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[映画] ジョバンニの島

2014-02-24 | 映画
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「ジョバンニの島」を川崎チネチッタにて観て来ました

1945年、現在は ”北方領土” と呼ばれる島の一つである色丹島にて終戦を迎えた幼き兄弟が翻弄される運命を描いたアニメ映画なんですが、活字や映像作品を問わず、”北方領土” をテーマにした作品というのは非常に数が少ないので、日本政府が広報する主張を何となく知ってる~くらいの意識の日本人が大半だと思われます

オレの場合は父方の祖父が一家で満州に渡っていて、終戦の際に幼き父や家族は辛くも内地への引き揚げに成功したものの、祖父自身はシベリアに抑留される憂き目に遭ったという家族的経緯があったりして、ソ連と日本との関わりについて独自に調べたりしてたので少々の知見は持っているつもりです

ですが、単に知識として知ることではやはりどうしても実感が伴わないというか、3年超の抑留期間を経て帰国を果たした祖父も、自身の体験を身内にもほとんど語らなかったとのことで、オレの中に歴史的興味を越える何かがあったとも言い切れません…

とは言ってもあの1945年8月15日の終戦の ”後” で、地獄を見せられた多くの日本人がいた歴史的事実がほとんどタブー扱いされちゃってる日本の現状は、ホントに大問題だと思いますヾ(`Д´)ノ"……別に今更ロシア人への憎悪を駆り立てたいわけではないんですが、とかく日本が加害者側だったことしか強調しようとしない日本のメディアや教育界をそのままに、日本政府が今まさに北方領土の返還交渉に臨んでいる現状に歯がゆい思いをしている所です(国と国との交渉事なのでどんな結果であれ誰もが満足する結果はあり得ませんが、願わくば、あの時の日本人が味わった理不尽の数々への憤りや悔しさを現代の日本人もちゃんと知った上で、結果を飲み込んで行きたいモノです)

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「ジョバンニの島」においては、幼き兄弟からの視点を主眼にしているので(占領軍による惨禍といった)表現はかなりマイルドな描写が中心です……しかも物語の縦軸に、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を配してるので殊更ファンタジー感が強まってしまっているのは功罪相半ばする演出だなと思いながら見ていましたが(正直、アニメ作品で宮沢賢治が引用される展開に食傷気味という感覚もありました)、終盤で、「銀河鉄道の夜」でなければならなかったシーンが語られる辺りでボロ泣きしてしまいました…・゜・(ノД`;)・゜・

また、ソ連軍兵士の家族である子供たちと日本人の子供たち同士で仲良くなっていたというエピソードなんかも登場しますが(実際にあったのだそうです)、「ジョバンニ~」のターニャという少女が、丁度ソチ五輪で話題になったリプニツカヤ選手やラジオノワ選手みたいな天使っぷりに自動的に脳内補完されたりして、そりゃ仲良くしたくなるよね、と思わず首肯するしかなかったりもしましたw

あとオレが印象的だったのが声の演技がとても素晴らしかったことです……ロシア人キャラにネイティブのロシア語の俳優を使ってることのバランスでしょうけど、いわゆるアニメ声優みたいなのが一切いないことに賛否があるかもしれませんが、個人的には絶妙な配役だと思いました……子役二人の物凄い頑張りを筆頭に、ユースケ・サンタマリアの芝居なんて(ベテラン声優の)古川登志夫なのかな?とか本気で勘違いするほどの達者ぶりでしたし

今の時代に、当時の善悪を語ることは(不毛なので)慎むべきですが、やはり多くの日本人が(こういった歴史的経緯を) ”ほとんど知らないでいる” 現状は非常にマズいと思いますので、この映画が一人でも多くの日本人に知るきっかけとなってくれる事を願ってやみません

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