岸田首相が掲げた「学び直し」 概念の大きな間違い
>岸田首相は、リスキング支援と並んで「年功序列的な職能給からジョブ型の職務給への移行」を打ち出している。これは間違っていない。けれども、リスキングにより「企業間、産業間での労働移動の円滑化」を図るというのは誤っている。それはリスキング(再度という意味の re+スキル+ing)ではなく、リカレント(re+方向ぎめ)である。
>リスキングというのは、環境の変化に応じて従業員に求めるスキルが変化するのに合わせて、内部人材のスキルを即応させるために、実務レベルの従業員に思い切った教育研修の投資を行うことだ。典型的な例は、米国の電話会社が地上線による固定電話のビジネスから移動体通信ビジネスに転換していく際に起きたリスキングの事例である。
>中継局の管理に従事する膨大な中級技術職を、そのまま移動体通信の基地局のメンテナンス技術者に転換するために、各企業は膨大な教育投資を行った。その結果として、例えばベル・アトランティック社はベライゾン社へと社名と事業形態を変貌させつつ、膨大な人的資産を有効活用できたのである。
>一方で、リカレントとは、企業を一旦離職して大学院に入り直したり、全く異なった職種のスキルを勉強するといった個人の行動である。米国で多いのは、新卒で投資銀行に入社して激務を経験した後、一旦現場を離れてMBA(経営学修士)を取るとか、CPA(公認会計士)資格を取得して転職するといった事例である。
>こんな原則的な問題が分かっていないというのは、岸田首相も困ったものだ。「個人のリスキリングに対する公的支援」などという発言は、それ自体が混乱そのものと言える。
>岸田首相は、リスキング支援と並んで「年功序列的な職能給からジョブ型の職務給への移行」を打ち出している。これは間違っていない。けれども、リスキングにより「企業間、産業間での労働移動の円滑化」を図るというのは誤っている。それはリスキング(再度という意味の re+スキル+ing)ではなく、リカレント(re+方向ぎめ)である。
>リスキングというのは、環境の変化に応じて従業員に求めるスキルが変化するのに合わせて、内部人材のスキルを即応させるために、実務レベルの従業員に思い切った教育研修の投資を行うことだ。典型的な例は、米国の電話会社が地上線による固定電話のビジネスから移動体通信ビジネスに転換していく際に起きたリスキングの事例である。
>中継局の管理に従事する膨大な中級技術職を、そのまま移動体通信の基地局のメンテナンス技術者に転換するために、各企業は膨大な教育投資を行った。その結果として、例えばベル・アトランティック社はベライゾン社へと社名と事業形態を変貌させつつ、膨大な人的資産を有効活用できたのである。
>一方で、リカレントとは、企業を一旦離職して大学院に入り直したり、全く異なった職種のスキルを勉強するといった個人の行動である。米国で多いのは、新卒で投資銀行に入社して激務を経験した後、一旦現場を離れてMBA(経営学修士)を取るとか、CPA(公認会計士)資格を取得して転職するといった事例である。
>こんな原則的な問題が分かっていないというのは、岸田首相も困ったものだ。「個人のリスキリングに対する公的支援」などという発言は、それ自体が混乱そのものと言える。