「空気」に異議あり!

世の中の「空気」のいくつかを相対化していきます。初めての方は、左下の「カテゴリー」の「注意事項」をご覧ください。

都合のいい時だけ国家を頼る反国家主義者

2008-03-29 | 権利と空気
日本の最高裁で無罪となった「ロス疑惑」の三浦和義氏が
サイパンで逮捕されたニュースが話題になりました。

筆者は「ロス疑惑」の時は小さかったので、
この事件のことは詳しくは知りませんし、
三浦氏が無実を訴えていることについて何の意見もありません。
またアメリカの新しい担当弁護士が逮捕を無効として闘う戦術も、
何の疑問も感じません。

ただ1つ、三浦氏のかつての担当弁護士だった日本人弁護士の発言に、
疑問を持ちました。

それは、

「日本政府はアメリカの捜査に協力してはならず、抗議しなければならない。
協力すると言った町村外務大臣は不見識だ」

という発言です。

この日本人弁護士が、アメリカ当局による逮捕や捜査を批判することは、
この弁護士の立場上、正しいことだと思います。
むしろアメリカ当局の三浦氏への人権侵害をもっと厳しく批判すべきでしょう。

しかし、この弁護士が日本政府に頼るのは、明らかに筋違いです。

なぜなら、三権分立によって、司法と行政(政府)は別組織だからです。
しかも司法は常々、「司法は国家権力と戦うもの」であると定義しています。
それが都合のいい時だけ政府に協力を求めるのは、あまりに虫が良すぎます。

例えるなら、いつも親にわがままを言って反発ばかりしている子供が、
急に親に「協力しろ。お前には子供である私に協力する義務がある」
と言っているのに等しいからです。

もう1度言いますが、この弁護士がアメリカ当局を批判することは立場上正しい。
しかし、日本政府に頼るな、自分でアメリカ当局を批判しろ、ということです。

国家に反発することを大目標に掲げながら、都合のいい時だけ甘えるその姿勢は、
強い批判を受けるべきだと思います。


もう1つ疑問に感じたのは、
この弁護士が町村大臣を「不見識だ」と批判したのに対し、
町村氏は同じような批判を返さなかったことです。
これは明らかに不公平です。

しかし日本の現在の常識では、そのことは当たり前のことのようです。
メディアや左翼思想家は政府に対して口汚く罵ることができるが、
逆に政府がそれを返すと、「大人げない」「国家権力による不当な弾圧だ」
などと、筋違いなバッシングを受けます。

私が常々触れていることに関連しますが、
時として、国家が弱者の人権を、自称・人権派から守るケースは多いのです。
にもかかわらず、自称・人権派の発言だけが強く言っていいとすれば、
自称・人権派によって人権侵害されている弱者の人権は誰が守るのか。

そういう意味でもこうした不公平は間違っているのであり、
政治家もマスコミと同じように、相手を批判する権利があると、強く思います。

7 コメント

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Unknown (太一)
2008-04-04 20:31:40
内藤朝雄氏の主張は、私も前に考えていたことと似ています。
左翼と右翼を統合する主張として。

無批判に「アジア」を使っているのは疑問を感じますが、
現在のマスコミ左翼のダブルスタンダードを指摘しているのは、
面白いと思います。


もう1つのoribe氏は「親中派」だそうですが、
マスコミ出身だけあって、マスコミの欠点を色々
書いているようで興味深いです。

時間的な都合で全部は読んでいませんが、
今後研究したいテーマですね。
返信する
こんなブログ見つけました… (かず)
2008-04-03 02:41:39
連続投稿すみません…。

今度は、元テレビ業界関係者?の方が記されているブログを見つけました。
Meine Sache ~マイネ・ザッヘ~
http://meinesache.seesaa.net/

特に(と言っても多いですが…)
テレビは捨てることにしました。
http://meinesache.seesaa.net/article/90121789.html
いつか来た道
http://meinesache.seesaa.net/article/90603836.html
新聞の信用できなさを証明する例
http://meinesache.seesaa.net/article/90883198.html
テレビとルターと著作権
http://meinesache.seesaa.net/article/91306839.html
情報ソースとしてのマスコミ
http://meinesache.seesaa.net/article/91505783.html
をご一読していただきたいです。
返信する
こんなコピペ見つけました! (かず)
2008-04-02 22:06:38
>このクロフネさんという方はかなり博識のようですが、どういう方なのでしょうかね。

初めて訪れたブログなので、僕も全く知りません…。

今度はこんなコピペ?を見つけました。
サヨクについて大分と的を射た文章です。
大分と長くなりますが転載します。

「内藤朝雄HP -いじめと現代社会BLOG
2008-03-21 ■チベットに関する内藤朝雄さんのメッセージ
http://d.hatena.ne.jp/izime/20080321
****************************
中国政府がチベットを侵略し、長年にわたって組織的な虐待と殺害を繰り返してきたことに強く抗議します。これは日本政府が満州で行ったこととまったく同じ行為です。人間の尊厳を守りたいと願う人々は、このような中国政府の国威発揚イベントとしてのオリンピックに協力すべきではありません。

まず、オリンピックに協力しないよう、企業に働きかけましょう。

オリンピックに協力する企業のリストをつくりましょう。そのリストを参考に、ひとりひとりが買う買わないを決めることができます。

チベットについての報道が少なく、オリンピックを宣伝するような報道が多いメディアについて、その取り上げ方についての記録をつくって公開しましょう。また、もし中国と政界財界のコネクションがマスメディアのチベット報道を抑制するルートがあるとすれば、それを厳しく告発する必要があります。

また、政治家やマスメディアの芸人たちは、中国オリンピックにすりよると、人間の尊厳を大切にするひとびとの支持を失う、というチェックシステムをつくる必要があります。もちろん、チベットで残虐なことをするぐらいどうということはなくて、それよりも、力強く国威発揚をしている中国は、かつての力強い大日本帝国のようですばらしいではないか、と思う人々は、オリンピックをもりあげる勢力を支持するでしょう。それは民意による選択です。ただ、きちんと民意による選択ができる条件を整備する必要があります。その条件整備は、緊急にしなければならないことです。

わたしは『いじめと現代社会』(双風舎)で、右と左が源氏と平家のように縄張りをひき、各トピックについて批判したりしなかったり、擁護したりしなかったりする「論点抱き合わせセット」を厳しく批判しました。もう、そういう縄張りのなかで集団思考する(われわれ考える)をやめて、ひとりひとりの良心と理念にしたがってものを考えよう、と訴えました。今回の中国のチベットでの残虐行為については、もう右と左をやめて、ひたすら「人間の尊厳を踏みにじるのをゆるさない」という地点から、政治は動き、メディアは発信すべきです。

参照:論点抱き合わせセットの図
http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/s/suuuuhi/20070517/20070517135429.jpg
****************************

内藤朝雄『いじめと現代社会』(双風舎)より
****************************
 日本では、冷戦崩壊から十数年たったいまでも、特殊日本的な右派と左派の対立図式が続いています。とくに政治的な活動や発言をする層は、源氏と平家のように右派か左派のどちらかの陣営に属して、その所属の論理で思考するがゆえに、しばしば一般人よりも愚かです。

 右派と左派は、さまざまなトピックを問題化し、それを「われわれとやつら」で線引きされた争点とします。トピックAに右派が賛成で左派が反対、というふうに、右派と左派のあいだでいったん問題の縄張りが敷かれると、その所属の論理に従ってパブロフの犬のように、トピックAに賛成したり反対したりするわけです。

 右派も左派も、自分がコミットすると称するコア価値(たとえば人類普遍の人権)によって、個々のトピックに賛成したり反対したりしているのではなく、右派と左派の線引きと所属の論理によって、「どういう信念を持つか。どういう論理を採用するか」という思考内容が決まってきます。

 だから、日ごろ人権が大嫌いなはずの右派が、北朝鮮政府を加害者とする被害者の「人権」擁護を担当し、「人権派」を自認する左派がそれを無視し続ける、といった不思議なことも起きます。この無視の意味は、たまたまそれを憎っくき右派が担当したから「この果実は食えない」ということでしょう。あるいは、「人権派」にとっても、昔から協力しあってきた「われわれ」のつきあいのほうが、「人権」よりも大切なのかもしれません。
****************************

 右派でも左派でもないリベラリストの独立勢力を形成することが急務である。
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内藤朝雄 『論点抱き合わせセット』 URL 2008/03/28(Fri)」

「従来の反日サヨク → 擬似特亜ウヨ、特亜ウヨ支持者、特亜ウヨのポチ
内藤朝雄みたいな者 → リアルサヨ

と呼べばいいのでは。

http://25oclock.blog.shinobi.jp/Entry/202/
「自虐史観は実は自虐ではな」く「差別的なすりつけ解釈」であるわけだけど、これは、自分が善人になろうとしても本人の性格が本質的に差別的・攻撃的だから善人になれず、安易にも対立国の排外主義に自己投影して善人になった気になるため。 言わば「権威が嫌いで神を信じなくなるかわりに悪魔を崇拝するようになったのに、何故か無神論者を気取るウソつき」タイプ。

内藤朝雄は本来の意味でのサヨク。つまりリアルサヨ。「権威が嫌いで神を信じなくなり悪魔も崇拝しない筋金入りの無神論者」タイプ。筋は通っているけど・・・多数派にはなれないだろうな。
hr 2008/03/30(Sun)」
http://25oclock.blog.shinobi.jp/Entry/209/#comment
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Unknown (太一)
2008-04-02 00:35:13
>かずさん

面白そうなブログですね。

このクロフネさんという方はかなり博識のようですが、
どういう方なのでしょうかね。

瀬戸さんもブログにコメントされていますが。
返信する
こんなブログ見つけました! (かず)
2008-04-01 23:41:18
僕の考え(もしかすると太一さんの考えも?)と似ているブログを見つけました。

外交と安全保障をクロフネが考えてみた。
http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/

メニューに載っている、“解剖する”シリーズは非常に興味深いです。
★メニュー
http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-37.html

特に以下の4つをご一読していただければと思います。
”嫌韓派”を解剖する(その1)
http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-250.html
”嫌韓派”を解剖する(その2)
http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-252.html
”嫌韓派”を解剖する(最終回)
http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-257.html
”反米原理主義者”を解剖する
http://gaikoanzenhosyo.blog4.fc2.com/blog-entry-204.html
返信する
Unknown (太一)
2008-03-31 23:51:58
>かずさん
>ロス事件については詳しいことを知らないのでコメントを避けます…。

私も事件の内容については語っていません。
あくまで現在の元弁護人の対応について批判しています。

>wamにとって、憎い日本の国家権力であるはずの警察に連絡し、警察に頼る

「恥を知れ!」と言いたいです。

>これは共産党の方が力が上だから、
>警察がこの様な対応をしたということでしょうか…。

共産党の方が上なのもあるでしょうし、
左翼思想家だけは丁寧に扱わないと、
「マスコミ様」に怒られるからではないでしょうか。

一方、右の思想家を弾圧しても、「マスコミ様」は見て見ぬフリをしますので、
警察も弾圧できるのでしょう。

その「マスコミ様」は、もっと偉い「中国様」に逆らえないんですよね。

>中国政府を批判するプラカードを掲げる者も排除せよ」とお達しがあったそうで、
>長野県警本部長はそのお達しに全て従う

まさに日本が中国の支配下にあることを示していますね。
独立国家とは言えませんね。


>刑法39条、心神喪失はこれを罰せず、心神耗弱は刑を軽減す

被害者の人権は無視していいのか、というのが最大の疑問です。
被害者にとっては相手が誰であれ、人権を蹂躙されたことに変わりありません。
そういう被害者の救済手段があまりに無視されてきたことに、
強い怒りを覚えます。
返信する
人権屋に鉄槌を下さねば… (かず)
2008-03-30 22:35:37
ロス事件については詳しいことを知らないのでコメントを避けます…。

>都合のいい時だけ国家を頼る反国家主義者

タイトルがサヨクや人権屋の本質を表してますね。
先日、在特会の桜井会長やハーグ竹島さんらが、女たちの戦争と平和資料館(通称:wam)に抗議活動に行った時、桜井会長らは何ら違法行為をしておらず、正規の料金をきちんと支払って見学すると言っているにも係わらず、wamの担当者達は断固として桜井会長らの入館を拒否し、挙句の果てにはwamにとって、憎い日本の国家権力であるはずの警察に連絡し、警察に頼ることによって、桜井会長らのwam見学や、wamの敷地外での桜井会長のデモ活動を押さえ込もうとしたことがありました。
憎い日本の国家権力の筈なのに、こういう時に限っては自分達の味方にするんですね…。
次の話は警察側に問題のある話なのですが…、昨年「河野談話の白紙撤回を求める市民の会」の署名活動を銀座で行おうとした時、警察から署名活動を止める様に勧告されたそうです。でも、すぐ近くには共産党員たちが反国家的な抗議活動をスピーカーを使って行っていたのに、そちらのことは何ら警察からお咎めがありませんでした。
これは共産党の方が力が上だから、警察がこの様な対応をしたということでしょうか…。

因みにですが、現在進行形でチベットや東トルキスタン等で少数民族の迫害や虐殺を行っている中国共産党が、日本に対し「長野市で行われる聖火リレーでは、直接的な妨害だけでなく、中国政府を批判するプラカードを掲げる者も排除せよ」とお達しがあったそうで、長野県警本部長はそのお達しに全て従うそうです。
明らかな内政干渉なのにも係わらず、長野県警は反論もしないのでしょうか…?

と、警察の悪口ばかり言ってしまいましたが…、昨今、政府だけでなく、警察や自衛隊も何かと槍玉に上がって、きちんとした反論の機会さえ与えられないような感じですね…。
与えられたとしても、マスコミから袋叩きにされるだけで、事件・不祥事の真相解明には何も繋がらない。
まあ、危機管理が出来ていない警察や自衛隊にも問題はありますが…。

話は変わりますが…、とあるブログで、佐々淳行氏が刑法39条について語ったことが文字起こしされているので、転載します。

佐々淳行氏の発言に賛成です。
「刑法39条、心神喪失はこれを罰せず、心神耗弱は刑を軽減すとなってます。これを人権派の弁護士が最大に使ってね、どんどんどんどん無罪になってるわけですよ。2006年の数字を申しますとね、心神喪失・耗弱で無罪がね、5件、不起訴が540件なんです。これに似たようなことをやってもね不起訴になっちゃうんです。で、刑事責任が無いとなると厚生労働省の所管になっちゃうんです、もう警察は手を出しちゃいけない。そうすると精神衛生保険法24条ってのでね、強制収用することになってんの。これがね、ちょっと入って鎮静剤打つと「直りました、はい」つって放してくるからね、誰も監視してない。これで再犯。このねー、やはり刑法39条の運用をね、裁判官、検察官、警察が合議をしてね、むこう5年間適応をなるべき控えると、厳しくやるということをやらないと続発すると思います。」(☆独断雑記 XYZ http://ameblo.jp/kyouikusituke/entry-10084013017.html

もしかすると、大きな犯罪を犯した外国人犯罪者も、刑法39条を使って無罪あるいは不起訴になり、再び犯罪に手を染めている何ていう事例も有りそうで怖いです…。
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