拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

  ブリューゲルは 何を見つめていたのか

2012年01月08日 | 映華(えいが)
  ブリューゲルの絵をテーマにした映画「The Mill and The Cross」(風車小屋と十字架)を見てきた。
  日本でも公開されたようで タイトルは「ブリューゲルの動く絵」だったようだ。

  ボクには高尚すぎて それといつものように 言葉がようわからん ということもあって 眠くなるのをこらえて見ていた。

  ブリューゲルの絵は 高校の時 美術の教科書に彼の有名な絵「雪中の狩人」が載っていて 初めて見た時以来 惹かれ 水彩画で模写したぐらい
  であるから ボクにとっては好き以上の 興味を持った最初の絵と 言えるかも知れない。

  その後も ボク以上に彼の絵に取り憑かれて 「ブリューゲルへの旅」という本を書いた 中野孝次さんの本も読んだりして ブリューゲルの絵の
  底なしに深いと思われる世界を 覗いてみたことがあるが 当時のボクには やはり高尚すぎたようで あったが これをキッカケに再読し
  中野さんと共に ふたたび「ブリューゲルへの旅」を続けようと思う。

  ブリューゲルの時代 16世紀半ばは カトリックによる異端裁判の盛んな時代で 権威を持つものによる 酷い拷問などが行われるような暗い時代であった。
  そんな時代でありながら ふてぶてしいぐらいに たくましく 生きている農民たちの 生活の姿を ブリューゲルはまるで 写真を撮るように描いている。

  「バベルの塔」と題した絵は 大変シュールレアリスティクな絵で 中野孝次さんは 彼の本の中で このバベルの塔に関してこう 書いている。

  「悪夢。たしかにそうだ、とわたしは思った、あの天に聳立(しょうりつ)する巨大な建造物が、人間の理性と労働の勝利というはればれしい印象よりは
   むしろ不気味な、悪魔的な企て、あるべからざる何かのように印象されるのは、すでにそれが建造の過程において崩壊の予感を孕んでいると感じられるに
   違いない・・・・
」 P153「ブリューゲルへの旅」より

       ここを読んだ時 ボクは 戦慄を おぼえずには いられなかった。 現代人の我々にとって バベルの塔とは 原子炉に他ならない からだ。

                          写真は ローザンヌのオリンピック博物館前に 昔 展示されていた 天使像・・・
                       
                 
  


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