日々是好日(膵臓癌と向き合う日々)

膵臓癌になって思ったことや感じたこと、その関連の情報を書いてゆきたいと思います。

財政危機(i.e.国債の大量発行)はなぜ問題か?

2010-07-23 06:49:23 | 政治・経済

先日のブログで、日本の財政問題について書きましたが、それではなぜ国債の大量発行が問題になるのでしょうか?
(私自身は、エコノミストでもなく経済学は少しかじったぐらいなので、以下の記述に思い込みや間違いの可能性(絶対に?)があると思うので、ここは違うやこれは思い違いと言う点はコメントを頂ければ幸いです。)

まず、最初に現在の日本国債のリスクが顕在化するルートとしてはどのようなものがあるのでしょうか、わたしは、例えば以下の3つぐらいがあると思います。

(1) 毎年発行される国債の引受が出来なかった場合、すなわち、日本の金融機関にその余裕がなくなった場合。
(2) 既に発行された国債を保有する金融機関や外国政府が国債を大量に市場で売却した場合。
(3) ヘッジファンドが、例えばある国際的な経済問題をきっかけとして、日本国債を借りて市場で投売りをした場合。


それでは、個々のルートについてもう少しその発生可能性を見てゆくと、まず、

(1) 毎年発行される国債の引受が出来なかった場合、すなわち、日本の金融機関にその余裕がなくなった場合。
 これは、このままの状況を続けていくと長期的には確実に問題となるが、みずほ総研から出ているレポートの以下の図表をみると、当面、あと5年ぐらい?、はまだ余裕があるといえると思います。この図表8は、まず、右側ですが日本の家計全体をマクロ的に見た場合に、家計が持つ1500兆円の資産がどのように運用されているかを示した図です。例えば、1500兆円の内、約800兆円が銀行、郵貯などの預金取り扱い金融機関で、400兆円が保険や年金で運用されていることを示しています。次に、左側ですが、これは、家計からお金を預かった日本の銀行、郵貯、保険会社、国の年金機構等がそれらのうちのどのくらいの額を国債に投資(購入)しているかを示したものです。これを見るとまだ購入資金に余裕があり、まだ、当面は大丈夫なことが判ります。ただし、国債購入に当てられるのは家計の資産1500兆円の内、目一杯使ったとしても1200兆円で、そこまでいくことはないでしょうから、財政のプライマリーバランスをとることなく、毎年の国債発行がこのままのペースでつづけばいずれ国債の引受ができなくなる時期がくることは確実だと思います。また、更に悪いシナリオとしては、国の財政状況がこのまま悪化していった場合、マーケットが徐々に国債に見切りをつけてゆき緩やかな金利上昇-とその時の政府の「茹で蛙」状態-を起こすというのもひとつのストーリーかもしれません。




(2) 既に発行された国債を保有する金融機関や外国政府が国債を大量に市場で売却した場合。
 日経新聞の7月6日の記事によると中国政府は、今年に入って日本国債の購入を拡大し、1~4月買越額は5410億円に達しているとのことです。この状況についてクレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミストは、
”日本国債の外国人保有率は今年3月末で4.6%(金額では31兆円)と他の主要国に比べて極端に低い。中国による日本国債への投資が数千億円単位で増え続ければ、国債の安定消化の追い風となり、市場金利の上昇を抑える効果がある。その一方、日本国債は国内消化が多いため大量発行にもかかわらず財政不安拡大を抑えていた面がある。中国マネーの存在感が急速に高まれば、中長期的に日本の国債市場に影響を及ぼす可能性もある。「中国などアジア地域の外貨準備の振り向け先として円が注目されれば、中長期的に円高につながる
とコメントしています。これを裏返してみると、なんらかのきっかけにより保有されている国債が大規模に市場に売却されれば、市場金利の上昇と円安が起こるーそれもある程度急激な-可能性が高いと思います。


(3) ヘッジファンドが、例えばある国際的な経済問題をきっかけとして、日本国債を借りて市場で投売りをした場合
 例えば、何らかの経済問題をきっかけとして、利益を求めるヘッジファンドが日本国債を借りて市場で投売りするというシナリオも考えられます。この場合も、国債価格の暴落、すなわち市場金利の急上昇をもたらし、これが呼び水となり(2)が更に国債を更に市場で売却した場合、為替市場では急激な円安、それに加えておそらく株も含めたのトリプル安を引き起こす可能性があります。ヘッジファンドは、当然、円や株のオプションにも手を広げているでしょうから、円がある程度円安になった状態で、円を買い戻し、その円で借りた国債を買い戻し返却したりすることにより、利益を確保するでしょう。これにより、ヘッジファンドの活動はひと段落するでしょうが、一度、目の前で明らかになったリスクにより、日本の経済、為替、金利の状態がリスク発現前の状態にまで戻る可能性は低いと思います。

では、日本国債のリスクが顕在化した場合どんな悪いことがおきるのでしょうか、これは上の(1)-(3)である程度書いたので再び繰り返すことになりますが、

(1) 金利急上昇となり、金利負担の大きい会社は傾き、経済は混乱し、株価の下落を招くと考えられます。この影響は特に日本国内で業務をしている企業にただ、グローバルに活動する大手民間企業は、資金調達を海外で行っているところが多く、外国に本社を移転すればいいだけともいえますが。

(2) 金融機関(預金金融機関、保険会社等)が自己勘定で持つ国債価格の下落により、銀行の貸し渋りや保険価格の上昇がおきたり、最悪金融機関のデフォールトにまで繋がる可能性があります。(所謂Basel IIというのがありますので)

(3) また、これらにより海外資金の日本からの流出が起こり、急激に為替が円安になることも考えられます。これにより、輸入物価指数の上昇により、急激なインフレが発生する可能性もあります。(一方、ユーロやドルベースで輸出している企業は儲かるでしょうが。。。多分)

 これらのことを考えると、私たちにできるは、マスコミにまどわされることなく政府の動き注視し、例えば、大衆迎合的なばら撒き政策にNoを言うことだと思います。また、自分の資産を守るためには、国際分散投資(個人的には、ファンドは一般的に、仕事内容と報酬のバランスがとれていないファンドマネジャーがやっているので嫌いですが)も1つの手かも知れません。まあ、私のように資産のないもにには関係ありませんが。。



 


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