しょうちゃんズ_Cafe

全力少年しょうちゃんが日々の感動と発見の中から、その心象風景とそこに織りなす人間ドラマを紹介します⌒⌒。

『橋のある風景』⑧舞台装置としての橋編 人と祭りと橋と①旧朝日橋と月光川河川公園 いしぶみのシーン

2009年12月16日 19時07分26秒 | Weblog
『橋のある風景』【第8話】<舞台装置としての橋編>人と祭りと橋と(その1)旧朝日橋と月光川河川公園

「いしぶみ」(おくりびと)@月光川河川敷にて撮影のシーン
by 英語題名「Depertures」ポスターより


いしぶみ;
 映画「おくりびと」に登場する「いしぶみ」の逸話は上品に作中に溶けこんでいました。
 映画から、絵本『いしぶみ』は生まれました。
 しかし、それは映画の内容とはまったく関係ありません。
「石ころ」が主人公の、素敵なもう一つの物語です。

映画の脚本を担当した小山薫堂さんは、故向田邦子さんのエッセイで「いしぶみ」を知ったそうです。
それは「男どき女どき」の中に出てくる「無口な手紙」です。

こんなお話です・・・

「無口な手紙」向田邦子
  自分がおしゃべりのせいか、男も手紙も無口なのが好きである。
 特に男の手紙は無口がいい。
 昔、人がまだ文字を知らなかったころ、遠くにいる恋人へ気持ちを伝えるのに石を使った、
 と聞いたことがある。
  男は、自分の気持ちにピッタリの石を探して旅人にことづける。
 受け取った女は、目を閉じて掌に石を包み込む。
 尖った石だと、病気か気持ちがすさんでいるのかと心がふさぎ、
 丸いスベスベした石だと、息災だな、と安心した。
 「いしぶみ」というのだそうだが、こんなのが復活して、
 「あなたを三年待ちました」
  沢庵石をドカンとほうり込まれても困るけど
 (ほんとうにそうだと嬉しいが)、
  「いしぶみ」こそ、ラブレターのもとではないかと思う。

 (後略)

※参考文献;
1.向田邦子著 『男どき女どき』 新潮文庫 1985.05
2.小山薫堂・文、黒田征太郎・絵 『いしぶみ』 小学館 2008.08