自転車と猫

自転車に乗って猫に会ったり遠くへ出かけたりの話

柘榴の木の下で

2007-11-29 | 散歩

曇り空、自転車に乗らずに歩いていたら柘榴の実がいくつか生っていてその内の一つが割れていた。
中には真っ赤な実が見えていてその赤があまりにも鮮やかだったのでカメラを取り出して撮ってみた。
すると一人のおじいさんがやってきて「綺麗だね~私もそれを撮ろうと思っていたんだ」と話しかけてきた。
そして「そうだ、あなたに撮って貰おう」と言ってポケットからデジカメを取り出して僕に手渡してきた。
僕は、ちょっと驚いたがカメラを受け取り僕が撮ったようなアングルで何枚か撮ってみておじいさんにカメラを返すと撮影した画像を見て「お~これはプロみたいだ。あなたは良い目をしている。」とお褒めの言葉を頂いた。
勿論、お世辞だとは解っているが悪い気はしない。

色々と話しているとおじいさんは、静かに身の上話を始めた。
19歳の頃にロシアに抑留され着の身着のまま、マイナス40度近い状況下で強制労働をさせられた事。
十数人いた十代の仲間のうち、生きて日本に帰ってきたのは3人だけだった事。
日本に帰ってきて蕎麦屋を始めて今では街で一番大きな蕎麦屋になった事。
今では店舗数も増えて息子達に店を任せて悠々自適に暮らしている事。
おじいさんは、最後に「だけど一番大事なのは今、こうやって生きているという事だよ」と言った。

おじいさんに「写真撮ってもいいですか?」と聞くとおじいさんは、「ああ、いいよ。嬉しいねぇ」と言い柘榴の木の下で満面の笑みを作ってくれた。
そして最後に固い握手をして別れる。


その後は、電車に乗って川崎に行きLASONA
ホームセンターで買い物をしていると体がだるくなってきた。
風邪ひいたかな。

西口に出てみると一軒の屋台がポツンと立っていて牛すじとホルモン焼きを売っていた。
食べたいな、と思っていると一人の女の子がやって来て煮込みを持ち帰りにして貰っていた。
すると高校生のカップルがやってきて、おばちゃんもやってきて、おじちゃんもやって来てあっという間に屋台の前は、牛すじを買いに来た人でいっぱいに・・・

あまりにも出来すぎた展開なのが可笑しかったのだ。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (catfood)
2007-11-29 21:10:42
ざくろがきっかけの、出逢いが、なんとも深くて、ステキです。おじさんの笑顔が、そう言ってますね。
返信する
Unknown (自転車と猫)
2007-11-29 22:39:39
catfoodさん
二人とも同じ柘榴の実に目が止まっていたというのが不思議でした。
世代も体験した事も全く違う二人が仲良くなれるのが素晴らしい!
返信する