法廷でアッラーアクバールと叫んだらしいが、それは彼自身の為か、あるいはイラク国民の為の救いの叫びであったのか誰も知るよしがない。
戦いはまだ始まったばかりなのだ。