日々是好日(膵臓癌と向き合う日々)

膵臓癌になって思ったことや感じたこと、その関連の情報を書いてゆきたいと思います。

人間生きてるだけで丸儲け

2009-05-27 22:29:55 | 日記

 7年前、突然客先での会議中に咳がとまらなくなり、帰りの地下鉄の階段で息切れしました。会社のビルの診療所で診断を受けレントゲン、CTを撮って貰うと、その先生から呼吸器の専門の病院で見てもらいなさいと言われ、都立府中病院に行ったら即入院でした。診断は”間質性肺炎”。その診断を聞いた当初は”結核でなくて良かった。”でしたが、それは非常に甘い考えだと直ぐにわかりました。インターネットで調べると、治療方法のない不治の病であること等、当時のインターネットには最悪の情報しかありませんでした。その時、病院のベッドで聞いて感動した歌が、当時NHKの”忍たま乱太郎”というアニメのオープニングソング ”勇気100%”。
この歌の全ての詞が好きなんですが特に、
  ”がっかりして めそめそして どうしたんだい
  太陽みたいに笑う きみはどこだい”
  ”そうさ 100%勇気 もうやりきるしかないさ
  ぼくたちが持てる輝き 永遠に忘れないでね”
  ”たとえさみしすぎる 夜がきたって
  新しい朝 かならずくるさ
  そうさ 100%勇気 もうがんばるしかないさ
  この世界中の元気 抱きしめながら”
この状況を受け入れ望みを捨てずにやれることを確実に行うだけ。
http://www.youtube.com/watch?v=yN8F-XwBkdo
今でも、この歌を聴くと自然に涙が出てくると同時に励まされます。幸い、間質性肺炎は、ステロイドが効いて最悪の状況は脱出しました。


そして、間質性肺炎から退院してからピントきた言葉、それは明石家さんまさんの、
  ”人間生きてるだけで丸儲け”
これってすごい言葉ですよね。同じような意味の言葉が、石庭で有名な京都の禅寺 龍安寺のつくばいに記されています。
   ”吾唯足知(ワレタダタルヲシル)”
でも、私は明石家さんまさんの言葉の方が好きです。
  ”起きて半畳、寝て一畳。天下取っても二合半。”
本当に病院のベッドは1畳、世間の地位やお金に振り回されるような生活はしたくないものです。7年前病気をしてよかったこと、それは生きていくうえでの優先順位が変わったこと。今回病気をして良かったこと、より時間を大切にするようになったこと。


ちょっと暗くなりましたが、今回もめげないでガンバルぞ。


馬鹿にならない交通費

2009-05-25 21:52:41 | 日記

先日、仙台にWT-1ペプチドワクチンをトライしに行って来たこと書きましたが、その際に大変だなーと思ったのが交通費です。なんと正規運賃で行くと往復割引でも56,200円、28日前に予約する旅割りで金曜日の朝8時伊丹発で行って17時40分仙台発で戻ると3万円です。ペプチドワクチンは合計8回往復しなければならないので旅費をどうするかは大変です。


そこで色々とインターネットで調べました。そうするとやっぱり安いのはあります。
http://www.travel.co.jp/
と言うサイトが非常にいいです。いろいろな旅行会社の紹介サイトです。旅の Kakaku.com ですね。Kakaku.comにも同様の機能がありますが非常に調べづらい。


まずは、出発が非常に近い場合、ANAだと仙台往復が
http://www.aa-air.com/
で33,200円で出ています。ここはまず航空会社にインターネットで往復割引で予約を入れて、この会社に連絡しお金を振り込むと向こうが購入手続きをしてくれるパターンです。今回、5月18日に紹介状を書いてもらい22日に仙台にいったので往復割引で56,200円かと半分この支出はあきらめていたのですが、探せばあるものです。(その前にマイレッジが貯まっていたので、それで無料で行けるかなと思ったのですが、4日前迄の予約でXでした。)


つぎは、出発まで10日から14日ある場合は、航空運賃だけより1泊2日のパックの方が安いです。例えば、今回私が予約したのはHIS
http://www.his-j.com/kix/domestic/thu/thu-187.html
なんと、飛行機での往復と仙台1泊朝食付きで26,300円でした。航空会社の旅割よりも安い。


がん治療はいい医者、設備を探して、いろいろな所に行くケースが出てくると思いますので、参考にしてください。


膵臓癌とTS-1という抗がん剤について

2009-05-24 12:00:03 | 膵臓癌

今日は、TS-1という抗がん剤について私が思っていることについて書きたいと思います。なお、以下は医師でもない私個人の考えです。以下の文書により個々の方が取られる判断とその影響について責任はもてませんのであしからず。


現在、膵臓癌の第1選択薬は塩酸ジェムサイトビン(商品名:ジェムザール)ですが、わたしは間質性肺炎という病気を抱えており、間質性肺炎患者にこの薬は禁忌となっているので使用できません。と言うわけで私が使っているのはTS-1と言うフルオロウラシル系の抗がん剤です。この薬は保険適用となっていること、経口薬であり自宅で服用できることから多くの膵臓癌の方も使用されていると思います。ただ、慶応大学医学部の放射線科の近藤誠医師の著書、例えば、
データで見る抗がん剤のやめ方 始め方新・抗がん剤の副作用がわかる本
や、米国の元メモリアル・スローン・ケイタリング癌センターの公共対策副部長、現米国の国立衛生研究所(NIH)の顧問であるラフル・W・モス氏の以下の著書、
がん産業〈1〉―がん治療をめぐる政治的力関係の構図がん産業〈2〉―予防の妨害と科学の抑圧
を読んで、実際はどうだろうと思って個人的に調べ始めました。癌はのっぴきならない病気なので、単純に本を読んで”抗がん剤”ヤーメタで後悔したくないので。なお、上の本では著者は”同センター在職中にレイトリアルという薬が癌に有効であったことを隠蔽したことに反対した結果、解雇された。”と書かれており、米国癌産業の内幕が赤裸々に書かれています。


(1) TS-1とは
 最初にTS-1と言うのはどういう薬かということは、その製造元である大鵬薬品の以下のHPに書かれています。簡単に言うと従来から点滴薬としてある5-FUと言う薬を経口薬として使えるように工夫した薬のようです。成分は3つ、1つは体内で変換され5-FUの元となるもの、5-FUの元となるものが肝臓で代謝されないようにするもの(肝臓で代謝されると肝臓に悪影響を与え、効果が弱まるため)、副作用を軽減するものの3つだそうです。
http://ts-1.taiho.co.jp/outline/cnt02.html


(2) 効果
結論から言うと、このデータを見る限り特に膵臓癌では抗がん剤の効果はあまり期待できず、副作用のみ確実に頂くことになるように思います。
まずは、膵臓癌についての第II相臨床試験までの全体の臨床成績です。
http://ts-1.taiho.co.jp/result/cnt06b.html
ここでは腫瘍縮小効果のデータしか提示されていませんが、これを見ると30%の人に効果があったように見えます。しかし、もう少し詳しい部位別効果は、
http://ts-1.taiho.co.jp/result/cnt06c.html
となっています。なんと、原発巣、すなわち本丸の膵臓癌本体への奏効率(抗がん剤の効果があったかどうかを見る1つの指標)は4%しかありません。全体の奏効率は原発巣と転移しが部位のいずれか1つに効果があったら効果があったと判定されているようです。
上のHPでつかわれているCR、PR等の意味について知られたい場合は以下のURLが参考になります。
http://www.cancerit.jp/Glossary/recist.html
あと、本治験の対象者はKPSと言う指標で80%以上の非常に状態のいい患者の方が対象になっています。実際の臨床現場ではもう少し体調の悪い人も対象となるので効果は少し下がるのが通常だそうです。なお、KPS(Karnofsky Performance Status Scale)の定義は以下のとおりです。
100%: Normal, no complaints, no evidence of disease
90%: Able to carry on normal activity; minor signs or symptoms of disease
80%: Normal activity with effort; some signs or symptoms of disease
(努力すれば普通の生活がおくれる。いくつかの病気の兆候が見られる)
70%: Cares for self; unable to carry on normal activity or do active work
60%: Requires occasional assistance, but is able to care for most of the needs
50%: Requires considerable assistance and frequent medical care
40%: Disabled; requires special care and assistance
30%: Severely disabled, hospitalization indicated. Death not imminent
20%: Very sick, hospitalization and active supportive treatment necessary
10%: Moribund, fatal processes, progressing rapidly
0%: Dead


(3) 副作用
 この抗がん剤もやはり副作用は確実にあります。副作用の内容は大鵬薬品のTS-1のHPの以下のURLにあります。
http://ts-1.taiho.co.jp/se/pdf/fukusayou1.pdf
抗がん剤の場合は、通常の薬とはことなり、その副作用はグレード0からグレード4の5段階で評価されます。この評価基準は米国の国立ガン研究所のもので、日本語では副作用と訳されていますが英語を直訳すると毒性基準(Toxicity Criteria)となります。
http://www.jcog.jp/doctor/tool/C_150_0011.pdf
グレードの一般的な評価基準は、
 Grade 0:正常、正常/基準値範囲内(WNL)、なし
 Grade 1:軽症/軽度の有害事象
 Grade 2:中等症/中等度の有害事象
 Grade 3:重症/高度の有害事象
 Grade 4:生命を脅かす又は活動不能にいたる有害事象
  Grade 5:有害事象による死亡(因果関係あり)
です。TS-1の膵癌でのグレード3以上の副作用の発現比率は42.4%と低くはない値で、使用する場合は慎重なモニタが必要になります。
例えば、下痢の項目を見ると、
 Grade 0:なし
 Grade 1:治療前に比し<4回/日の排便回数増加
 Grade 2:治療前に比し4-6 回/日の排便回数増加又は夜間排便
 Grade 3:治療前に比し≧7 回/日の排便回数増加又は失禁又は脱水に対する静脈内輸液を要する
 Grade 4:集中治療を要する病態又は循環動態の虚脱
と定義されており、個人的には、グレード1、2でもほぼへとへとな状態でした。まあ、下痢は状態が直ぐわかるからいいのですが、血液、骨髄系への副作用は検査しないと判らないので、自宅で服用するTS-1は、こちらの方が怖いような気がします。


(4) その他
イレッサと言う抗がん剤が以前話題になりましたが、その公判の状況をつづったHPで京都大学医学部付属病院教授福島雅典さんは、裁判で以下のように述べられたと書かれています
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2.イレッサの腫瘍縮小効果のみを有効性として承認されているが,本来の有効性はあくまで延命効果である。
3.イレッサの承認は・・承認したことが誤りである。・・当時の医学的治験に照らせば,リスク・ベネフィットのバランスを明らかに欠いていた。延命効果が不明な薬であり,しかも・死の恐れのある重大なリスクを示す症例が多数あるのだから,リスク・ベネフィットのバランスを失し,承認は許されるべきでなかった。
5.イレッサを承認するにしても,せめて,適応(処方する病気の範囲など)を限定すべきであった。肺ガン治療で確立している標準治療を行ったが結果が得られなかった患者に限定すべき。適応限定しなかったことが被害の拡大につながる結果となった。
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(上は、以下のURLからの引用です。http://homepage3.nifty.com/i250-higainokai/t-saiban-houkoku-No15.html
これらは、膵臓癌に関する限りTS-1についても言えるのではないかと感じます。個人的には、上の2項について私は、”本来の有効性はQOLと延命効果のバランスである”と思いますが、だって、副作用を抱えて寝たきりで数ヶ月延命しても私には意味がありませんので。

ちなみに、TS-1は第II相臨床試験の結果で承認されていますが、厚生労働省が発行した”抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン”
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/171101-b.pdf
では、
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3) 承認申請時の第III相試験成績の提出
患者数が多い癌腫を対象とした抗悪性腫瘍薬では、延命効果等の明確な臨床的有用性
の検証が必須と考えられる。このため、今回のガイドライン改訂では、非小細胞肺癌、胃癌、
大腸癌、乳癌等で、取得を目的とする効能・効果の癌腫のうち、その患者数が多い癌腫では、
それぞれの癌腫について延命効果を中心に評価する第III相試験の成績を承認申請時に提
出することを必須とする。ただし、上記癌腫であっても、科学的根拠に基づき申請効能・効果
の対象患者が著しく限定される場合はこの限りではない。
また、第II相試験終了時において高い臨床的有用性を推測させる相当の理由が認められ
る場合には、第III相試験の結果を得る前に、承認申請し承認を得ることができる。
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と書かれています。上のデータが”第II相試験終了時において高い臨床的有用性を推測させる相当の理由が認められる場合には、第III相試験の結果を得る前に、承認申請し承認を得ることができる。”という薬の早期承認に対する条件を満たしているでしょうか?私にはそうはとても思えない。

最後に、少し長くなりますががん産業〈1〉―がん治療をめぐる政治的力関係の構図のP201から文書を引用して今日は終わりたいと思います。
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ソビエト生まれの抗がん剤フトラフールは、アドリアマイシン以上の利益を上げている。........大鵬薬品にライセンスが付与された結果日本でも販売されている。
1970年台におけるフトラフールの販売実績は実に大きくアメリカ生まれのどの抗がん剤もおよそ比較にはならない。.....
しかし、フトラフールが成功を収めたのは、主としてこの薬の異常な販売方法によるものであったと言われている。ある人によるとその売られ方はまことにメチャクチャである。「日本の一部の内科医は『前がん状態にある人間、癌のおそれがある人間、あるいはがんにかかりやすい人間』を手っ取りばやく見つけては、抗がん剤を服用させる傾向にある。」
このような状態になるのは、日本の医師たちが患者に薬を売りつけることを日常業務にしているからであろう。つたえられるところによれば、フトラフールの薬価の利幅はきわめて大きく、従って医者がさらに多くの薬を売り捌こうという気になるのは、自然の成り行きであったということである。.....しかし、アメリカでは薬の用いられ方が日本とはまるで違うので、アメリカの会社が日本の会社と同じことをするとしても成功するとは思われない。
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世界では通用しない日本の経口抗がん剤(すくなくともこれまでは)、日本でも、米国に勝るとも劣らないガン産業の構図(??)は確実に存在するように思われてしかたがない。


WT1ペプチドワクチン

2009-05-22 21:27:26 | 膵臓癌

今日は朝5時半に起きて、大阪の伊丹空港から杜の都仙台にある東北大学病院にWT1ペプチドワクチンをトライしに行ってきました。
(ちなみに、大学の研究室にいたころこの空港の職員食堂に時々潜り込んでいました。今食べるとどうか判りませんが、当時ここは学食と比べ旨かった。)



WT1ペプチドワクチン治療は、大阪大学医学部が主導しているもので、今回東北大学病院が行っている治験の正式名称は
”化学療法抵抗性の進行・再発膵癌に対するWT1ペプチドを用いた免疫療法パイロット研究”
です。ちなみに治験のレベルとしては第II相臨床試験で、第I相臨床試験が安全性を中心に調べるのに対して、第II相では効果を中心に調べます。なお、WT1ワクチンは一般の抗がん剤とは異なり第I相臨床試験で副作用はほとんどなかったようです。


まず、これを受けるために行ったのは、以下のHPにある番号に電話して江川先生(東北大学医学部の准教授)に条件等をお聞きしました(下のURLのHPにも書いてありますが再確認)。お聞きすると応募条件に合致する可能性があることから、今掛かっている主治医の先生に相談して本治験への紹介状を書いてもらい、その上で東北大学病院の予約を入れて、本日を迎えることができました(その前に造影剤入りのCTを取ってもらい現状を確認てもらったりしました。)。主治医の先生に感謝です。ちなみに今回の治験の人数枠は10人で、わたしで7人目だそうです。
https://center.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr.cgi?function=brows&action=brows&type=summary&recptno=R000001824&language=J
UMIN000001504


さて、今朝は10時半ぐらいに病院について初診を済ませ担当診療科の肝胆膵外科に行くと、まず、血液をとられました。それにしても注射の針は何回刺されても慣れません。痛くはないのですが体に針が刺さっているという事実に耐えられません。今回も相当いやな顔をしていたのでしょうかか、看護師の方に”大丈夫ですか?”と聞かれてしまいました。


1時間半後の12時半ごろに血液検査の結果が出て一旦呼ばれたのですが、説明等に時間が掛かるので他の患者さんを優先してもいいですかとの先生の質問に元気に”ハイ”と回答し、再度呼ばれたのは13時ぐらいでした。それから治験の説明を聞き、同意書にサインし、これまでの治療の経過を聞かれました。これらに約1時間ぐらいかな??先生は温厚な方で、本治療に関する私のいろいろな質問にも丁寧にお答え頂きました。


治療自体は非常にシンプルで、まずは腕に薄めたワクチンを打ってワクチンに過剰な反応をしないかを確認しました。これでワクチンを打ったところが真っ赤になると適用除外になるのですが、無事この試験をパス。その後、本治療用のWT1ペプチドワクチンを、両脇の下、おなかの両側、両足の付け根のリンパ節の近くの合計六箇所に皮下注射してもらいました。こちらも注射自体は針も細いので痛くはないのですが、また頭がいやいやをして近くを手で押さえていたら、先生に手をどけて下さいと言われてしまいました。


これからこのペプチドワクチンを原則週1回合計8回打ちます。その8回の間先生が居られない週は治療ができないため、週が跳んだりして終わるのは8月中旬になる予定です。(ちなみに次はバーンと空いて6月19日)


第I相臨床試験は、ジェムザールとの併用ですが治療が効いた人もいるそうで、その人はガンが小さくなって手術でガンを摘出されたそうです。


暫くは仙台詣、この治療が上手く行くことを願って、皆さん ”Cross your fingers”してください。


庭の花たち(その4)

2009-05-21 16:47:25 | お花

今日は庭にあるキイウイとゆずの木。


今年のキイウイは異常に多くの花が咲きました。ここ2-3年あまり花をつけていなかったので異常です。



逆に、ゆずはここ2-3年豊作で料理等で重宝したのですが、ことしは花のつきが非常に悪く、あまり多くの収穫を望めないようです。