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全力少年しょうちゃんが日々の感動と発見の中から、その心象風景とそこに織りなす人間ドラマを紹介します⌒⌒。

『橋のある風景』【第8話】<舞台装置としての橋編>人と祭りと橋と(その1)旧朝日橋と月光川河川公園

2009年11月09日 21時20分23秒 | Weblog
『橋のある風景』【第8話】<舞台装置としての橋編> 「人と祭りと橋と」(その1)
山形県飽海郡(あくみぐん)遊佐町・旧朝日橋と月光川河川公園;

 昨年度、映画界の話題を独占した感のある「おくりひと」(英語題:Departures)を見た人も多いことと思う。作中、思わぬ職業に就いたことで悩む主人公がたたずんでいるのは旧朝日橋の上である。下を流れる水面や遡上するマスを眺めている。「どうしてまた上ってくるんだろう?」「それが故郷というもんだ。」なにかマスのそういうDNAに感心してしまう。

 そして、ある種の境地に至る主人公は河畔、石組みの堤防上で得意のチェロを奏でる。ゆったり豊かな山形の自然と雄大な山々をバックに。見ているこちらの心も癒される。ここでは、スケールの大きい自然と橋や堤防、河川といった土木構造物が、屋内では表現できない大道具として用いられている。いわば、舞台装置の一部として、生活の中に溶け込む形でさりげなくしかし重宝に用いられている。

 「いしぶみ」の話は秀逸で心に残った。石の形、重さや手触りに自らの気持ちを重ねるという、現代人が忘れかけている“お互いを思いやる心”が、文字のなかった時代の深い感情表現・コミュニケーションツールとして見事に描かれている。親子、夫婦、時代の移ろい、河川敷の丸い石、など時間の流れと「場」の設定が巧みになされており、重厚で心和ませる逸話が見事に挿入されている。
 子供はよく河原で石を拾ってくるが、それはいしぶみのDNAが人には刷り込まれているからであろうか?
 ここは、ラストシーンに続く伏線でもあった。

 写真は「おくりびと」を記念して鳥海山をバックに月光川河川公園に設置された例の椅子。※1)

 参考;
 「はし」は、こなた(現世・此岸)の端とかなた(あの世・彼岸)の端を結ぶ専用通路であり、そこに由来する名称ともいわれている。現在では大半が永久橋に架け換わっているが、蓬莱(ほうらい)橋(静岡県島田市、大井川渡河、世界最長の木橋L=897m)、上津屋(こうづや)橋(京都府久世郡久御山町、木津川渡河、必殺シリーズ等TV映画に登場する流れ橋L=356m)をはじめ約1200橋の木橋が国内に残っており、いまなお社会に貢献している。

参考資料;山形県遊佐町HPより 記念の椅子(月光川河川公園内)