鉄人 須藤 將のホームページ

ホームページとして利用しています。モータージャナリスト、Webコンサルタントとしての活動をここに記載します。

ハブリッドなぜ燃費が良いのか その2

2009-07-26 02:43:54 | 車・バイク
今度は、プリウスのシリーズ・パラレルハイブリッド方式を説明します。
プリウスは、駆動用のエンジンとモーター(回生制動時には発電機になる)のほかに、発電専用の発電機を持っています。
これらの3つの機能をコントロールして低燃費を実現しています。
まず、基本となるのがエンジンでです。3代目プリウスは、高速走行時に必要とされるトルクを得るために、1.8 Lのアトキンソンサイクルエンジンを採用しています。通常のレシプロエンジンは、圧縮比と膨張比が同じなのですが、アトキンソンサイクルエンジンは、圧縮比に対し膨張比が大きくなっています。燃料が燃焼することで燃焼ガスが発生します。この発生した燃焼ガスの圧力で、ピストンが押し下げられ、クランクシャフトを回して動力に変換されます。膨張比が大きいということは、圧縮時のピストンのストロークに対して、膨張時のストロークが大きいことで、この大きくなった分、燃焼ガスは圧力を下げながら、ピストンを押し下げます。膨張が終了した時点で排出される燃焼ガスの圧力は、通常のエンジンよりも低くなっています。すなわち、燃焼ガスの持っていたエネルギーをそれだけ効率的に動力に変換できたことになります。こうした、効率の良い低燃費なエンジンをベースに、発電機とモーターを組み合わせて走行します。
基本的には、シリーズ方式で、エンジンを最も低燃費な効率の良い状態で回しておき、発電機で発電した電気をバッテリーに蓄積して、その蓄積された電気でモーターを駆動して走行します。
さらに、プリウスの特徴は、動力分配機構を持っていることです。
エンジンで発生した動力の一部から全部を直接クルマの駆動に使用することができます。
そのときに、駆動に必要とされるトルクに不足が生じると、モーターがその不足分を補充します。これはインサイトと同じで、パラレル方式となります。
こうした、2つの特徴を有するのでプリウスはシリーズ・パラレルハイブリッド方式と呼ばれています。
これが、基本原理ですが、実際の走行に際して低燃費について説明します。
発信するときは、効率の良いモーターで発進します。そして、ある速度に達するとエンジンがかかり、エンジンから動力が供給され、駆動の主役がエンジンになります。低速・低負荷走行時にも、エンジンを止めて効率の良いモーターで走行します。こうしたモーターとエンジンの最適な組み合わせが低燃費を実現させています。
このとき、エンジンは燃費に最適な状態で回っており、駆動に必要でない動力は発電機にまわされ、発電してバッテリーに貯められて、発進、低速・低負荷走行や加速時や高速時に不足した駆動トルクを補うためにモーターに供給されます。
こうした、エンジンの高効率を支えるシステムが低燃費をさらに生み出しています。
さらに、インサイトと同様に、回生制動時の運動エネルギーの回収による低燃費化とアイドリングストップによる低燃費化、及び排気熱を利用して冷却水を温め、特に外気温が低い状態で燃費を向上する排気熱再循環システムなどが加わり、トータルで優れた低燃費を実現しているのです。

最新の画像もっと見る