拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

レマン参道

2020年12月03日 | ヨーロッパの風

  来年で在欧(スイス)30年になる。

  それなのに自分でも呆れるほど、全くと言って『西欧化』していない自分がいる。

  逆に、改めて『漢字』に魅せられたりしている。反比例してフランス語は小学生2,3年生レベル…

  確かに、このレベルでは西洋化は無理だわ。30年前、禅の修行を打ち止めにして渡欧したのだから

  西洋を学ぶ気など全然なく、むしろ東洋を知ってもらいたくて来た…というのが動機なのだから

  こういう結果になるのも、当然であろう。

  禅の修行を止めたと言っても、『額に貼り付けた公案』は30年たった今でもそのまま貼り付いているのだから・・・

  異国に住んで、私を癒やしてくれるのは、妻以外では『レマン湖』の存在は大きい。

  『無』という漢字の語源は馬骨風に言えば『湖上』にある。街から湖畔に立った時、それまで視界を

  支配していた建物や道路や人や諸々のものが突然なくなるのだ。『無』という下部にある4点は『波』を表し、上部は

  本来あるべき物がきれいサッパリと無いことが、7画という縦横の線で強調されているのが…『無』である。

  だから、湖を見る時、何も『無い』ことが、『尊い』、『有り難い』・・・という気持ちになる。

  『何事の おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる…』と詠んだ西行の心境と同じだ。

  だから、今日ローザンヌ郊外のレマン湖畔にあるぶどう畑専用道路、車が殆ど通らない、散歩する人をちらほら

  見かける程度の道から見るレマン湖の素晴らしいこと!・・・ゆえに私はこの道を『レマン参道』と名付けた。

  



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