13才の少年は大きな谷底へ落ちた。
その谷は、這い上がることがとても困難だった。
這い上がりかけた。手が届きそうだった。しかし、再びズルズルとゆっくり谷底へ落ちた。
諦めることなく、再び這い上がった。しかし神様はもう一度試練をお与えになった。
暗く狭い谷底はしばらく続いた。
僅か光が射したような気がした。
その光は確実なもので、明るさは増した。谷底から這い上がる準備はできた。
光を求めて、我武者羅に這い上がった。
ようやく、崖の頂上に手が届き、深く暗い谷底から這い上がった。
這い上がったが、光は仄暗く、谷底で夢みた”まぶしさ”からは、かけ離れていた.
雨に濡れ、風に吹かれていたら、ようやく本来的な光が見え始めた。
光はどんどん明るさを増した。
ゆっくりと谷底を覗いてみたら、もう落ちる心配はない程、両足で踏ん張れた。
歩き始めた。歩けた。
走り始めた。走れた。
飛んでみた。飛べた。
蹴ってみた。蹴れた。
全力で走ってみた。全力で走れた。
そうやって、希求した場所にやっと辿り着いた。
光は満ち溢れる準備を終え、あとは心置きなく満ち満ちるだけとなった。
さあ、すべてをこのために頑張った。
後は、最終的な目標のために、走るのみ。
13才で谷底に落ちた少年は、谷底から這い上がり、もう少しで15才になる。
光をいっぱいに浴びる準備は整った。
後は、光に照らされて、オレンジ色のリングとともに、蒼い光に身を任すのみ。
後は、皆の声援を受けながら、走り出すだけ。
息子よ、光を浴びながら4回勝つために躍動せよ。