「Inner Views」

音楽家として逝こうと思う。

考。

2005-09-13 | Archtop Guitar
 サウンド・ホールから見えるロゴ。近影。メイプル・バインディング。とてもフレンドリーなメイプルでした。素直に言うこと聞いてくれた。





 フレイムが思いっきり出ている材から作ってみました。この作業は、大きなメイプル材をカット→バインディング用に高さ&厚さを出す→熱を加えギターの形に曲げる→接着。という流れ。腱鞘炎持ちには、非常に辛い作業なのです。下手したら一週間くらい手が痛いです。朝、コーヒーカップ持てないんですよ、痛くて。僕はもう、お箸が上手く使えないのですが、食事に気をつけたりして、なんとかかんとか悪化しないようにしてます。ギタリストは手が命。

 マルキオーネ・アーチ。今回はちょっと変えてある。アーチの高さを調節して音の質感をコントロールするのです。最近の製作家の主流は、輪郭が緩くて柔らかい感じでしょうか。特にヴァイオリンは、ドイツとイタリアではそのアーチが決定的に違う。これはもう、絵画とか彫刻をたくさん見て、「眼」を鋭くしていく以外方法は無いと思う。それが見えてくると、確実にその形の良い・悪いがホントにはっきりと見えます。デザインに正解、不正解があるのです。正解の形は目に心地よくて、不自然じゃないのです。理にかなっているというか。ダヴィンチとか、スゴイなと思う。
 




 ネックも近影。シェイプを整えたので、フィンガーボードがちょっと動いた。ネック製作の秘密は、とにかくゆっくり、ゆっくり進める。ミクロの世界のセットアップをするには、各作業後、ネックを放ったらかしておいて、好き放題遊ばせておく。遊び疲れて全く動かなくなったら、フレット打ちの前に完璧に整えるのがコツ。フレットは明日作業すると思います。

 PVA系の接着剤を使うと、よっぽど乾燥させた材を使って木目の取り方も完璧に見極めない限り、下手したら数年の内に接着面が動き出す。言葉は悪いのですが、気候の変化とかで常に「動いている」ギターの出来上がり。精魂込めてせっかく作ったギターがこれだと悲しい。





 
 二本の刀、近影。





 週末、ちょっと真剣に考えた。いつか、フルタイムで演奏活動に戻ろうかなと。教師の仕事もサクッとやめようかと。お金貯めて、スティーヴンにオーダーして、やっぱり、ニューヨークでやってみたい自分がいる。なんだろ、エゴかな、とか思ったけど、ギターを弾いてるその時間、音楽に直接触れている、感じている時間、あの状態、あの場所、あそこがやっぱり僕の居場所なのかな、と。で、やっぱり色んなヒトがいるのがニューヨーク。色んな才能に揉まれてみたいのです。何だ、結局、僕は自分の外にその答えを求めてるのか、とそんなことを考えた週末。何だか一生こんな感じで自問自答ですか、とそんなことも考えた週末。

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2 コメント

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 (Hiro)
2005-09-16 02:23:45
このアーチトップ。

サイドの木目がグラマラスですね!

見るからに“本物の音”が聴こえてきそうです。



仕事柄、色んなギターを手にします。

4年前、Marchione Guitarを知ってから、僕の“スタンダード=基準”はMarchioneになってしまいました。

そうなると、世の中のあまたのギターに対する感じ方が、全く異なってきます。

もちろん、人は千差万別なので、全員がMarchione Guitarを気にいるとは限りません。

また、その良さに気がつかない人も多くいます。

先日、あるロック・ギタリストと“良い音”について話をする機会がありました。

彼は「良い音の比重は、ギター3割、アンプ7割だ」と言って、僕のNechthruを自作のアンプで鳴らしていました。

初めて弾いたはずのNechthruには、全く興味を示さず、ひたすらアンプの出音に満足した様子。

「う~ん、こういう人も“あり”だな…」と思いました。



Marchione Guitarは“異次元”のギターです。

でも、こんなに作り手の人間味を感じるギターに出会うことは、この4年間1度もありません。

それは、Stephen Marchioneという人物の生き方に“道”を感じるからです。



タカさんが今感じていたり、考えていることは、“エゴ”でも“夢”でもないと思います。

それはタカさんの“道”だと思います。



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道しるべ (Taka)
2005-09-19 15:02:23
があったら良いのでしょうね。道は自分の後ろに自然と出来上がっていって、前には無いのかな、とか思いました。先が見えないから余計に怖いんですけどね、一歩踏み出すの。



今年(って今更ヘンな言い方ですが)は何らかの形で「自分の音」を外へ向けてみようかな、と考えています。今までは、ずっと他人任せにしてきたのですが、もうそろそろ自分でやろうかなと考えています。

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