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日経2011/1/11付から抜粋   ドラッカーの予言 「遺産」生かし未踏の域へ  

2011年02月27日 | Weblog

日経2011/1/11付から抜粋

(三度目の奇跡)第1部 私は45歳(10) ドラッカーの予言 「遺産」生かし未踏の域へ   

<form class="JSID_basePageMove JSID_baseAsyncSubmit cmn-form_area JSID_optForm_utoken" action="/async/usync.do/sv=KN" enctype="application/x-www-form-urlencoded" method="post"> 各地に広がるシャッター商店街は今や衰退・日本を象徴する風景だ。しかし約60年前に全国で初めてアーケードの名を冠した静岡県沼津市の「名店街」には不思議と空き店舗がほとんどない。</form>

 市の外郭団体で産業振興を手掛けていた深沢公詞(60)が商店街の再建に乗り出したのは2004年。空き店舗が目立つのに「若くてやる気のある人に店を貸してほしい」と説く深沢への地権者の反応は冷たかった。「1坪当たり2万5千円なら貸してもいい」。当時、都心でも坪2万円出せば店舗を借りられた。 

代謝阻む「制度」 

 その後、地元有志らと地権者が話し合いを重ね、家賃は下がり、若者の入居も増えた。09年4月には全国で初めて地権者だけが会社を共同設立。新会社が商店街全体のテナントを手配する。所有と利用を分離し、街全体の価値を引き上げる再開発にも踏み込む。

 高齢化などシャッター商店街が広がる理由は単純ではない。だが、何もしない方が有利になるような制度が背景になっているのも見逃せない。

 店舗を他人に貸したりすると、将来の転売などが面倒になりかねない。シャッターを閉じたままでも「事業用」と取り繕えれば、相続税が軽くなることもある。住居兼用なら土地にかかる固定資産税の特例もある。資産を活用して価値を上げるより、現状のまま黙って持ち続ける方が何かと好都合なのだ。

 担い手が高齢化し、後継者不足に直面する農業。ここでも税制などは利用よりも所有に有利だ。その結果が埼玉県の面積に匹敵するほど膨らんだ耕作放棄地である。

 本来は経済の活性化につながるはずが、既得権を温存し、新陳代謝を阻んでしまう。そんな例は日本中あちこちにある。

 「先進国では45歳以上にとって年金受給権こそ最大の資産である」。1993年、経営学者ドラッカーはこう書いた。

 高齢化と世代間移転で積み上がった年金資産は最大の既得権であり、目減りすることを嫌う。金融市場での存在感こそ大きいが、リスクに挑戦して新たな価値を生み出そうとする本来の資本とは違う論理が働く。「小さな若い事業を餓死させる危険がある」としたドラッカーの警告は、平均年齢45歳の今の日本にそのまま当てはまる。

 中高年の利害が優先される「シルバー民主主義」の構図は当面、変わることはない。60歳以上が総人口に占める割合は約3割だが、09年衆院選の投票者数に占める比率で見ると、約41%に跳ね上がる。

富の食いつぶし

 「財産目録をつくってほしい」。親にそう要求するひきこもりの青年がいる。本来は働いて税金を納めるべき人が親の世代の富を当てにする。日本は今ある富を食いつぶすだけになりかねない。

 明治維新、戦後の高度成長の2度の奇跡は、旧秩序の否定があったからこそ達成された。それは西欧列強の圧力に伴う幕藩体制の崩壊であり、第2次大戦の敗戦だった。だが、今の日本で戦争や革命、戦後のパージのような強制的な世代交代に期待をつなぐのは現実的とはいえない。

 民主主義の手続きを守りながら既得権に風穴を開け、かつての成長の「遺産」を経済の活性化に生かす。それが経済学者ケインズが「アニマル・スピリット」と呼んだ資本主義のダイナミズムを取り戻す道だ。支え手一人ひとりが未踏の領域にどう挑むか。「三度目の奇跡」は難しいが、不可能ではない。


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