拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

 成りきる

2012年02月12日 | 禅修行の思い出
  禅の修行中 一番よく聞かされた 教え?は 「成りきれ!」であった。

  数息観をしているときは 吐く息を1~10まで数えたら また1から・・・というふうに その40分~一時間の坐の間
  延々と吐く息を数えていく。 その時に 和尚や直日(じきじつ・リーダー)はよく 「吐く息に 成りきれ!」と言っていたっけ。

  正式に老師の弟子に なってからは 「庭前の柏樹子」という公案をもらい  よく「柏樹子に成りきって来い!」と怒鳴られた。
  柏樹子というのは ようするに 「樹」のことで それに成りきって来い・・・というのだ。

  修行中のボクの一番の思い出の 一つに ある雲水の思い出がある。

  まだ公案をもらって 間もないころ その人(名前は知らない)が直日となって 雲水たち そしてボクのような居士を指導・指揮を
  していた。 その頃ボクは 36,7歳で 彼は27,8歳ぐらいであったろうか? 兎に角 直日としての指揮ぶりが 威厳があり 一切の無駄が
  なく 「お見事!」とボクは心の中で 感嘆していた。

  ある時 その人は 今度は典座(てんぞ・食事したく役)であったか 僧堂に座っている我々に お茶を給仕してくれたのだが
  あの時の威厳ある彼とは またぜんぜん違って (さあ、さあ、暖かいお茶をどうぞ!)と云わんばかりの給仕ぶりであった。

  修行中一番 印象に残った雲水は この人ひとりであったが、 この「成りきる」を地で行って 見本として見せてくれた 師として
  ボクにとっては 最も大切で  強烈な思い出となっている。

   


  成りきれと 慈悲の警策 鳴り響く お堂を月は 照らす雲間に :一撮
 

  


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