鉄人 須藤 將のホームページ

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Webマーケティングその10

2009-07-27 06:22:35 | 車・バイク
アメリカトヨタは1989年高級セダン「レクサスLS400」を発売し、発売後1年間で6万3千台売上げ、1990年に既にJD.Power調査で品質No.1と評価され、1991年にはベンツ、BMWを上回る台数を売りました。

トヨタはこの新型車開発のために、発売3年前の1985年から延べ4000人の技術者、デザイナー、マーケターを投入しました。すなはち、主要デザイナー・チームは、潜在顧客層である「裕福で価値意識の高いアメリカ人」の理解を深めるために、カリフォルニア州ラグナビーチに滞在し、その生活とライフスタイルを学びました。

潜在顧客層が利用する高級レストランで食事をし、豪華な邸宅を訪問し、デザイナーズ・ブランドの洋服を買いました。それは、潜在顧客に共通する価値観を理解し、抽出する作業の第一歩。つまり、見込み客の行動をつぶさに観察し、体験することで、何が潜在顧客の心の琴線に触れるかをあぶり出し、それを、新しい贅沢な車の開発やチャネルブランド戦略に反映させた。

調査の結果、外車メーカーは大変優れたクルマを製造しているが、高級車オーナーの間では、サービスの点で不満があることを発見した。
そこで、レクサスは、「とにかくあらゆる面において、お客様のストレスや問題を起こさないようにしよう」と考えた。トヨタは、完全な安らぎを実現しようと「安らぎ、そして穏やかさ」というコンセプト・理念に達した。

そして、そのコンセプトを次のように具体的展開した。

広告スローガンを「レクサス、それはEXCELLENCE(卓越)の追求」とした。このEXCELLENCEは高級感、質の高さを暗示する言葉である。レクサスLexusという言葉は、造語であって意味はない。しかし、Lexusのロゴは非常にスムーズで、丸いロゴであり、さらにレクサスの音も穏やかな音である。

レクサス車自体も静かな雰囲気を持っている。車内もシンプルな設計になっており、レクサスでは、ブランドの理念に基づいて、営業員の方からアプローチせずに、「お客様の方から質問があった際にアプローチしなさい」という訓練を受けている。

価格設定は、統一されていて価格交渉が不要である。ここでも、「安らぎ、そして穏やかさ」という理念が重視され実行されている。

アフターサービスにおいては、修理工場は清潔な環境になっており、修理工は常に清潔なユニフォームを身に着けるように心掛けいる。それに、毎週土曜日の朝、車の外側も内側も無料で洗車してくれる。待っている間に、卵・フルーツ付き朝食を提供する。

さらに、サービス修理部門は朝4時からオープンしているから、朝6時に出るビジネスフライトに乗るお客様達は、飛行機に乗る前に修理工場へ車を預けてから空港へ行くことができる。

このように「安らぎ、そして穏やかさ」というブランド理念を、デザイン、内装、価格政策、販売方法、アフターサービス等すべての顧客経験において実現している。

消費者の心を理解し、それを経営に活かすことで、レクサスは市場シェアNo.1になった。また、顧客満足度でも、顧客のローヤルティーでもNo.1の地位を確固としたのです。


トヨタのレクサス・チームは、潜在顧客層の生活を体験しました。顧客と同じ地域に住み、同じレストランで食事をし、同じようなブランドファッションを着て、衣食住すべてを体験しました。多分、同じカントリークラブでゴルフをプレイし、ロータリークラブのパーティーにも出席したでしょう。
このように、顧客の生活、行動、趣味、レジャー、生活感情など体験することの中から、潜在顧客層の価値観を体得し、この顧客層の期待するブランド戦略を策定しました。
こうした活動をコンシューマー・インサイトと言います。

Webサイトは、目標とする消費者の心に訴え、商品メッセージを伝えるのが使命です。相手の心に訴えるためには、ターゲットの属性、価値観、ライフスタイル、そして、ターゲットのニーズ・期待を理解すること重要です。

Webサイト活動は、簡単にいえば、「明確に設定されたターゲットに、その行動を刺激する情報や態度を伝達すること」です。そして効果的にWebサイト活動を展開するには、ターゲット顧客の理解が不可欠です。

Webサイト目標とは、「ある設定された期間における、具体的に設定された対象(タ
ーゲット)へ、伝達したい商品メッセージの具体的なコミュニケーションの達成課題」
です。

Webサイト計画を立てるときは、「先ず、消費者・顧客を理解し、そのブランド・製品によって満足を与えられる消費者ニーズとは何かを知ること」が必要なのです。要するに、ターゲット顧客のニーズ・期待を知ることが、Webサイト活動の出発点なのです。

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