姉と私は同じ歯科大。姉は卒業しても、小児歯科の専門医を目指し大学に残ってたので、私も姉の様子をみていました。
姉は、とても女らしく可愛らしいので大変もてました(私と正反対のタイプ^^;)。同級生や先輩、後輩からいつも「つきあってください!」と告白され華やかな生活を送っていました。そのなかで、姉はMさんという本当に好きな人を見つけ付き合っていました。でも、姉が脱ステして2ヶ月くらいしたころ、彼は姉を捨て、陶器のような肌を持つ若い子と付き合いだしたのです。姉のそのときの苦しみ、想像できません。姉が脱ステしたのは、Mさんとの結婚を夢見て、子どもを作りたいと望んだから。子どもを作るときに、ステロイドは影響が出るかもしれないから、と心配して脱ステを決心したのです。
この前電話で話してたとき、
「よく外に出れたよね。普通、脱ステで苦しんでる人達は、外に出ないで、ひたすら家の中で耐えてるんだよ。外に出たきっかけは何?」と聞いたら、姉は
「私ね、一度死んだの」
「へ?死んだ?何それ!!」
「M君が、あの子と付き合ってると聞いたとき、頭の中で自分は完全に死んだの。そうしたらね、人にどう見られようと、恥ずかしいとか辛いって気持ちは消えたんだ。逆に治そうって強く思った。だから外に出るのも苦じゃなかったの。」と明るい口調で教えてくれました。
「そっかー、本当に死ぬ気になったらなんだってできるもんね~♪」
と、私も姉に合わせて明るく返しましたが、受話器を持ちながら涙がつーっと流れました。だって私は、姉がどんなに心から彼を好きだったか一番知ってたから。
「うらんでないの?」と聞いたら
「全然うらんでないよ!死にたい死にたいと思ってるときって、治らないもんだよね。私はあのとき一度死んだから、生まれ変わることができたんだと思う。それより、M君が、あの一番辛い2ヶ月間、ずっと看病してくれたことに感謝しているよ」
「ふーん、Mさんバカだよね。こんないい女逃してさ」
「あはははっそうだね」と大変明るい姉。
受話器を置いても、しばらく涙が止まりませんでした。私、あんなにそばにいたのに、姉の本当の気持ちは分かってなかったんだな。。。と思いました。
姉は、脱ステ後、驚異のスピードで克服し、わずか5ヶ月で東京に就職して仕事を開始しました。そして、もっと素敵な男性に巡り合い結婚しました。今はその姉と私は仲良く仕事をしています。
「一度死んだ」という言葉、しばらく頭から離れませんでした。頑張ったね、姉よ。妹は思い出すたび涙するのでした。
お姉さん、強くて優しく立派な方ですよね。
私には到底できないと思います。なんだか私とは根本的に違っていて、頭が下がる思いです。
今はお二人とも幸せな結婚生活で、ほんとに良かったです!
モトコさんの旦那さんも優しくてステキな人だなーと思って読んでました!しかもNYに住んでたなんて憧れます~