ハードバピッシュ&アレグロな日々

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モーツァルト/オーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットのための協奏交響曲

2018-09-18 09:18:58 | クラシック(協奏曲)
本日はモーツァルトの協奏交響曲をご紹介します。協奏交響曲とはイタリア語のsinfonia concertanteを和訳したものですが、交響曲的な要素はあまりなく、複数の楽器からなる協奏曲形式の作品のことを言います。18世紀にはたくさん作られたそうですが、19世紀以降は廃れ、今でも比較的よく聴かれるのはハイドンの協奏交響曲変ロ長調とモーツァルトの2曲だけと言って良いでしょう。うち本日取り上げるのはモーツァルトが22歳の時に書いたと言われるオーボエ、クラリネット、ホルンとファゴットのための協奏交響曲です。(もう1作のヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲については後日取り上げる予定です)



さて、この曲は色々と曰く付きの曲でして、そもそも本ブログではモーツァルト作としていますが、学術的には真偽不明だそうです。モーツァルトが残した手紙等の記録から、彼が22歳の時に管楽器のための協奏交響曲を書いたのは確かのようですが、肝心の楽譜が残っておらず、長らく幻の曲でした。ところが20世紀初頭にドイツのオットー・ヤーンと言う音楽学者が楽譜を発見。一旦はモーツァルトの真作とされたのですが、その後の色々な研究の結果、楽器の構成や調性等にいくつか疑問点があり、今でも結論が出ていないのだとか。説としては、①モーツァルトの真作、②モーツァルトが書いた作品に後世手が加えられたもの、③他人がモーツァルトの名前で書いた偽作、の3つがあるそうですが、個人的な意見を言わせてもらえれば③はまずないと思います。聴いていただければわかると思いますが本当に魅力的な曲で、こんなクオリティの曲をモーツァルト以外の赤の他人が書けるとはとても思えません。もし、そんな人がいたらとんでもない天才でしょう。なので②か①のどちらかだと思いますが、専門家でもない私にはわかるわけないので、素人の私はあくまでモーツァルトの作品として楽しんでいます。

曲の内容ですが、これが本当に素晴らしく、天国的な明るさと思わず歌いだしたくなるような親しみやすい旋律、と言うモーツァルトの美点が存分に発揮されています。4つある独奏楽器もどれも自己主張し過ぎることなく、滑らかなアンサンブルを奏でながら、バックのオーケストラともうまく融合しています。古今東西管楽器のために書かれた協奏曲の中でも最高の部類に入る作品と言ってもよく、繰り返しになりますがこれをモーツァルト以外の他人が書いたとはとても思えません。実際にこの曲は今でも世界中のオーケストラで頻繁に演奏され、録音もかなりの数に上っています。学術的な議論はともかく、クラシックファンの間ではすっかりモーツァルトの名作として定着していると言っていいでしょう。私が購入したのはカラヤン指揮ベルリン・フィルのもので、モーツァルトのオーボエ協奏曲とセットになったCDです。このオーボエ協奏曲も協奏交響曲とほぼ同時期に書かれた作品で、こちらも同じように長らく楽譜が失われていたようですが、20世紀になって発券され、こちらは正真正銘の真作として認定されているようです。モーツァルトの管楽器のための協奏曲としてはクラリネット協奏曲、フルート協奏曲第1番等があり、それらに比べると若干マイナーですが、それでもモーツァルトらしい明るさと美しさを兼ね備えた傑作だと思います。
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