ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

イントロデューシング・ジョニー・グリフィン

2024-05-15 21:19:48 | ジャズ(ハードバップ)

ジョニー・グリフィンについては先日リヴァーサイド盤「ウェイ・アウト!」を取り上げましたが、彼のデビューにあたってはブルーノートとリヴァーサイドの間で綱引きのようなものがあったようです。シカゴで一番のテナー奏者として名を上げていたグリフィンに最初に注目したのがセロニアス・モンク。当時彼が所属していたリヴァーサイドの社長オリン・キープニュースにグリフィンとの契約を勧めます。ただ、その前に新たな才能の発掘に定評のあったブルーノート社長のアルフレッド・ライオンがレコーディングの機会を用意し、1956年4月17日に吹き込まれたのが本作と言うわけです。その後、グリフィンは「ア・ブローイング・セッション」「ザ・コングリゲーション」の2作品をブルーノートに残し、2年後にリヴァーサイドへと移籍します。グリフィンの録音デビューにあたってブルーノートが用意したのがウィントン・ケリー(ピアノ)、カーリー・ラッセル(ベース)、マックス・ローチ(ドラム)の3人。うちラッセルとローチはビバップ期から活躍するベテランですが、当時24歳のケリーもデビュー作ではないものの実績はまだ少なく、本作が飛躍のきっかけと言っても過言ではないと思います。

アルバムはグリフィンの自作曲”Mil Dew”で幕を開けます。ここではグリフィンが名刺代わりとばかりに機関銃連射のような強烈なソロを披露します。まるでニューヨークに出てきたばかりのグリフィンが「これがシカゴNo.1テナーの実力だ!」と挑戦状を叩きつけているかのようですが、バックのリズムセクションもガッチリそれを受け止め、ケリーも負けじと高速ソロで華を添えます。私の勝手な妄想ですが、セッション後におそらく双方が「なかなかやるな」と互いを認め合ったのではないでしょうか?グリフィンは他にも"Chicago Calling""Nice And Easy"と自作曲を2曲演奏しており、どちらも豪快なブロウを聴かせてくれます。残りの4曲は全て歌モノスタンダード。”The Boy Next Door”はビル・エヴァンスも演奏した軽快なミュージカルナンバー。こういった曲では歌心溢れるソロで、ケリー・トリオをバックに軽快にスイングします。”These Foolish Things”や”Lover Man”といったバラード曲でのダンディズム溢れるプレイも見事。”It’s All Right With Me”では”Mil Dew”と同じような超高速ソロを聴かせてくれます。ハード、ミディアム、ソフトとどんな曲調も自在にこなすグリフィンの魅力が存分に詰まった1枚です。

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